半世紀ぶりの政権交代に揺れた八ッ場ダム予定地。新政権下ではダムの補償金が出ないのでは、との不安を抱える住民が総選挙前に駆け込みで契約を結びました。今春以後、全水没予定地の川原湯、川原畑両地区では、代替地に家が建ち始めました。政権交代後はどうなるかわからない、との国交省現地事務所説明も、こうした事態を後押ししたといわれます。
2009年11月3日 上毛新聞紙面より転載
「八ッ場ダム 用地買収予算が枯渇 中止表明で契約締結急増 地権者ら先行き不安」
前原誠司国土交通相が本体工事の中止を表明している八ッ場ダム建設事業をめぐり、国土交通省八ッ場ダム工事事務所が10月から、水没予定地や道路用地などの地権者との新たな用地売買契約の申し出を、資金不足を理由に断っていることが2日までに分かった。民主党が衆院選のマニフェストに同ダム建設事業の中止を明記したため、事業の先行きを不安視した地権者たちが用地売買の契約を急いで締結。そのため8,9月に契約者が急増したとみられる。
同事務所によると、事業費の本年度予算225億円のうち、用地買収用の資金である用地補償費が底を突いた。これまでで初めての事態という。
同ダム建設事業の9月末現在の用地買収率は82.9%(377・8㌶)。まだ売買契約を済ませていない地権者からは、「(前原氏が)ダム本体は中止と表明しているのに、(国が)今後も水没地などを買うのか」と、不安な声が上がっている。
前原氏はこれまで、地元住民の生活再建事業については継続する方針を示しており、同事務所は「用地買収については地元の方々の生活再建事業の一環と考えている。来年度の予算で用地買収の予算がつき次第、執行とともに送球に地権者の方の希望に対応できるようにしたい」としている。
長野原町の高山欣也町長は「前原大臣は住民の生活再建はしっかりやると言っているのだから、補正予算を組んででも希望者とはすぐに契約できるようにするべきだ」との考えを示した。
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