八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

全国108市民団体による有識者会議公開の要請文

2009年2月9日

 国土交通大臣により設置された「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は、昨年12月3日の第一回会議に続き、今年1月15日、1月29日、2月8日と四回の会議が開かれてきていますが、いずれも非公開となっています。
 こうした会議のあり方に対して、八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会では、昨年12月1日に公開を求める要請書を提出しました。今年1月6日、14日には、八ッ場あしたの会を含む全国の31市民団体が前原大臣、中川座長宛に同趣旨の要請書を提出しました。しかし残念ながら、有識者会議はいまだに非公開とされ、当初約束された議事録の公開も、昨年開催された第一回会議の議事録がようやく二ヵ月後の2月1日に発言者名を伏せて公開されるという状態です。
 これまでの要請行動に対して、その後、全国の市民団体より賛同の声が寄せられ、改めて本日、108団体連名で前原大臣、中川座長宛に要請書を提出する運びとなりました。前政権と同様、治水政策に関する会議のあり方において非民主的な手法が継続されている現状を深く憂慮するものです。

 2010年2月8日
 国土交通大臣  前原 誠司 様

 申入れ団体の連絡先 水源開発問題全国連絡会(事務局 堀田正人)
 〒102-0093 東京都千代田区1-7-1 W201  TEL 03-5211-5429 FAX 03-5211-5538

 全国108市民団体からの「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の公開を求める要望書

 昨年9月に国交大臣にご就任されて以降のご活躍に敬意を表します。
 就任後ただちに、「川辺川ダムと八ッ場ダムの中止」と「すべての工事中ダム事業の見直し」を言明され、その後も実際に見直しを行う方針と手順を明らかにされてきています。これまでのダム依存型河川行政からダムによらない河川行政への大転換を進めようとされていることを、私たち国民は心から支持しております。
 そして、ダムによらない河川行政の礎を創出し、その視点からダム事業見直しの基準をつくるため、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」を設置されました。わが国の治水政策の転換を目指す有識者会議の目的はすばらしいことなのですが、残念なことに、この会議は「非公開」とされています。
 これまでに多くの市民団体がこのような重要な目的を持った有識者会議は公開であるべきと考え、前原大臣と中川博次座長に公開を求めてきましたが、受け入れていただくことができませんでした。
私たちが有識者会議の公開を求める理由は、下記の通りです。

 「従来の河川行政を根本から変えていくことを目的とするものであるから、国民とともに議論を進めていく姿勢がなければ、その答申は国民の共感を得るものになりません。公開はその目的を達成するための必須の条件です。」
 有識者会議を非公開にする理由とされているのは、「会議の中で出てくる特定の河川名、ダム名が公開されると、関係住民に不安を与える」ということですが、それがなぜ非公開の理由になるのでしょうか。公開してこそ、その関係住民とともに望ましい治水のあり方を考えることができるのであって、国民とともに考えるプロセスがなければ新しい河川行政の方向を具現化することはできません。

 公開の場での事業仕分けは「事業の必要性を国民が考える」絶好の機会を作り上げた快挙でした。現政権が多くの国民に支持を受けているのは、公開によって問題の本質を国民に示し、国民がその問題をともに考えることを基本にすえた政治を目指していることにあります。
 ダムによらない河川行政に変革していくという画期的な取組みをされている前原大臣は、1月20日に「今後の治水対策のあり方に関する意見募集について(お知らせ)」を発表しました。国民の視点に立ち返ったものと高く評価いたします。国民から寄せられた意見は有識者会議で審議されるとことになります。どのように審議されるのかは全国民の関心の的です。「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」を公開されるよう、あらためて強く要望いたします。
 まことに恐縮ですが、本書面到達後7日以内に連絡先あてに書面でご返答いただければ幸いです。
 末尾になりますが、全国から108団体がこの要請をしている重みをご考慮いただきたく思います。

要請団体一覧 (50音順)
1安威川ダム反対市民の会 2昭島環境フォーラム 3アサザ基金 4浅川ダム建設予定地の再調査を要望する会 5浅川・千曲川等治水対策会議 6旭川・森と川ネット21 7荒瀬ダムの撤去を求める会 8伊賀の特別天然記念物オオサンショウウオを守る会 9伊賀・水と緑の会 10石木川の清流を守り、川棚川の治水を考える会11石木川まもり隊 12石木ダム建設絶対反対同盟・ダムからふるさとを守る会 13市川緑の市民フォーラム 14イテキ・ウエンダム・シサムの会 15稲田地区浅川問題を考える会連絡会 16茨城県の水問題を考える市民連絡会 17ウォーターワッチネットワーク 18内海ダム事業認定取消請求訴訟原告団 19美しい球磨川を守る市民の会 20美しい錦川を未来へ手渡す会 21FoE japan 22大洲市の住民投票を実現する会 23太田川ダム研究会 24奥胎内ダムを考える会 25海上の森野鳥の会 26霞ヶ浦・北浦をよくする市民連絡会義 27霞ヶ浦導水事業を考える県民会議 28川辺川・東京の会 29川辺川・福岡の会 30川辺川土地改良事業組合の税金のムダ使いを考える住民の会 31川辺川を守りたい女性たちの会 32寒霞渓の自然を守る連合会 33環境会議・諏訪 34環境共育を考える会 35環境ネットワーク旭川地球村 36環瀬戸内海会議 37九州住民ネットワーク 38球磨川からすべてのダムを無くして鮎の大群を呼び戻す会 39渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 40子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 41相模川キャンプインシンポジウム 42サンルダム建設を考える集い 43三番瀬を守る会 44三番瀬を守る署名ネットワーク 45自主・平和・民主のための広範な国民連合長崎 46自然愛・環境問題研究所 47自然林再生ネットワーク 48設楽ダムの建設中止!名古屋の会 49設楽ダムの建設中止を求める会 50下川自然を考える会 51下球磨・葦北川漁師組合52新川決壊水害訴訟原告団 53水源開発問題全国連絡会 54STOP八ッ場ダム・市民ネット 55清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会 56全国自然保護連合 57大雪と石狩の自然を守る会 58脱ダムネット関西 59玉川峡(紀伊丹生川)を守る会 60多摩の地下水を守る会 61ダム反対鹿沼市民協議会 62千葉県自然保護連合 63千葉県野鳥の会 64千葉の干潟を守る会 65導水路はいらない!愛知の会 66当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会 67十勝自然保護協会 68利根川・江戸川流域ネットワーク 69利根川の水と自然を守る取手連絡会 70利根川流域市民委員会71苫小牧の自然を守る会 72富川北一丁目沙流川被害者の会 73〈長野の開発と環境を考える〉信州ラプソデイ 74長浜町をまじめに考える会 75成瀬ダムをストップさせる会 76日進自然観察会 77日本湿地ネットワーク78東久留米の水と景観を守る会 79肱川漁業協同組合 80肱川の清流と自然を守る会 81肱川・水と緑の会 82平取ダム建設で失われる自然を守る会 83平取ダム建設問題協議会 84ふるさとの清津川を守る会 85(社)北海道自然保護協会 86北海道自然保護連合 87北海道の森と川を語る会 88槇尾川ダムの見直しを求める連絡会 89水問題を考える市民の会(佐世保市) 90身近な川を見守る会 91みんなで佐倉市をよくする会 92ムダなダムをストップさせる栃木の会 93メコン・ウォッチ 94最上小国川の真の治水を考える会 95やつしろ川漁師組合 96山鳥坂の自然を守る会 97「やまんたろ・かわんたろ」の会 98八ッ場あしたの会 99八ッ場ダムをストップさせる茨城の会 100八ッ場ダムをストップさせる群馬の会 101八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会 102八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会103八ッ場ダムをストップさせる千葉の会 104八ッ場ダムをストップさせる東京の会 105ユウパリコザクラの会 106吉野川みんなの会 107路木ダムを考える河浦住民の会 108渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会

★これまでの有識者会議の経過については、こちらに掲載しています。↓
 https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=760