八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

羽田国交大臣の現地視察

 6月4日に国土交通大臣に就任した羽田雄一郎氏が昨日、八ッ場ダム予定地の視察を行いました。
 民主党政権では国交大臣の現地視察が恒例化しており、前任の4人の国交大臣(前原誠司、馬淵澄夫、大畠章宏、前田武志各氏)も今回の羽田大臣と同様、就任間もなく現地に入り、自民党系の群馬県知事、県議、地元町長らに挨拶をしています。

 今回もマスコミ各社が大臣の現地での発言を大きく取り上げました。
 大臣発言は要約すると、「ダム事業は前田大臣の方針を踏襲して継続する」、「ダム本体着工の時期は未定」ということになります。
 ダム本体着工の時期が未定なのは、ダム本体着工の条件となっている「利根川の河川整備計画の策定」がいつになるのか、わからないからです。
 昨年の暮れ、国交省OBの前田国交大臣は「八ッ場ダム本体工事の予算計上」を決定しましたが、民主党内には八ッ場ダムに反対する声が大きかったため、政府は民主党の反対意見に配慮して、八ッ場ダム本体工事の予算執行に、「利根川の河川整備計画の策定」という条件をつけました。
 このため、八ッ場ダムの本体工事は、予算は計上されたものの、執行されないという状態が続いています。 
 
 大臣視察は毎回、国交省関東地方整備局の現地事務所の案内によって行われます。国交省職員による現地案内は、ダム関連事業の進捗ぶりをアピールするもので、現場における工事の遅延、難航には一切触れません。行政、推進派の知事、町長らの発言を聞いても、八ッ場ダム事業の実態はわかりません。
 今年5月に61年目を迎えた八ッ場ダム計画は、机上の計画の杜撰さ、関連工事の肥大化、地域振興事業の行き詰まり、地質の危険性など数多くの矛盾を抱えたまま、迷走を続けています。

◆2012年7月8日 上毛新聞
http://www.raijin.com/ns/news.html?ns=7813416736428057

 -八ツ場を国交相視察 「着工時期言えず」ー

 羽田雄一郎国土交通相は7日、八ツ場ダム(長野原町)の建設予定地を大臣就任後、初めて視察した。羽田氏は前田武志前国交相が打ち出した建設継続方針を「踏襲する」としたものの、大沢正明知事ら本県側が求めたダム本体の早期着工については「時期は言える段階ではない」と明言を避けた。本年度内にダム本体を着工できない可能性もあり、先行きは依然不透明だ。

◆2012年7月8日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581207080001

 -八ツ場ダム 方針踏襲を強調ー

 6月4日に就任した羽田雄一郎・国土交通相が7日、長野原町の八ツ場ダム建設予定地を初めて訪れた。

 建設再開を決めた前田武志・前国交相の考えを踏襲すると改めて強調したが、今年度予算で計上されたダム本体工事着工や、前提となる利根川水系の河川整備計画策定のめどについては、明言しなかった。

 国交相は、建設予定地や、水没予定5地区の移転代替地を2時間ほどかけて回った。大沢正明知事は事前に地元の声を聞く場を求めたが、前田氏への地元の要望を踏まえて対応するという趣旨の説明が国交相からあり、今回は見送られたという。

 視察現場で出迎えた大沢知事は「一日も早く執行できるようにしてもらいたい」と求め、高山欣也・長野原町長は「ダムができあがって初めて生活再建がスタートする。家の移転は生活再建のスタートではない」と訴えた。

 視察後、羽田国交相も「生活再建をしっかりしていかないといけない」と応じた。ただ、本体工事の着工については「めどを言える段階ではない」「今後しっかり検討したい」などとし、河川整備計画も「答えられる状況ではない」と述べるにとどまった。(長屋護)

◆2012年7月7日 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20120707k0000e010165000c.html

 -八ッ場ダム:羽田国交相、建設再開予定地を初視察ー

 羽田雄一郎国土交通相は7日、再検証の末に建設再開を決めた八ッ場ダム(群馬県長野原町)の予定地を就任後初めて訪れ、水没予定地の住民が移転する代替地や、完成後のダムにかかる橋などを視察した。同県の大沢正明知事や同町の高山欣也町長も同行した。

 羽田国交相は「生活再建をしっかりとしなければいけない」と感想を述べた。また、未定のダム本体工事着工時期について「まだそこまで考えていないが、全力を尽くしたい」と話した。大沢知事は「予算が棚上げ状態。一日も早く執行できるようにしていただきたい」と早期着工を求めた。ダムを巡っては、09年9月に発足した民主党政権が建設中止を宣言したが、昨年12月、前田武志・前国交相が建設再開を表明。後継の羽田国交相も、前田氏の方針を踏襲する考えを明らかにしている。ただ、ダム本体着工の条件として藤村修官房長官が示した利根川水系の河川整備計画の策定はめどが立っていない。【奥山はるな】

◆NHK 2012年7月7日 14時33分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120707/k10013418951000.html

 -羽田国交相 八ッ場ダム予定地視察ー

 羽田国土交通大臣は、就任後初めて群馬県の八ッ場ダムの建設予定地を視察し、ダムの建設を継続する考えを改めて示しました。

 羽田国土交通大臣は、7日、就任後初めて群馬県の八ッ場ダムの建設予定地を訪れ、水没する地区にある住宅の移転予定地などを視察しました。

 現地には、群馬県の大澤知事が訪れ、羽田大臣に対し「住民の生活再建のための工事は進んでいる。残りはダム本体の工事だけなので、早期の着工をお願いします」と要望しました。

 群馬県の八ッ場ダムについて、政府は、去年12月、民主党の政権公約を撤回して建設の継続を決めましたが、ダムの本体工事の開始時期は、利根川水系の河川整備計画を策定したうえで判断するとされています。

 羽田大臣は、視察後、記者団に対し「前田前国土交通大臣が継続とした方向を進めていく」と述べ、八ッ場ダムの建設を継続する考えを改めて示しました。

 一方、ダムの本体工事を始める時期については、「まだめどを言える段階にない」と述べ、利根川水系の河川整備計画を作ったうえで判断するというこれまでの方針を繰り返しました。