2011年6月22日
これまでもお伝えしてきましたように、日本学術会議による利根川の基本高水検証は、本質的な利根川治水の検証に踏み込むことなく、幕を閉じようとしています。
さる6月20日、日本学術会議分科会の最終回が開催されました。
この会議については、先週発行の「週刊金曜日」紙上で、ジャーナリストのまさのあつこさんが問題点を簡潔にまとめており、
↓
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/antenna/antenna_kiji.php?no=2117
八ッ場ダム、日本学術会議が検証 御用学者らがお墨付(2011/6/17)
さらに、6月20日の最終回を経て、ブログで詳しく論じています。
日本学術会議 想定外のショック
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-fd21.html
日本学術会議、想定内のショック
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-13fa.html
日本学術会議の大きな成果
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/
日本学術会議では、8月2日午後2~4時に一般市民を対象とした説明会を開き、その後、国交省に回答する予定としています。
関連記事をこちらに転載しています。↓
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1260
八ッ場ダム計画は現在の過大な基本高水流量によって作り出されました。学術会議が基本高水流量を容認したことによって、八ッ場ダムの検証は国交省関東地方整備局の思惑通りに進む様相を呈してきました。
地元では以前から、ダム推進の町長らが、民主党政権による八ッ場ダム検証は、八ッ場ダム建設にゴーサインを与えるための儀式だと公言しています。国交省の内部でそのように言われているのでしょう。半世紀以上、国策を押し付けられてきた地元の住民は、権力の実態をよく知っています。
ダム検証が形式的なものとなっているのは、八ッ場ダムだけではありません。全国のダム事業が今や、御用学者のお墨付きによって延命されようとしています。
日本学術会議の最終回が開催された6月20日、新聞では福島原発事故の最悪の事態を回避するための「地下ダム」建設が取り上げられていました。↓
http://mainichi.jp/select/seiji/fuchisou/news/20110620ddm002070081000c.html
2011年6月20日 毎日新聞東京朝刊
「風知草:株価より汚染防止だ=山田孝男」
放射性物質に汚染された地下水の海洋流出を食い止めるためには、「地下ダム」建設が急がれるが、費用が約1,000億円もかかるため、東京電力が公表を渋っていた、というのです。
八ッ場ダムはこれまで3000億円以上の税金を投入しながら、未だに本体工事に着工していません。事業費は今後も増額され、残事業費が1,000億円を越えることは確実です。半世紀以上前のダム計画が急がれたことはありませんが、放射能汚染の拡大防止は喫緊の課題です。
八ッ場ダムも含めて、全国の不要不急のダム事業には、今年度も約2,400億円の予算が計上されています。地下ダム建設は東電が責任を持って対応することが求められますが、この国の税金の使い方も、まるで汚染地下水のようにダダ漏れです。
なお、先週の「週刊金曜日」には、熊本一規氏(明治学院大学教授)による論考「八ッ場ダム上流の品木ダムは違法ダム 中和システム前提とする八ッ場ダムは建設できない」も掲載されています。八ッ場ダムには数々の問題がありますが、ダム計画の前提である中和事業も大きな問題を孕んでいます。↓
http://www.kinyobi.co.jp/consider/consider_newest.php