八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

日本学術会議基本高水分科会の第二回会議開かれる

 さる2月18日に日本学術会議基本高水分科会の第二回会議が開かれました。
 この分科会の正式名称は、河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会といい、八ッ場ダム建設の根拠となっている利根川の治水データの検証を行う目的で設定されました。
 日本学術会議のホームページには、1月19日に開催された第一回会議の資料とともに、今回の会議の配布資料等も公表されています。
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http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/giji-kihontakamizu.html

★第二回配布資料↓
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/takamizu/haifusiryou02.html

 こうした動きとは別に、国土交通省関東地方整備局は八ッ場ダムの本体工事着工の是非を決める検証作業を行っています。「基本高水」の検証は、八ッ場ダムの検証の重要なポイントであり、本来、「基本高水」の検証結果を踏まえて八ッ場ダムの検証を行うものです。けれども、関東地方整備局が巷間言われているように八ッ場ダム推進ありきの検証を進めるのであれば、「基本高水」の検証が公正に科学的に実施された場合、日本学術会議の基本高水分科会の検証作業は障害となります。国交省が八ッ場ダムを推進したいのであれば、基本高水分科会の検証を意味のないものにするよう働き掛けるでしょう。ダム推進派の圧力が増す中、有識者メンバーが学者の良心を貫くことができるのかが注目されます。
 今回の第二回会議では、5月下旬に報告書案をまとめることになりました。小池委員長としては、八ッ場ダムの治水の検証に間に合わせたいという意向があるようです。専門家のヒアリングが3月下旬頃に行われることになりますが、専門家としてどのような人が招聘されるのか、公正な検証にふさわしい公正な人選がされるのかが重要なポイントとなります。

 
◆2011年2月19日 東京新聞群馬版より転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20110219/CK2011021902000091.html

 -基本高水検証 有識者会議 5月下旬 報告書案―

 八ッ場(やんば)ダム建設の根拠となっている利根川の最大流量(基本高水)を検証する有識者会議の二回目の会合が十八日、東京都内で開かれた。国土交通省が実施する基本高水の見直し作業の内容評価をまとめる時期について、当初目標の九月末を前倒しして、五月下旬をめどに報告書案を作成することを決めた。

 今後は、現行の計算手法として採用されている「貯留関数法」の問題点を検証。国交省が「ゼロベースで構築する」としている新たな計算手法や再計算結果の評価などを四月下旬までに実施する。専門家からのヒアリングや、報告書案の内容を紹介する公開説明会も開催するとした。

 会合では、一九四七年のカスリーン台風並みの雨が降った場合、利根川の治水基準点となっている伊勢崎市八斗(やった)島の最大流量が毎秒二万二千立方メートルに達するとした国交省の現在の基本高水の設定について、委員らが計算プロセスの詳細な説明を求めた。だが、同省は「数値を算定した根拠となる資料が、現段階では確認できていない」と回答を避けた。

 有識者会議委員長の小池俊雄・東大教授は「十分な資料が残っていないことで、経緯を細かく理解できないのは残念なことだ」と国交省の対応を批判した。有識者会議の報告書案について、小池氏は「学術的な発展につながるよう、(現行の算定方法を)新たに変えていくための提案が盛り込まれる可能性が高い」と強調した。 (中根政人)

◆2011年2月19日 上毛新聞より転載

 -八ッ場関連の基本高水検証 5月下旬目標に報告 日本学術会議―

 利根川で起こりうる最大規模の洪水の流量で、八ッ場ダム建設を含む河川整備方針の基礎データとなっている「基本高水流量」の妥当性を検証する日本学術会議分科会の第2回会合が18日、都内で開かれ、5月下旬を目標に分科会報告を出すことを確認した。
 基本高水の検証期限については、馬淵澄夫前国土交通相が、八ッ場ダムの建設の是非を判断する秋までとの認識を示していた。学術会議全体としての報告書を秋までにまとめるには、5月末までの分科会報告が必要と判断したもよう。
 分科会は検証手法も検討。現在の基本高水は基準点の伊勢崎市八斗島上流を54流域に分割した上で、200年に1度の大雨が降った際に川に流れ出る水の量を「貯留関数法」と呼ばれる計算方法で算出している。国交省側はこの日、八斗島上流を39の流域に分割して算出する案を示した。
 現行の基本高水を決めた1980年当時よりも観測所の整備が進み、データが蓄積されたことを踏まえ、より高精度の計算値が得られるように再分割したという。計算方法は現行と同じ貯留関数法を想定している。
 このほか4月上旬までに、検証に必要なデータ分析や利根川水系の洪水に詳しい専門家4人程度から意見を聴くことや、分科会報告の後に公開説明の場を設けることも申し合わせた。
 東京大教授の小池俊雄委員長は、基本高水の算定方法について「これまでの学術的な発展を考えて、望ましい形に変えていくべき」との考えを示した。
 現在の基本高水をめぐっては、ダム慎重派が、流域分割図が非公開である点や地面にためられる雨量など貯留関数法の数値設定を問題視し、「過大だ」と批判している。