2010年1月26日
八ッ場ダム計画は、新政権の方針で「ダム本体工事」は中止になりましたが、予算の大半を使う関連事業は止まっていません。国土交通省はこれまで、この関連事業を「生活再建関連事業」と呼んできました。
けれども「生活再建関連事業」は当然のことながらダム湖を前提としてつくられた計画であるため、周辺地域に膨大な投資をする一方で、水没予定地には一切投資しないという性格のものです。地すべり危険箇所の多い現地での安全対策、半世紀以上のダム計画で老朽化している水没予定地のライフライン、ダム建設のために国が買収した膨大な国有地も、旧政権下と同様にこのまま放置されれば地域にとっては大きな重荷となります。
ダムを前提として生活設計を立ててきた地元の方々は、ダム本体が中止となっても生活設計を変えられないとして、地元自治体(長野原町、東吾妻町)は国に「生活再建関連事業」の完全実施を求めています。確かに、ダムが止まることを予想していなかった人びとにとって、今回の政策変更は受け入れがたい、という反発があるのも当然のことです。けれども、このままダム事業の早期完成のみを要求し、実際にダムが中止となっても生活設計が変わらないのであれば、将来、地元の人々はダムのない地域での生活に適応するのが困難となり、結果的に著しい損害を被ることになります。国はその責任において、地元の人々が生活設計を変えられる仕組みを早急につくる必要があります。
ジャーナリストのまさのあつこさんが「生活再建関連事業」の中身から問題点を浮かび上がらせ、地元の再考を提案する論文をこのほどネット上に公表しましたので、お知らせします。
↓
●環境行政改革フォーラム論文集より
ー八ッ場ダムの「生活再建事業」は誰のためか?生活再建か?ー
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/files/100206masanoE-forum.pdf