栃木県が地下水規制を条例化するという記事が地元紙に掲載されました。 栃木県では、地盤沈下対策を南摩ダム建設参加の理由にしているのですが、栃木県にはこれまで地下水規制の条例がありませんでした。
今回の条例化は、井戸の届け出と揚水量の報告を義務づけるもので、東京都、埼玉県、千葉県で実施されている地下水規制(井戸新設の禁止)ではなく、緩やかなものです。
水資源機構(旧・水資源開発公団)が事業主体である南摩ダムは、洪水調節、上水道の供給などを目的として、利根川水系の思川の開発事業として計画されたものです。しかし、地盤沈下はすでに沈静化しており、ダム計画の必要性が疑問視されながら、事業が継続され、八ッ場ダムと共に長期化した関東地方のダム事業(1969年着手、2015年竣工予定)として問題視されてきました。
以下の記事にもありますように、栃木県の「地下水利用は農業用水が主」ですから、南摩ダムが地盤沈下を抑制する効果はほとんどありません。栃木県は、思川開発事業に参画する口実として地盤沈下を利用してきたとみられます。
2011年7月23日 下野新聞
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20110722/570686
ー地下水規制で条例化へ 県、届け出義務と罰則検討 9年越しで議論具体化ー
県は地盤沈下を防ぐための地下水採取規制を条例化する方向で検討に入ることを決め、22日の県環境審議会地盤沈下部会で、たたき台となる中間報告の骨子案を示した。地下水採取の届け出義務化や、違反した場合の罰則を盛り込むことが柱。県は2002年に条例化について同審議会に諮問した後、地盤沈下と地下水位との関係などについて調査を続けてきたが、基礎資料がまとまったとして、9年越しで議論を具体化させることになった。
県は04~06年度に地盤沈下の著しい野木町で実態を調査。08年度には旧藤岡町と小山市、野木町で、地盤沈下と地下水採取の関係を詳しく調べた。その結果、地下水利用は農業用水が主で、沈下量や稲作期間の地下水採取量、降水量との間に密接な関係があることなどが分かった。
県は「地盤沈下防止対策を進めるには、地下水採取の実態把握が必要。現行の地下水揚水施設指導要綱では不十分で、緊急時の採取抑制にも実効性が伴わない」として、採取施設の届け出と揚水量の報告の義務化、違反時の罰則、地下水採取の削減勧告などを条例化検討のための骨子案に盛り込んだ。
地盤沈下部会では「豊富な地下水の恩恵を享受するためには、健全に使うことを(条例検討の)基本スタンスにすべき」「地下水以外にため池など他の水利用の代替策があるのかも検討しないと(規制に)実効性がない」などの意見が出された。
同部会は10月の次回会合で、県環境審議会への中間報告案を審議する。県民からの意見募集を経て同審議会が報告書をまとめ、福田富一知事に答申する。
県によると、国土交通省が地盤沈下被害の著しい地域として指定した「関東平野北部」の5県(埼玉、千葉、茨城、群馬、本県の一部)で、地下水規制条例を制定していないのは本県だけという。
—転載終わり—
南摩ダム問題に関するサイト↓
http://damhantaikanuma.web.infoseek.co.jp/NanmaDam/NanmaDam.html
ダム反対鹿沼市民協議会