八ッ場ダムの前提となっている都市用水の需要増加は、どの都県でも見込めない時代となっており、実際には都市用水の給水量の減少が顕著になってきています。群馬県も例外ではありません。もともと群馬県の都市部は、地下水を豊かに蓄える扇状地に開けており、ダムによって開発される利根川の表流水を受け入れることは、良質な水源である地下水の比率を水道用水の中で低下させる政策と連動しています。その結果、水道用水の水質は近年、群馬県においても悪化し、水道料金も値上がりしてきました。
ダム問題と水道の蛇口は繋がっています。
2009年11月14日 上毛新聞より転載
「節水生活で上水道の給水量が減少」
前橋市敷島浄水場のろ過池。1日当たり市内の給水量の約2割に相当する約2万5000立方メートルを給水している
県内の上水道の給水量が年々減っている。2007年度の年間給水量は2億9728万立方メートルで、10年間で9%減少。1人当たりの1日の最大給水量も14%減っており、背景には洗濯機やトイレなど節水型機器の普及があるようだ。結果的に水道事業収入が減り、事業者側は一層の経営効率化を迫られている。
県のまとめによると、生活用水や工業用水、業務用などを合わせた県内の上水道の給水量は1998年度の3億2550万立方メートルが、07年度は9%減の2億9728万立方メートル。1人当たりの1日の最大給水量も98年度の579㍑から、07年度は497㍑と10年間で14%減っている。
前橋市では90年度の5153万立方メートルをピークに年間給水量が減少。08年度は前年度比106万立方メートル減の4710万立方メートルだった。
市水道局は「景気低迷による企業活動の停滞よりも、一般家庭に節水意識が広まった影響が大きい」と分析。環境に配慮した節水型の洗濯機やトイレのほか、とがずに炊ける無洗米など日常生活に節水型商品が普及したことが水需要の減少につながったとみる。
高崎市でも合併で一時的に給水量は増えたが、08年度の年間給水量は4966万立方メートルで前年度を96万立方メートル下回った。1人当たりの1日の最大給水量では99年度の564㍑に対し、08年度は20%減の452㍑となった。
給水量の減少は水道料金の減収に直結し、前橋市は06年度から3年続けて赤字で、08年度は1億2640万円の赤字となっている。市水道局は「水道料金は簡単に上げられない。事業の見直しをしながら費用を抑えたい」と話す。
一方、太田市はこれまで水道事業が赤字に転じたことはないものの、経営効率化を進めるため、2年前から包括業務委託を導入している。市上下水道局は「給水量が減る中で老朽管の更新など設備投資をしていくには、できる限りコストを削減して費用を捻出(ねんしゅつ)する必要がある」としている。