川原湯地区の温泉部会が12月13日に開かれ、その内容が群馬県版に掲載されました。川原湯地区の温泉街の移転予定地は、吾妻渓谷に近い打越(うちこし)代替地の第三期分譲地です。他の代替地が次々と完成し、住民が移転し始めている中、打越代替地の温泉街ゾーンは最も造成が遅れています。国交省は1年あまり後の12年春には代替地で温泉が使えるようになると説明していますが、住民の方々はダムができるかどうか、代替地で誘客が可能か、など将来が見通せない厳しい状況に据え置かれたままです。
◆2010年12月18日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581012180001
ー12年春移転も 川原湯地区の温泉旅館ー
八ツ場ダム(長野原町)の建設に伴う川原湯地区の温泉街の代替地への移転が、早ければ2012年春になりそうだ。源泉から湯をくみ上げる配湯施設が同年5月に暫定的に利用可能となり、移転後の各旅館への湯の供給が可能になる見通しを国土交通省が示した。代替地の造成は遅れているが、同省は湯の供給時期に間に合わせるという。(菅野雄介)
13日夜に開かれた同地区ダム対策委員会の温泉部会で、国交省八ツ場ダム工事事務所が説明した。
旅館主からは「できれば給湯開始とともに(新しい旅館の)営業も始めたい。配湯施設よりも急ピッチで代替地整備を進めてもらいたい」「ある程度はみんな一緒に移って、一緒に営業開始して、一緒に宣伝しないとつぶれちゃう」といった声が出た。
国交省は「個別の要望を聞いて、間に合うように造成計画を立てたい」と答えた。
川原湯温泉の源泉は、古くから自然にわき出していた「元の湯」と、ダム建設に伴う生活再建策の一環として1989年に県が掘った「新湯」の2カ所。温泉街は山の中腹の坂道に沿って旅館が並び、坂道の上手にある共同浴場「王湯」付近の源泉から各旅館へ「たこ足」方式で湯が供給されてきた。
移転代替地は温泉街から30メートル以上高い山腹を切り開いて造成されているため、源泉からくみ上げるポンプや、湯をためるタンクなどの施設を整備して組合で集中管理し、各旅館へ湯を供給する計画だ。
この日の温泉部会では湯の供給方法について、源泉を集中管理している全国の温泉地で主流の「循環配湯」方式とすることを内定した。
検討に関わった中央温泉研究所(東京)の益子保所長によると、循環配湯は地域内に引いたパイプを環流させ、未利用の湯は配湯施設のタンクに戻して再び供給する方式。時間帯や利用客の増減などに応じて必要量を効率よく配湯でき、温泉資源の有効利用策として多くの温泉地で採り入れられている。レジオネラ菌の感染で問題視された循環濾過(ろ・か)とは異なる。
部会では幹線からパイプを枝分かれさせて各旅館へ湯を分ける「魚骨配湯」方式も検討されたが、一方通行で効率が悪い点や、「国からの補償金と地元が負担する維持管理費の差額は両方式で大差ない」(国交省)とされたことから、循環配湯の採用でまとまった。