2012年10月19日
四年半ぶりに開催された利根川・有識者会議が9月25日、10月4日に続き、10月16日に開催されました。
16日の配布資料が国交省関東地方整備局のホームページに掲載されています。 http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000207.html
今回の資料は、これまでの有識者会議で配布された資料と重複しており、国交省からは新たな資料はありませんでした。ただし座席表は、毎回出席する委員の名前を入れて配布されますので、今回の有識者会議の出席者名が入ったものです。↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000067614.pdf
今回は15名の委員が参加しました。初回の9月25日が14名、前回10月4日が10名でしたから、今回が最も参加者が多かったことになりますが、委員の総数は21名です。初回から一度も出席していない委員もいます。
利根川江戸川有識者会議の会場風景:
中央が宮村忠座長(関東学院大学名誉教授)。1人おいて左側に、国交省の資料が捏造であることを指摘した大熊孝委員(新潟大学名誉教授)。手前に国交省の幹部が並び、有識者委員らと向かい合いの配列になっています。
会議の冒頭で挨拶する泊宏・河川部長:
国交省本省で全国のダム検証のための有識者会議を取り仕切ってきましたが、関東地方整備局が八ッ場ダム本体工事着工の条件となっている利根川水系河川整備計画の策定作業をすることになり、本省から関東地整の河川部長に就任しました。
全国のダム検証を検討する国交省本省の有識者会議は非公開で実施されてきましたが、利根川水系の河川整備計画を策定するための有識者会議は公開されています。ただし、カメラ撮りは会議の冒頭のみしか許されておらず、9月25日の議事録が公開されないまま、10日おきに会議が開かれており、泊河川部長の強引な議事運営が批判を浴びています。
国交省は10月中に河川整備計画の策定作業にある程度メドをつけたかったようですが、国交省の提示案や会議の在り方などについて、委員の間から厳しい意見が相次ぎ、10月16日の会議でも議事を進めることはできませんでした。
国交省の意のままになっている宮村座長は、会議終了後のぶら下がり会見で、唐突に「議論の打ち切り」を表明しましたが、これは他の委員の同意によるものではありませんから、このまま国交省や宮村座長の思惑通りになるとは考えられません。
強引な手法によらなければ、八ッ場ダムが利根川治水に必要だとする国交省の見解を押し通すことはできませんが、強引な手法をとればとるほど、利根川の治水計画、八ッ場ダム事業の欺瞞性が明らかになってくるのも事実です。
河川行政が国民の信頼を取り戻すためには、1997年の河川法改正の趣旨に立ち返り、河川整備計画策定に当たって流域住民との合意形成を図る努力が国交省に求められます。