2011年1月19日
国交大臣交代に伴い、前大臣と新大臣の発言が注目され、新聞報道で取り上げられています。
国交省ホームページには大臣会見の発言要旨がアップされましたが、なぜか新聞報道で取り上げられているのに「発言要旨」で取り上げられていないものもあります。馬淵前大臣の発言も、新聞で取り上げられ、「発言要旨」で取り上げられていないものがあります。
関連情報を転載します。
◆国土交通省ホームページより転載
○2011年1月14日 馬淵大臣会見要旨「質疑応答」より転載
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin110114.html
(問)関連して政策のことでお伺いしたいのですが、先ほどのお話でもあったと思うのですが、八ッ場ダムの件では中止の方向というのを打ち出されていまして、そこに言及せずに再検証すると、高速道路無料化についてはこの間の年明けの会見で現実的な財源の確保も合わせて案を提示する責任があると、そのお考えについては、もし大臣が替わられた場合についても引き続き後継の方に守っていただきたいとお考えでしょうか。
(答)何度も申し上げるように、こうした議論は役所の中でもしっかりと積み上げながら行ってきたものでもありますから、今後はそうした役所の中での議論というものも新大臣にはよく御説明いただいて、また御理解をいただいて判断をしていただくものだと思います。
何が何でも前任者の政策を踏襲するというものではないというのは当然だと思いますので、ただ私が今日まで構築してきた政策体系についてはこういうものですということをしっかりと説明していただくことがまず第一だと思っています。
(問)利根川の基本高水の関連で、大臣が御指示なさった再計算の結果が出る前の交替になりますけれども、新大臣にはどんな点を注意してこの再計算を進めてほしいと伝えるのか、あるいは今後、大臣が与党議員としてこの問題にどのように取り組んでいくのかお考えをお聞かせください。
(答)事細かなことを私が新大臣に申し上げるのは僭越だと思います。
それは事務方から政策の流れも含めて説明を受けた上で御判断いただくべきものだと思いますので、私は今申し上げたように、この大きなアウトライン8項目ございますので、これについてまとめるように指示をしていますから、どうかこれを一読くださいというぐらいのことは申し上げたいと思います。
逆に何かお尋ねがあればお答えさせていただきますが、むしろそれは現場、原局から聞いていただいた方が正確だと思います。
その上で私自身がこの八ッ場ダムの問題にということでありますが、自分がどういう立場になって今後どういう議員活動をしていくのかということがまだ自分の中では白紙状態でありますので、新たな仕事を与えられればそれに専念しなければなりませんし、あるいは政策マターという中で関わる機会があればしっかりと発言をしていきたいと思います。
いずれにしても、国民に負託を受けた議員でありますから、今まで以上に変わらずに国民の代表として、政策並びに国民の生活に密着した課題の解決ということに取り組んでいきたいという思いは変わりません。
(問)八ッ場ダムに関連してですが、八ッ場ダムの地元住民との意見交換会が開かれないままでの交替ということになりますが、その点についての思いが1つと、短期間で大臣が替わるということで、前原前大臣と今度で3人目の大臣ということで地元住民には複雑な思いが広がっています。
その2点についてお伺いします。
(答)住民対話ができなかったということについては、一言で残念でならないという思いでありますが、これも何度かお願いをしてきた中でかなわなかったということでありますので、今後、私は本日付けで退任ということでありますから、時間の制約がありましたが、時間の制約があまり気にされることのない新大臣にしっかりと住民の皆さんとの対話をしていただけたらとの思いがあります。
そして短期間でということでありますが、これは私自身が決めたことでもありませんし、そこは何度も申し上げているように、行政の継続性というものが最も重視されるべきだと思っておりますので、大臣が替わろうとも一定の方向性というものについてはしっかりと踏襲していただき、継続性の中で変更点や、あるいは転換点があれば、国民の皆様方に納得していただけるような説明をしながら、今後、変化、転換させていくということも当然あり得ると思います。
私は、その意味で、新大臣にはまずは今日までのこの1年4か月、前原大臣並びに私が取り組んできた経緯については、しっかりと現場、原局からお聞きをいただきたいとは思っています。
◆2011年1月14日 大畠大臣会見要旨
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin110114_1.html
(八ッ場ダム関連の発言なし)
◆2011年1月15日 上毛新聞一面より一部転載
-「馬淵氏の方針」踏襲 八ッ場問題で新国交相ー
大畠章宏国土交通相は14日夜、首相官邸で就任会見を行い、八ッ場ダム問題について、「馬淵(澄夫)前大臣が方向性を出した。一つは一切の予断を持たずに検証を行うこと。二つめは生活再建事業に万全を期すということ。この基本方針を大切にしながら仕事をしていきたい」と述べた。建設中止方針を事実上撤回し予断なく必要性を検証した上で今秋に検証結果を示すとした馬淵前国交相の路線を踏襲する考えを示した。 (以下略)
◆2011年1月17日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581101170001
ー大畠・新国交相「馬淵氏方針を踏襲」ー
14日の内閣改造で、国土交通相を退いた馬淵澄夫氏と、後任の大畠章宏氏の記者会見要旨は以下の通り。
◆大畠・新国交相
――マニフェスト(政権公約)の見直しについて。
前任の馬淵氏の「一切の予断をもたずに検証を行う」「生活再建事業に万全を期す」という方針を踏まえたい。政策を現実の社会に適用するには、現実を踏まえてやっていかなくてはならない。マニフェストは国民の皆さんとの約束だが、政策を実行する場合、現実の地域社会と国民の理解を得なければならない。そのためには検証が必要だろうと思う。
――(八ツ場ダム建設の根拠となっている)利根川の基本高水(たか・みず)(最大流量)について、推進派も反対派も納得できる場で検討していくと馬淵氏は言っていたが。
一切の予断をもたずに検証する中に、基本高水の問題も入っている。馬淵さんがご苦労されながら打ち出された考え方は踏襲していきたい。
――地元視察は考えているか。
私は(日立製作所の社員として)ものづくりの世界で現場主義で来た。現地の議会や住民といった関係者の話をよく聞きたい。理解と納得が得られなければ、実行できない。いろいろと機会をつくって理解と協力が得られるよう努力したい。私は(経済産業相として)イラクまで行った。どこへでも参ります。
◆馬淵・前国交相
八ツ場ダムの問題については大臣を拝命してからは、あらためて再検証の道筋をつけた。いっさいの予断をもたず、中止の方向性には言及しないと申し上げ、より現実的な検証という舞台に上げたことは一定の成果だと思う。
単なる中止の撤回だと揶揄(や・ゆ)もされたが、そうではない。検証のなかでしっかりと議論していただくため、その前提となる(利根川の最大流量でダム建設の根拠の)基本高水の再検討も始めた。(ダムや堤防の整備などを含めた)河川計画の方針を見直すことにつながる。透明性・客観性・公平性をもって取り組むことで、反対派も推進派もともに納得いただける結論を出すことになると思っている。
――地元住民と意見交換会が開かれないまま交代。短期間で3人目の大臣になる。
住民対話ができなかったことについては、ひと言で残念でならない。新大臣にしっかりと対話をしてほしい。短期間ということは私が決めたことではない。大臣が代わろうとも、一定の方向性については踏襲していただきたい。
◆2011年1月19日 上毛新聞一面より転載
ー大畠国交相 「秋」結論に努力 八ッ場検証 住民対話、時期示さずー
大畠章宏国土交通相は18日、関東地方整備局で進められている八ッ場ダム(長野原町)の建設の是非をめぐる検証の期限について、「馬淵(澄夫)前国交相が秋というめどを示した。目標とし、結論を得るよう努力したい」と述べ、今秋に検証結果を示すとした馬淵氏の考えを踏襲する意向をあらためて表明した。上毛新聞社などのインタビューに答えた。
ダムの地元住民との対話については「いずれにしても地元の理解と協力がなければ政策を進めるのは難しい」として、不可欠との姿勢を強調。自身を含む政務三役で早期に現地入りしたいとしたが、時期を明示しなかった。
ダムなどを中止した場合に住民の生活再建を財政支援する補償法案が、政権交代時に目指していた昨年の通常国会に提出できず、今年の通常国会でも見送られることになったことでは、「国会情勢が厳しい。必要性は実感しているので、引き続き検討を進めたい」と述べた。
ダムの有用性に関する質問では、地元の茨城県内のダム建設に関する式典に出席した経験に言及し、「ダムは非常に重要な部分がある」としながらも、「予断を持たずにしっかり検証する」と述べた。