2006年当時、民主党の影の国交大臣であった長妻昭衆院議員が入手した八ッ場ダムの落札率の資料が、最近の八ッ場ダムへの関心の高まりから注目されています。このニュースを共同通信が配信したところ、全国43紙に掲載され、静岡新聞などでは一面トップに掲載されました。民主党では、2006年以後の落札率についても調べているようです。
◆2009年10月17日 共同通信配信ニュースより転載
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009101701000311.html
ー関連工事の大半が落札率94%超 八ツ場ダム、談合の可能性指摘ー
前原誠司国土交通相が中止を表明している八ツ場ダム(群馬県長野原町)事業をめぐり、国交省関東地方整備局が2001年4月から06年3月に発注した関連工事や業務で、落札額が1億円以上だった入札76件のうち65件が落札率(予定価格に対する実際の落札価格の比率)94%を超えていることが17日、国交省がまとめた資料で分かった。99%以上も8件あった。
公共事業の談合問題を分析、追及している全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は一般論とした上で「94%以上であれば談合の可能性は極めて高い」と指摘している。08年度の関東地方整備局工事の平均落札率は90・06%。
関東地方整備局は「八ツ場ダムの関連工事で、過去に談合と認定した事実はない」としている。
市民オンブズマン群馬は「入札で参加業者の辞退も多く、落札率が高いのは不自然」として近く国交省に質問状を提出する方針。
資料によると、03年3月に契約した県道林・吾妻線新設工事(落札額2億9千万円)の落札率は99・47%で、大柏木トンネル新設工事(同34億円)は97・12%。05年9月契約の須川橋改築工事(同3億500万円)は落札率98・3%、06年3月契約の県道林・吾妻線2号橋下部工事(同5億6千万円)は98・34%だった。
また「現場技術業務委託」として、特定の社団法人が5回にわたり98~99%の落札率で受注。04年10月当時、この社団法人の役員に再就職した元国交省職員が2人いた。
09年4~9月の工事22件でも18件が落札率94%を超えていた。
◆2009年10月18日 上毛新聞社会面より転載
ー八ッ場ダム関連入札 低額業務で落札率100%も 応札7法人にOB 国交省所管天下りと関係?
八ッ場ダム(長野原町)の関連工事では1億円以上の工事、業務だけでなく、落札額の低い工事や業務も、談合を疑わせる高い落札率が目立つ。ダム計画に反対している市民団体は天下りとの関連を指摘している。
入札に参加した業者のうち、国土交通省所管の七つの公益法人では、2004年10月時点で国交省のOB計25人が役員を務めていた。この7法人が01年4月~06年3月で落札した業務や工事は45件に上り、落札率は92~100%。うち43件は95%以上だった。
中でも、ある財団法人は「ダム湖周辺施設実施検討業務」(落札金額4千万円)、「八ッ場ダム自然環境保全対策検討業務」(同3090万円)など四つの業務を落札率100%で受注。
八ッ場あしたの会の渡辺洋子事務局長は「100%は不自然で、何をする業務かも判然としない。国交省は情報を公開すべきだ」と指摘する。
談合ではないが、八ッ場ダムの工事をめぐっては06年、用地調査業務で便宜を図った見返りに、業者から無利子、無担保で約710万円を借りたとして、収賄罪で国交省の八ッ場ダム工事事務所元用地第一課長が有罪判決を受けた。