八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム関連事業、最後のトンネル貫通

 2009年10月28日、八ッ場ダムの道路事業の中で最後のトンネルが貫通したとのニュースを翌日の群馬県内各紙が報じています。現在の国道145号沿いにある国土交通省のPR館「やんば館」から見上げる場所にある久森(くもり)トンネルです。久森トンネルはわずか291メートルの距離ですが、工事は長期間を要しました。

~広報やんば 2003年10月15日号(発行:国道交通省八ッ場ダム工事事務所 編集:上毛新聞出版局)より転載~
「トンネル掘削現場は急しゅんな山の上部に位置し、周囲は久森沢などがあって谷が深く、機材や資材を運ぶ道が作れない。そのため工事現場までケーブルで荷物を運び上げるのが最良と判断された」

 2003年にトンネル工事の足場となるインクラインがつくられ、トンネル完成までに6年を要しました。
 八ッ場ダムの関連事業の目玉事業である付け替え国道工事は四車線高規格で計画されていますが、完成した久森トンネルを含め、すべてのトンネル、橋梁はまだ二車線しか造られていません。
 付け替え国道は予定では2009年度末(来年三月)までに吾妻渓谷から上流部を完成させ、暫定供用するとされていますが、地上部の工事が遅れています。

◆2009年10月28日 東京新聞群馬版より転載
「久森トンネル貫通 八ッ場ダム関連計8本すべて完成」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20091029/CK2009102902000120.html

八ッ場(やんば)ダム建設計画に伴う付け替え国道145号久森トンネルの貫通式が二十九日、長野原町で開かれた。供用開始は二〇一〇年度早々の予定。

 同トンネルはダムに沈む国道を高い位置に上げる事業の一環。全長二百九十一メートルで川原畑・林地区の水没家屋の代替地を結ぶ。これでダム建設に絡む国・県道のトンネル計八本はすべて貫通した。

 貫通式で高山欣也町長は「喜ばしいが一点の曇りがある。(新しい)145号線の供用開始が待ち望まれている」と、鳩山政権のダム建設中止方針に不安をにじませながら語った。(北川成史)

◆2009年10月29日 上毛新聞社会面より一部転載
「付け替え道で最後 久森トンネル貫通」

 ・・・同トンネルは同町の林、川原畑の両地区を結ぶ延長291メートル。国交省八ッ場ダム工事事務所(渋谷慎一所長)は、来年度早々に付け替え国道、県道を暫定供用するとしており、東吾妻町松谷と長野原町長野原を結ぶ同バイパスは、交通難所の解消や交通アクセス向上による観光振興などが期待されている。
 貫通式では、渋谷所長が発破のスイッチを押すと、大音響とともにトンネルが貫通。出席者から拍手が沸き上がった。
 渋谷所長は「前原大臣から生活再建事業はしっかりやるように指示を受けている。これからも力を注いでいきたい」とあいさつ。  ・・・以下略