八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

「本体着工条件 河川整備計画策定が休止中」(朝日新聞群馬版)

 八ッ場ダム本体着工の条件とされてきた利根川水系河川整備計画の策定作業が不透明な状況が続いてきました。
 野田首相の解散宣言を受けて、政局は一気に流動化しています。国交省は政治空白の隙を利用して、本体工事着工を目ざしているようです。

朝日新聞群馬版 2012年11月15日
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581211150001

 -本体着工条件 河川整備計画策定が休止中ー

 (写真)狩猟用とみられる平安時代の穴が見つかった三平遺跡を視察する県議ら。背後では湖面1号橋の工事が進む=長野原町川原畑

 八ツ場ダム本体の着工条件の一つ「利根川・江戸川河川整備計画」の策定作業が、「開店休業」状態になっている。政府が八ツ場ダムの建設再開を決めて12月で1年。解散をめぐる政局も影響しているようだ。

 「国土交通省は、問題点を置き去りにして造ろうとしている」。見直し派でつくる「八ツ場ダムを考える1都5県議会議員の会」会長の角倉邦良県議(リベラル群馬)は14日、長野原町の水没予定地で批判した。

 この日、議員の会や市民団体「八ツ場あしたの会」のメンバーらが水没地区や移転代替地の遺跡発掘現場を視察し、県教委文化財保護課などから説明を受けた。

 関東地方整備局は、4年4カ月ぶりの有識者会議を9月25日から3回開いた。3回目の10月16日には座長が洪水対策の目標流量の議論打ち切りを明言した。

 ところが、その後1カ月近く、表の動きがない。整備局は「意見をもとに調整中で、日程は検討中」と説明するが、有識者会議の委員らによると、整備局から3回、日程の打診があったが、理由も示されずに延期になったという。

 こうした国交省の対応には、ダム推進派も不満だ。

 自らも移転代替地に移った長野原町の高山欣也町長は「建設再開で一度は喜んだが、その後は何の動きも説明もない。来年度のダム関連予算の編成に影響が出かねない」と憤る。

 八ツ場ダムは2009年総選挙で民主党が中止を公約し、政権交代の「象徴」だった。目標流量がおおむね妥当と今年10月下旬に整備局に回答した県の担当幹部は「整備計画は選挙前にはできないのでは」と推測し、「予算編成などで本当に困る」と話した。(小林誠一、牛尾梓)