2012年4月25日
国交省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は、民主党政権下でダム事業の見直しのために設置されました。しかし実際には、会議の事務方を務める河川官僚に実権を握られている状態です。その結果、全国のダム事業の見直しを進めるはずが、八ッ場ダムをはじめとしてどのダム事業にもお墨付きを与え、腐敗したダム行政を温存するための装置となってしまっています。
本日、全国のダム問題に関わる市民団体の連絡組織である水源開発問題全国連絡会が要請書を提出しました。
要請書の全文を掲載します。
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2012年4月25日
国土交通大臣 前田 武志 様
今後の治水対策のあり方に関する有識者会議
座長 中川 博次 様
委員 各位
水源開発問題全国連絡会
共同代表 嶋津暉之
共同代表 遠藤保男
あらためて有識者会議の完全公開を求めます。
明日、4月26日午後6時から「第22回今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が開かれるとの案内が昨夕、国交省ホームページ掲載されました。それを読むと、従前どおり、一般市民に対しては傍聴を一切認めず、門戸を固く閉ざしたままになっています。
有識者会議についてはこれまで、私たちだけでなく、いくつかの市民団体、そして「ダム検証のありかたを考える科学者の会」からもその公開を求める要請書、意見書が何度も提出されています。また、国会の予算委員会や国土交通委員会の質疑でも、有識者会議を公開することが繰り返し求められてきました。それにもかかわらず、有識者会議は公開要請を無視し続けています。
① 政府答弁書で非公開にする理由がないことが明らかになりました。 非公開にしなければならない理由が何かあるのでしょうか。衆議院の質問主意書に対する答弁書(内閣衆質180第113号 平成24年3月13日)には次のように記されています。
「有識者会議の公開については、有識者会議の座長が有識者会議の委員の意見を踏まえ定めており、要望への対応は座長に一任することが委員の間で合意されていた。」
「有識者会議は、忌憚のない意見交換を行うために原則として非公開で開催することとされている。なお、平成22年9月27日以降に開催された有識者会議については、座長が委員の意見を踏まえ、報道関係者に公開することとしたところである。」
これを読むと、「忌憚のない意見交換を行うため」ということだけが非公開の理由であり、一般社会で通用する話ではありません。そして、その理由も途中から報道関係者には解消しているのですから、一般市民を締め出す理由になるはずがありません。なぜ、一般市民の傍聴を拒否する頑な姿勢を取り続けるのか、全く理解できません。
② 石木ダム予定地の地権者は今後の生活の根底に係る審議の行方を見守る権利があります。
まして、前回、そして、今回も石木ダム予定地の地権者が傍聴を求めています。石木ダムは事業者の長崎県が土地収用の事業認定を九州地方整備局に申請しており、有識者会議がもしダム推進の検証報告を容認すれば、九州地方整備局はそれを受けて事業認定を行い、反対地権者は強制収用がかけられることになります。だからこそ、地権者は故郷を奪われることにつながる有識者会議の審議の行方を見守りたいと、必死の思いで、傍聴を求めているのです。ダム予定地の地権者はこれからの生活の根底に係る審議の行方を見守る権利があります。 以上のことから、あらためて次のことを求めます。 第22回以降の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は完全公開とし、一般市民が直接傍聴して審議の行方を見守ることができるようにすること。
—転載終わり—
◆国交省ホームページ 「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の資料 http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/index.html
2月22日には、水没地権者らが何十年も反対運動を続けている長崎県の石木ダム等の審議を通常通り非公開で実施しようとしたことから、地権者や市民らから激しい批判を浴び、会議は流会となりました。↓ http://www.youtube.com/watch?v=V-5OfmQEvFU
明日4月26日、再び石木ダム等を議題とする有識者会議が開かれます。記者発表資料には、どのダムの審議をするのかすら明らかにされていません。↓
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000498.html