八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

台風12号による洪水被害

2011年9月3日

 群馬県は例年、西日本にくらべると台風被害が少ないのですが、今年の台風12号は県内にも記録的な大雨を降らせ、大きな被害をもたらしています。
 利根川とその支川の水位について、国土交通省関東地方整備局のホームページが記者発表資料をアップしています。これを見ると、各地点とも洪水ピーク水位は氾濫危険水位より数メートル以上も下にあり、越流にはほど遠い状態にあることがわかります。
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http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000043891.pdf
 3ページの「水位状況」(平成23年9月3日15時現在)参照

 このように、今回の浸水被害は利根川や利根川支川からの越流ではなく、内水氾濫(小さい支川の氾濫を含む)によるもので、土砂災害も多数発生しています。
 八ッ場ダム建設には巨額の費用がかかり、河川予算のかなりの割合を占めているため、八ッ場ダムが建設されれば洪水被害が防げるとされていますが、実際の洪水被害を見ると、仮に八ッ場ダムがあったとしても防げないものばかりであることがわかります。

◆2011年9月2日 読売新聞群馬版 

 -台風12号 浸水100棟超、道路冠水92か所 伊勢崎は観測史上最大の24時間297ミリ―

 大型で強い台風12号の影響で湿った空気が流れ込み、県内では31日から1日にかけて、県南部を中心に記録的な大雨に見舞われた。

 伊勢崎市と前橋市、藤岡市では24時間雨量が観測史上最大値を記録。県内の建物への浸水被害は100棟を超えた。2日夜からは、台風12号の接近で風雨が再び強くなる恐れがあり、県などは引き続き警戒を呼びかけている。

 前橋地方気象台によると、24時間雨量は、1日午後9時までに伊勢崎市で297・5ミリ、同9時半までに前橋市で216・0ミリ、同9時40分までに藤岡市で277・0ミリを記録。

 1976年(伊勢崎市は1998年)の観測開始以降、最大値となった。1時間雨量でも、伊勢崎市では1日午前6時までに54・5ミリと、9月の観測記録を塗り替えた。

 各自治体や消防本部のまとめによると、1日午後5時までに、県内では14棟が床上浸水、89棟が床下浸水した。道路92か所が冠水し、車両13台が立ち往生した。コンクリートや土砂が崩れる「斜面崩れ」も2件発生した。

 被害の大半は伊勢崎市で起きた。同市豊城町では、県道や水田に降った雨水が住宅街に流れ込み、一時はひざ下ほどまで浸水した。近くの金物店経営岡田秀丸さん(69)は「普段は空っぽの水路があふれ、川の水が流れるような勢いだった」と浸水した店内の片づけ作業に追われていた。

 同市山王町の東京福祉大の本館では1日午前9時頃に床上浸水が確認された。昼頃には駐車場が冠水し、学生らの乗用車数十台が浸水した。

 同大職員は「こんな事態は初めて」と困惑した様子で話した。太田市立世良田小学校では1日朝、児童約20人が冠水で自宅を出られなくなり、通学できなくなる騒ぎも起きた。

 高速道路では、関越自動車道や北関東自動車道で通行止めが続いた。鉄道もダイヤが乱れた。JR東日本高崎支社の1日午後8時40分現在のまとめによると、管内のJR6線で計58本が運休、107本に遅れが出て、約2万5000人に影響した。

 同気象台によると、本州に接近中の台風12号は群馬県に直撃はしないものの、2日夜~3日朝まで、風雨にさらされる可能性が高い。各自治体の小中学校では終業時間を早めたり、自治体がイベントを取りやめたりするなど、影響が出ている。

 県警は「川に近付かないなど、常識的な行動の徹底とともに、気象台や市町村が出す警報に注意してほしい」と呼びかけている。

(写真)冠水した道路を水しぶきを上げながら通過する車の列(1日午前9時35分、群馬県玉村町下新田で)=竹内元撮影

◆2011年9月3日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000001109030001

 -浸水・倒木 大雨被害続く―

 2日も県内は断続的に強い雨が降り、伊勢崎市の家屋浸水を中心に被害が拡大した。前橋地方気象台によると、前橋市で同日午前4時までの24時間雨量が216・5ミリ、高崎市で同1時52分までの1時間雨量が63ミリを観測。いずれも9月の観測史上最大だった。3日も激しい雨が降る見込み。

 2日午前3時45分ごろ、渋川市伊香保町伊香保で、高さ約20メートルのアカシアの木3本が、住宅2棟の屋根や乗用車2台の上に倒れた。乗用車が被害をうけた関美紀男さん(66)は大きな音で目が覚め、外へ飛び出した。ほかにも倒れそうな木があり、5世帯9人が支所に自主避難した。

 吉岡町漆原では川の土手が崩れ、近くの1世帯3人に避難勧告が出た。

 ●家屋浸水増える
 県内の床上浸水は累計で19棟に増え、床下浸水は186棟に上っている。

 浸水165棟と県内で最も被害が大きい伊勢崎市。同市山王町のシイタケ農園は、隣接する水田から水が流れ込み、敷地内のビニールハウスなどが水浸しになった。従業員4人が水のかき出しや片づけに追われた。従業員の中国人男性(33)は「雨で水浸しになるなんてなかった。片づけは夕方までかかりそう」。

 東京電力群馬支店によると、土砂崩れに伴う電柱の損壊などで高崎市、伊勢崎市、渋川市、南牧村、長野原町の一部地域約2400世帯が一時停電となった。

 ●公共交通機関乱れ
 高崎市根小屋町では1日夕、土砂崩れが発生、上信電鉄の一部の線路を土砂がふさぎ、下仁田行きのワンマン列車が立ち往生した。乗客約70人はバスで山名駅に送り届けられた。2日未明に復旧作業、日中にも補強作業を行い、高崎―山名間で代替輸送した。

 JR各線は、一部区間で徐行運転したり、運転を見合わせたりした。

 国道や県道は一部で通行止めが続いた。藤岡署によると、午後3時40分ごろ、藤岡市保美濃山の国道462号神坂トンネル入り口付近で土砂崩れが発生。復旧作業は3日以降になる。

 高速道路も、北関東道、関越道、上信越道の一部区間で通行止め。(・・・以下略)

 (写真)
 大雨で倒れた木が住宅や車を直撃した現場=2日午前11時40分、渋川市伊香保町(画像の一部を修整してあります)

 大川では沿岸のコンクリートとフェンスが崩れ、付近が通行止めになった=2日午後3時56分、伊勢崎市連取町

 土砂崩れの現場。豪雨の中、復旧作業が進められた=2日午前0時46分、高崎市根小屋町

◆2011年9月3日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20110903-OYT8T00036.htm

 -63か所で土砂災害 台風12号影響―

 停電2400軒
 大型の台風12号の影響で、県内は2日も断続的な大雨が続き、建物の浸水のほか、土砂災害が63か所で発生するなど被害は広がっている。停電は約2400軒に上り、渋川市と吉岡町の6世帯12人には避難勧告も出た。県内各地では3日も、雷を伴う激しい風雨となる見通しで、前橋地方気象台は土砂災害や浸水への注意を呼びかけている。

 前橋、伊勢崎、藤岡の3市では、2日午後10時までの72時間雨量が、観測史上最大となった。各自治体や消防によると、大雨による土砂崩れや流出は、高崎市で33か所、渋川市で18か所、安中市8か所、吉岡町3か所、高山村1か所と、県全域で発生した。安中市板鼻の市道では2日早朝、市道ののり面が崩落し、道路が約50メートルにわたって土砂で埋まった。渋川市伊香保町では同日未明、アパート脇の斜面の木(高さ20メートル)2本が屋根と軽乗用車2台に直撃した。

 停電も相次いだ。高崎市寺尾町の市道では2日未明、土砂崩れにより電柱が折れ、周辺398軒が約2時間半停電。南牧村でも倒木が電線にかぶさり、710軒で2時間48分間、伊勢崎市では870軒で57分間、停電となった。

 8月31日以降の浸水被害は、床上が計27棟、床下が計194棟にのぼった。一級河川の護岸や河岸の崩落も続出、前橋市や伊勢崎市など6か所で、10~200メートルにわたって損壊した。

 同気象台によると、県内の大雨のピークは3日朝まで。1時間雨量が60ミリを超える地域が出る可能性があるという。

 土砂災害警戒情報は3日にかけて、前橋、高崎、桐生、伊勢崎、太田、渋川、藤岡、安中の8市と、中之条、東吾妻、玉村の3町に出された。
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 県内小中学校休校など措置 2日は、県内の小中学校の多くで登下校時間の変更や休校などの措置が取られた。

 県教委によると、休校したのは、伊勢崎市や渋川市などの小中学校計73校。また、前橋市や高崎市、太田市などの小学校76校、中学校21校で下校時間を早めたほか、高崎市の2小学校と1中学校で登校時間を遅らせた。

 伊勢崎市では市内の全小中学校35校が午後から休校措置を取った。
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 鉄道ダイヤ混乱 鉄道のダイヤも乱れた。2日午後6時半までに、JR東日本高崎支社管内のJR6線で計65本が運休し、計75本が遅れ、約1万3000人に影響が出た。また、2日午後7時15分頃には、JR吾妻線川原湯温泉―長野原草津口駅間の線路上で、倒木が見つかり、上下線3本が区間運休するなど、約300人に影響した。

 既に、3日の運休が決まっている列車(全区間)は次の通り。

 【JR】特急草津1~6・31・32号▽特急リゾート草津▽快速SLレトロみなかみ、快速SLみなかみ▽快速風っこもぐら、快速風っこループ2・4号

写真=倒木で、アパートや軽乗用車に被害が出た(2日午前、渋川市伊香保町で)

写真=斜面から大量の土砂が流出し、電柱が折れた(2日午前、高崎市寺尾町で)