群馬県みどり市の水利権について、国交省が河川法違反にあたるとして処分に必要な手続きを開始しました。
群馬県みどり市が川口川にもつ水利権は一日3600トン、超過取水量は13年間で7930万トン、一日平均にすると1万6700トンですから、5倍近くになります。
みどり市は川口川が合流した後の渡良瀬川の水利権として一日1万9400トンを国から認められており、本来はそこから取水するべきですが、その大半をその上流の川口川から取水してきたということです。川口川から取水すると自然落差で送れるので、ポンプ代がかかる渡良瀬川の取水を減らして、川口川から取水するようにしたということです。
ところで、みどり市が持つ渡良瀬川の水利権は、利根川上流の奈良俣ダムによるものです。渡良瀬川の水は奈良俣ダムとは関係ないのですが、国交省関東地方整備局は各ダムの連携運用で川筋が違っても取水が可能だという理解できない理屈で、みどり市に奈良俣ダム建設事業への負担金を支払わせて水利権を許可してきました。河川水全体の収支からみれば、みどり市が川口川から取水しようが、渡良瀬川から取水しようが同じです。ただ、水利権許可書で決められた場所から取水していなかっただけのことで、河川法に違反とみなされたのです。
違法な取水は確かに問題がありますが、この事件は実態と離れた水利権許可行政の空虚さが浮き彫りになったものといえます。現在の水利権許可行政は水道事業者等にダム建設への参加を強制し、ダム事業を推進する手段となっているのです。
この事件を扱っている記事と国交省関東地方整備局のアドレスをお知らせします。
◆東京新聞群馬版 2011年3月11日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20110311/CK2011031102000104.html
-最低1年の取水停止 みどり市の水道不正 国交省が処分案提示―
みどり市が、渡良瀬川支流の川口川取水口で、本来許可された量よりも多く水道水を取水していた問題で、国土交通省関東地方整備局は十日、「河川法違反に当たる悪質な行為」として、同取水口を最低一年間の使用停止にするなどの監督処分案を提示し、処分に必要な手続きを開始したことを明らかにした。
今後、みどり市に弁明の機会を与えるほか、県知事への意見聴取などを経て、今月中にも正式な処分を決定するとしている。
問題は、二〇〇九年三月に匿名の通報で発覚。同整備局は、みどり市が川口川取水口で合併前の一九七八年度から二〇〇八年度までの三十一年間にわたって、許可量を超える取水を行っていたと認定した。超過した取水量は、少なくとも記録のある一九九六年度以降の十三年間で七千九百三十万トンに上ったとしている。
さらに、取水量が許可量を上回っていないように見せ掛けるため、測定用の装置に細工を施し、取水量のデータを改ざんしていたことも指摘。「水需要の逼迫(ひっぱく)などの状況はなく、取水経費の削減が目的だった」と断じた。
みどり市の石原条市長は「国の判断を真摯(しんし)に受け止め、再発防止に努めたい」とコメント。同市水道局は「極端な渇水がない限りは、川口川取水口が使用停止になっても市民への水道供給に影響はない」としている。 (中根政 人)
◆関東地方整備局のHP
群馬県みどり市水道の水利使用の河川法違反事案について
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kyoku_00000195.html