2011年8月28日
間もなく政権交代後二度目の民主党代表選が実施されます。
代表選の候補者の中に、国交大臣を務めた前原誠司、馬淵澄夫両衆院議員がいます。特に前原氏は、政権交代直後に「八ッ場ダム中止」を公言して注目されただけに、代表選がらみで八ッ場ダムがこのところ久しぶりにメディアで取り上げられています。
八ッ場ダムは政権交代後、このように政治がらみで単発的に取り上げられることはあるのですが、八ッ場ダム問題を掘り下げるマスメディアは少なく、深刻な実態はいまだに殆どの国民には伝わっていません。
現在行われている八ッ場ダムの検証は、ダム本体工事の再開にゴーサインを出すための茶番劇と言われます。ダム検証がこんなお粗末な状況に陥ってしまった原因は、ダム検証のルールを決めた有識者会議のあり方に問題があったからだといわれます。
前原大臣の私的諮問機関として発足した「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は、さる8月23日に第17回目の会議を開きました。その時の配布資料が国交省のホームページに掲載されています。
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http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai17kai/index.html
この「有識者会議」が扱うテーマは、わが国の治水政策という、国民全体にとって極めて重要な内容なのですが、会議はいまだに非公開で実施され、ほとんどの国民が一体何が議論されているのかを知りません。
有識者会議のメンバーの中には、知見と良識に基づいて本質的な問題提起をする学者もいるようですが、全体の方向性としては、これまでの河川行政を守り、多くのダム計画を温存する結果となっています。有識者メンバーを国交省自らが選び、事務方も国交省が務め、外からの批判を封じる非公開では、こうした結果になるのは当然です。
全国の市民団体はこれまで何度も有識者会議の公開を求めてきましたが、国交省はこれに応じる気配がありません。このような前時代的な国交省の姿勢に対して、ジャーナリストのまさのあつこさんがこのほど「取材妨害に関する公開質問状」を国交省の担当者に提出し、ブログ上で公開しました。
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http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-c623.html
この公開質問状には、河川行政の時代遅れの実態の一端が具体的に書かれています。
一人のジャーナリストの勇気ある行動と、マスメディアの沈黙と。河川行政の閉鎖性を改善するには、まだまだ大きなエネルギーが必要です。