八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

公聴会の取り扱いに関する公開質問書

 さる11月6~8日に八ッ場ダム検証に関する公聴会が開催されましたが、各地の公聴会で意見を述べた利根川流域住民有志27名が国交省関東地方整備局の意見聴取への対応は不当だとして、連名で公開質問書を同局に提出しました。
 公開質問書の全文を以下に転載します。

 2011年11月10日 
 国土交通省関東地方整備局長 下保 修 様

 「八ッ場ダム検証報告書素案に対する 関係住民の意見聴取」で陳述した意見の扱いに関する公開質問書

                     11月6~8日の公聴会の意見陳述者の有志
                       連絡先(略)

 私たちは11月6~8日の「八ッ場ダム検証報告書素案に対する 関係住民の意見聴取」で意見を陳述したものです。
 陳述した意見の扱いについて公開質問書を提出します。

 陳述した意見の扱いについて、7日のさいたま新都心会場で荒川泰二河川計画課長に陳述者有志が質問したところ、陳述内容は検証検討報告にまとめるにあたり、参考にするが、回答はしないと答えました。要するに「聴き置く」だけということです。
 しかし、これは2つの点から問題があります。
 第一に、1997年改正河川法により河川整備計画を策定する際は「公聴会の開催等関係住民の意見を反映させる」(第16条の2)措置を講ずることになり、国会審議では、「言いっ放し、聞きっ放しというのでは全く意味がない、(略)必要なものについては修正をするという形で考えておりますので、まさにその河川整備計画に関係住民の皆さん方の意向が反映をしていくというふうに考えております」と、当時の河川局長が答弁(1997年5月9日衆議院建設委員会)をしています。今回の意見聴取内容については河川整備計画相当流量も含まれており、聞きっ放しは許されません。この国会答弁に準じた扱いがなされるべきものです。
 第二に、2006年改正行政手続法により加わった「意見公募手続」では、提出意見を考慮した(しなかった)結果と理由を公示しなければならない(第43条4項)とされています。
 今回の「関係住民の意見聴取」や「パブリックコメント」は、行政手続法に基づく正式な手続ではないにしても、河川整備計画相当流量を含む内容を聞く以上は、こうした考え方に基づくべきであり、ことにパブリックコメントに対してはそれぞれへの回答を検証検討報告に載せることになっているのですから、手続上の整合性を取る上でも、陳述意見に対しても同様に回答があって然るべきです。
 パブリックコメントに比べて、公聴会での意見陳述は、公の場に身をさらして行うものですから、人によっては意を決して陳述されているのであって、その意見陳述がただ聴き置くだけで、回答しないというのはまことに不当な扱いです。
 先人達が前進させてきた国民と河川行政および行政手続との関係を後退させることなく、踏襲、前進させるべく、意見陳述の主要な論点に対して検証検討主体として真摯な回答を示すことを求めます。
このことに関して貴局の見解を11月15日(火)までに明らかにしてください。文書でご回答ください。

 11月6~8日の公聴会の意見陳述者有志
入江晶子(千葉)、浦野稔(群馬)、大高文子(埼玉)、大野博美(千葉)、河登一郎(埼玉)、川原理子(東京)、神原禮二(茨城)、小高真由美(埼玉)、小林賢一郎(東京)、坂倉敏雅(千葉)、佐藤守(東京)、佐藤雄二(東京)、嶋津暉之(埼玉)、鈴木郁子(群馬)、高階ミチ(群馬)、田中清子(東京)、田中輝子(埼玉)、都甲公子(東京)、中村春子(千葉)、苗村洋子(東京)、中澤啓子(東京)、西島和(東京)、深澤洋子(東京)、真下淑恵(群馬)、武笠紀子(千葉)、村越啓雄(千葉)、渡部卓(東京)