「ダム検証のあり方を問う科学者の会」では、国交省の有識者会議に公開討論会を申し入れましたが、有識者会議はこれを拒否し、同日、国交省内で有識者会議を開き、八ッ場ダム建設を求める国交省関東地方整備局の報告を事務局を務める国交省河川計画課の希望に沿って了承しました。
「科学者の会」では、当初の予定通り、衆議院第一議員会館に於いて院内集会を開催しました。「科学者の会」の呼びかけ人らによる八ッ場ダム事業への警鐘、有識者のあり方についての批判に、200名以上の参加者が熱心に耳を傾けました。
◆2011年12月2日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20111202-OYT8T01368.htm
-八ッ場 駆け引きも最終盤 反対派学者がシンポー
八ッ場ダムの再検証を巡り、国土交通相の私的諮問機関「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が1日から審議を開始し、「建設継続が妥当」とする国交省関東地方整備局の判断を受けた検証作業は最終段階に入った。一方、建設に反対する学者有志はシンポジウムを開催。民主党内でも、反対派議員が党としての意見集約を本格化させており、前原政調会長を通じて政府側に中止を働きかける構想を進めている。
有識者会議は同日午後6時、国交省内で始まった。関東地方整備局の検証結果報告について、座長の中川博次・京大名誉教授は「(検証ルールを定めた)中間取りまとめの考え方に沿って行われた」と評価。年内に下す前田国交相の判断にも影響を与えそうだ。
冒頭、前田国交相は「来年度予算に反映させるため、できるだけ早く結果を得るよう(検証を)進めてきたが、皆さんの貴重な意見をいただきたい」とあいさつ。会議は2回開き、次回は、東日本大震災を踏まえた新たな検証結果について報告する方針を明らかにした。
一方、呼びかけ人と賛同者で計138人に達した「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は午後5時から、衆院第1議員会館でシンポジウムを開催。治水、利水など各テーマに沿って大学教授ら7人が講演し、約200人の聴衆に検証の不備を訴えた。
口火を切った今本博健・京大名誉教授(河川工学)は「検証は、ダムによらない治水を進めるために始めたのに逆方向になった」と有識者会議を批判。公開討論を拒否されたことに対し、「(有識者会議の委員は)学者の沽券(沽券)にかけて議論に応じてほしい」と訴えた。
川村晃生(てるお)・慶大教授(環境人文学)は、検証の方向性が建設に傾いている点について、「本体着工までは猶予期間として、(建設)やめさせる手だてを考えたい」と、今後もあきらめずに活動する方針を示した。民主党国会議員も聴講し、同党県連会長代行の中島政希衆院議員は「こんなひどい事業を実現するなら、歴史に対する大きな犯罪だ」と呼びかけた。
また、同党国土交通部門会議の八ッ場ダム問題分科会が同日開かれ、今月5日に分科会として、部門会議に報告する意見をまとめると決めた。最終的には党政調会役員会に意見を上げて、対応を前原政調会長に委ねるとみられる。
部門会議座長の松崎哲久衆院議員は、意見の方向性について言及しなかったが、分科会参加議員の大多数が、建設に反対している。メンバーの中島議員は「中止は国民との約束。守らないといけない。前原政調会長を通じて、前田大臣に働きかけてもらう」と語った。
◆2011年12月2日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581112020002
-「科学者の会」中止を訴え-
(写真)国交省のダム検証を批判する学者たち=東京・永田町
「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は1日、東京・永田町で討論会を開き、治水・利水などの専門家7人が研究成果を発表した。民主党国会議員や「脱ダム宣言」の田中康夫・新党日本代表も飛び入り参加し、八ツ場ダムの建設中止を訴えた。
会には今本博健・京大名誉教授(河川工学)、川村晃生・慶大教授(文学)ら11人が呼びかけ、全国の学者124人が賛同する。国交省の有識者会議に討論会を求めたが断られ、八ツ場ダムの「問題点」を報告する独自討論会になった。
討論会で、再検証の仕組みを決めた国交省の有識者会議への批判が続出。今本名誉教授は「『ダムに頼らない治水』で始まったのに、逆の結果を招いた。有識者会議は河川官僚のわなにはまった」と述べた。
大熊孝・新潟大名誉教授(河川工学)は「吾妻渓谷は極端に狭く、水が流れにくい。人工的なダムでは治水効果が乏しい」と指摘。奥西一夫・京大名誉教授(防災地形学)は「建設予定地は過去に地滑りが起きており、今後、対策費は増える」と警鐘を鳴らした。
田中康夫代表は「八ツ場の現状は『口先番長』の前原さん(民主党政調会長)の責任が大きい」と述べた。