八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム住民訴訟、原告側は裁判官忌避を申し立て

 昨日、東京高等裁判所で行われた八ッ場ダム住民訴訟の関連記事を転載します。

◆2012年8月8日 朝日新聞群馬版 
  http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581208080001
  「裁判官3人忌避 原告側申し立て」

 八ツ場ダム(長野原町)への建設負担金の支出は違法として、群馬など6都県を訴えた住民訴訟で、東京都分の控訴審第2回口頭弁論が7日、東京高裁(大竹たかし裁判長)であった。

 原告側は、国土交通省や都の幹部ら追加の証人申請が7人全員却下されたため、「公平な裁判が期待できない」と裁判官3人の忌避を申し立てた。高裁の決定が出るまで訴訟は止まる。

 この日は、控訴審初となる証人尋問。原告側が申請した水問題研究家の嶋津暉之さんが利水、拓殖大学の関良基准教授(森林政策学)が治水で、八ツ場ダムの不要論を展開した。

 東京都の昨年度の一日最大配水量は480万トンだが、都は2020年度に593万トンとする予測値を3月に公表。嶋津さんは「都合の良いデータを使って予測値を引き上げた」と主張し、「人口や家電普及による水需要の減少があり、八ツ場は不要」と訴えた。

 関准教授は、国が八ツ場ダム建設の根拠としてきた利根川水系の基本高水(洪水時の最大流量)について「国交省や日本学術会議は過去の中規模洪水から計算モデルを組み立て、大規模洪水にあてはめた。ダムを造るために流量を高く偽った疑いがある」と述べた。

 国土交通省はカスリーン台風(1947年)をもとに、伊勢崎市八斗島で毎秒2万2千トンとしてきたが、一昨年10月に根拠資料が省内にないことが発覚。その後、省は近年の雨量や流量を踏まえた再計算で2万1100トンとし、日本学術会議が妥当と評価している。

 都側の代理人は反対尋問で、2人の主張に対して明確な反論をしなかった。

 住民訴訟は2004年に前橋など6地裁で提訴。いずれも一審は「行政の裁量の範囲内」と原告の訴えが退けられている。群馬を含む5県の訴訟は、東京高裁で係争中だ。