群馬県議会は、9月定例会が閉会になった後も八ッ場ダム問題を集中的に審議するため、15日、「八ッ場ダム対策特別委員会」の設置を決めました。14日には、国交省幹部を招致し、主に自民党県議らが国交省の見解を糾しています。
1960年代後半、八ッ場ダムの計画が公表されると群馬県議会は八ッ場ダム問題で揺れました。4年にわたる継続審議の末、1969年3月、13回目に「ダム建設促進決議案」が可決されたと記録されています。今回の県議会での騒動は、八ッ場ダム問題が群馬県政最大の課題であることを改めて印象付けるものです。
関連記事を転載します。
◆2009年10月15日 朝日新聞群馬版より転載
ー県議会委で参考人招致 国交省の見解追求ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000580910150001
前原誠司国土交通相が八ツ場ダムの中止を表明した問題で、県議会産経土木常任委員会は14日、国土交通省の幹部2人を参考人招致した。委員からは国の見解や八ツ場ダムの必要性について追及が続いたが、国交省側からは明確な回答はなかった。
招致されたのは、関東地方整備局の山田邦博・河川部長と渋谷慎一・八ツ場ダム工事事務所長。
笹川博義県議(自民党・ポラリスの会)は、90年代に国が長野原町や東吾妻町と結んだ建設推進に向けた基本協定書をあげ、「大臣は協定をやぶるのか」と見解を求めた。山田河川部長は「協定をやぶっているかどうかはコメントできない」と答えた。「協定を破っているのなら損害賠償請求の対象になる」と指摘されても、「基本協定の取り扱いは今後の話し合いで検討する」と話すにとどめた。
萩原渉県議(同)が、前原国交相の突然の中止表明は特定多目的ダム法に抵触すると詰め寄ると、山田河川部長は「即座に法令の規定違反ということではないのではないか」との見解を示した。
中島篤委員長は委員会後、「国との約束がそんなに軽く変わるのかとみんな思っている。(今後の委員会で)事実関係をしっかり把握する」と記者団に述べた。
県議会の議会運営委員会は14日、八ツ場ダムについて集中的に審議する「八ツ場ダム対策特別委員会」を設置する議案を本会議に提出することを決めた。委員会の定数は15人。閉会中も、利水と治水の両面からダムの必要性について話し合うほか、住民の生活再建についても議論する。
◆2009年10月15日 産経新聞より転載
ー八ツ場ダム 関東地方整備局幹部が出席 群馬県議会常任委ー
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/gunma/091015/gnm0910150215002-n1.htm
建設中止が明言された八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)問題で、国土交通省関東地方整備局の山田邦博河川部長らが14日、群馬県議会産経土木常任委員会に出席。関係自治体との事前協議を経ずに本体工事中止を打ち出したことへの質問に、「ただちに法令違反にはあたらない」などと答えた。県議会議会運営委員会は同日、同ダム問題を集中的に審議するための「八ツ場ダム対策特別委員会」の設置を、15日の本会議に提案することを決めた。
同常任委に出席したのは、山田部長と、八ツ場ダム工事事務所の渋谷慎一所長。最初の意見聴取に立った自民党の笹川博義委員は、国と県などとの間で締結された「八ツ場ダム建設事業に係る基本協定書」をもとに「(建設中止は)協定を破るという認識でいいのか」などと質問。山田部長は「協定を破ることになるのか大臣から認識を聞いていない」と答え、「(契約違反として損害賠償の対象になるかは)当事者間の判断で、取り扱いは今後の話し合いの中で検討したい」などと話した。
また、基本計画の変更や廃止の場合に、国交相に関係自治体の知事らとの事前協議を義務づけている特定多目的ダム法に関連し、自民党の萩原渉委員が「本体工事の中止行為は基本計画の根幹を変更することになる。(事前協議がないのは)ダム法に抵触しないのか」と質問。
渋谷所長は「個々の工事の進め方に関しては、特に何かの法令の規定に直接示されていないので、ただちに法令違反にはあたらない」と話し、山田部長も「即座に法令に違反しないと考える」と答えた。
さらに、委員からは、データをもとに利水、治水の両面からダムを必要としてきたこれまでの国土交通省の見解をただし、本体工事中止との整合性を問う質問が出たが、山田部長は「治水、利水面の説明を変えるという指示は受けていない」などと答えるにとどめた。
同常任委終了後、中島篤委員長は「国交省が今まで出してきた数字などの確認作業はできたが、(建設中止の是非など)国に本当に聞きたいところは、聞き出せなかった」と述べた。