昨日の利根川堤防見学会の記事を転載します。
◆2012年7月23日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20120723/CK2012072302000148.html
-八ッ場ダム工事再開問題 利根川の堤防 実態探るー
決壊の恐れがあるとして、八ッ場(やんば)ダム(長野原町)推進の根拠に挙げられる利根川の堤防を巡る見学会が二十二日、流域一帯で開かれた。関東一都四県の市民ら計約七十人が参加し、研究者たちから解説を受けながらダムの必要性を考えた。 (伊藤弘喜)
堤防の実態を確認し、政府が同ダム本体工事の再開条件の一つとしている「利根川・江戸川河川整備計画」策定をチェックする際の参考にしようと、市民団体「利根川流域市民委員会」(東京都小平市)が二〇〇六年に続いて主催した。
一行は伊勢崎市から千葉県野田市までの利根川沿い約六十キロをバス二台で巡り、同委員会の共同代表で水問題研究家の嶋津暉之さんらが解説した。
伊勢崎市の八斗島の堤防では、嶋津さんが「過去六十年で最大だった一九九八年九月の洪水でも堤防までの水位は四メートルほど余裕があった」と説明。「八ッ場ダムができても水位は最大で十三センチしか下がらない」と自身の試算を紹介すると、驚きの声が上がった。
埼玉県加須市では、二〇〇一年九月の洪水で水が漏れだした堤防を訪問。新潟大名誉教授の大熊孝さん(河川工学)は「土より少し強い素材で補強すれば堤防はなかなか切れなくなる」と改善策を提案した。
嶋津さんは国が進める大規模な堤防強化事業を挙げ「巨大ダムに匹敵する金食い虫だ。安価でも効果的な堤防は造れる」とくぎを刺した。
参加した館林市の団体職員の男性(42)は「ダムを造るより、壊れにくい堤防が必要ではないか」と話した。