2011年11月16日
さる11月6~8日、国土交通省関東地方整備局は利根川流域の四つの会場で同局による八ッ場ダム検証案についての公聴会を開催しました。その開催結果が同局のホームページに掲載されています。↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000187.html
意見陳述者が申し込みの際に提出したレジュメと当日の配布資料も掲載されています。(○印をクリックすると、レジュメと配布資料の実物が表示されます。)
意見陳述者は全体で51人名でした。それらの意見を集計すると、次のようになります。
千葉県香取市 ダム反対・見直し 5人、 ダム推進 0人
群馬県長野原町 ダム反対・見直し 6人、 ダム推進 2人 中立 2人(読売新聞群馬版による)
埼玉県さいたま市 ダム反対・見直し 21人 ダム推進 9人
埼玉県久喜市 ダム反対・見直し 0人 ダム推進 6人
計 ダム反対・見直し 32人 ダム推進 17人 中立 2人
埼玉県久喜市で意見を述べた6人は、朝日新聞埼玉版の記事(11月9日付け)によれば、合併される旧町長が陳述者の半分を占めていました。
さいたま市の会場では、陳述者に元・埼玉県職員とみられる人々が少なからずいました。最近まで埼玉県特別参与であった人(前大利根町長)もいました。
国交省関東地方整備局による八ッ場ダムの検証は、検証過程で関係都県の意見を十分聴く手順が踏まれました。公聴会は検証過程の中で意見を述べる機会がなかった利根川流域の一般住民が意見を述べる場で、行政関係者が行政の意見を代弁するために陳述する場ではありません。
埼玉県の会場で、行政の関係者が多数陳述したのは、埼玉県の働きかけによるものなのでしょう。行政の働きかけがなければ、賛成意見はさらに少なくなったと考えられます。
一方、東京都、千葉県の住民で八ッ場ダムに賛成の意見を述べた人は1人もいませんでした。八ッ場ダムはもともと、東京を中心とした首都圏の人口増加による水不足解消を名目として進められてきた事業です。それなのに、公聴会で1人も賛成意見を述べる都民がいなかったのは、なんとも皮肉です。
群馬県ではダム予定地を抱える地域の町議会関係者とダム関係の住民組織の方が賛成意見を述べました。ダムの受益者であるはずの下流域で、行政関係者以外にダムを望む意見がほとんど出ず、あたかも地元がダムを望んでいるかのように報道されるのは、首都圏のためにと犠牲を強いられてきた地元の人々にとっては、なんとも腹立たしいことでしょう。
国交省も関係都県も、いつまで地元の住民を欺き続けるのでしょうか。