2012年11月22日
12月の総選挙を前にして、八ッ場あしたの会では八ッ場ダム問題についての各政党の具体的な政策を有権者に広く伝えるため、本日、公開アンケートを各政党宛てに発送しました。回答期限は11月30日です。回答結果がまとまりましたら、改めてこのホームページで公表します。
公開アンケートの発送先は、22日現在、政党要件を満たし、候補者を擁立している次の14の政党です。
民主党、自由民主党、国民の生活が第一、公明党、日本維新の会、日本共産党、みんなの党、
社会民主党、減税日本、みどりの風、国民新党、新党改革、新党大地・真民主、新党日本
以下に公開アンケート全文を掲載します。
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八ッ場ダム事業は1952年に最初の構想が発表されてから半世紀以上が経過して数多くの問題が噴出しており、その解決が政治に求められています。
昨年末、「八ッ場ダム建設継続」が前田武志国交大臣によって決定されましたが、民主党内の反発を受けて、官房長官裁定により本体工事費の予算計上に関しては、「利根川水系に関わる河川整備計画」の早期策定と、「ダム中止後の建設予定地を対象とした生活再建支援法案」の次期国会提出を踏まえて判断する、という条件が付されました。
前者の「河川整備計画」については、9月から利根川・江戸川有識者会議において、利根川治水に関わる国交省データの科学的妥当性等について激論が交わされています。
また河川整備計画は、本来は支川を含めた水系全体の計画を策定するものですが、国土交通省は利根川本川部分だけの河川整備計画を先に策定し、八ッ場ダム本体着工の条件をクリアしようとしていることも批判されています。
一方、後者については、3月に法案が国会に提出されたものの、このほどの解散で廃案となりました。
これらの問題について、貴党の政策をお聞かせ下さい。
以下、1~7の質問に対して当てはまるものを○で囲んで下さい。
1. 八ッ場ダムの本体工事は今も未着工です。本体工事をどうするべきと考えますか?
(1)八ッ場ダムの本体工事を中止するべき。
(2)本体工事に早急に着手するべき。
(3)八ッ場ダム計画の上位計画である利根川水系の河川整備計画に八ッ場ダム事業を位置づけられていない現状では、本体工事着工の是非は判断できない。
(4)その他
2. 八ッ場ダム事業には道路やJRの付け替えなど膨大な関連事業があり、それらの工事が大幅に遅れています。そのため、当初計画ではダム完成は2000年度でしたが、計画変更を繰り返し、現計画では完成は2015年度です。しかし民主党政権下のダム検証における国交省の試算では、ダム完成は本体工事に着工してから7年を要するとされ、前田国交大臣も2月2日の衆議院予算委員会でそのように答弁しました。一方、関係都県は現計画どおり2015年度完成を強く求めています。この問題についてのご見解をお示しください。
(1)八ッ場ダムは現在の計画どおり2015年度に完成させるべきである。
(2)八ッ場ダム事業の工期延長は必至であり、ダム計画を変更すべきである。
(3)八ッ場ダム事業を継続すれば、今後も工期延長を繰り返さなければならず、いつになったらダムが完成するかわからない。ダム計画を廃止すべきである。
(4)その他
3. 八ッ場ダム事業の主目的は「利根川の洪水調節」と「都市用水の供給」です。これらについてのご見解をお示しください。(複数回答可)
(1)利根川の洪水調節について、八ッ場ダムの効果はきわめて限定的である。
(2)首都圏は水余りの状況となっており、利水上の八ッ場ダムの必要性はない。
(3)八ッ場ダムは治水・利水面で利根川流域住民に役立つ施設である。
(4)首都圏が水余りの状況になっている現在、ダムの計画規模を縮小するべきである。
(5)利根川治水にとって八ッ場ダムの治水効果は乏しいため、利水を主目的とした計画に変更すべきである。
4. 八ッ場ダム予定地域は長年のダム事業によって多大な犠牲を被ってきました。これらの地域に対して、国はどうするべきだと考えますか?
(1)八ッ場ダムの生活再建関連事業によって、地元住民の生活再建、地域振興を図る。
(2)八ッ場ダムの生活再建関連事業は行き詰まっており、ダム事業とは切り離した真の生活再建、地域振興策を図る必要がある。
(3)その他
5. わが国の河川行政では、一旦始まったダム事業は中止が想定されておらず、事業中止後の法整備がありません。このため、長年のダム事業で衰退した地域では、事業中止後も地域の再生が困難な状況がみられます。この問題についてのご見解をお示しください。
(1)3月に国会に提出されたダム事業中止後の特措法案(ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案)を国会に再提出する。
(2)国会に提出された法案は不十分であるので、ダム事業中止後の法案を新たに作り、国会に提出する。
(3)ダム事業中止後の法整備に取り組む必要はない。
6. 八ッ場ダム予定地は地質が脆弱であり、ダム湛水による地すべり等の災害誘発の危険性が懸念されています。昨年、国交省は八ッ場ダム検証において、新たな地すべり対策、代替地の安全対策を提示しましたが、これらの対策も地質の専門家らからきわめて不十分と指摘されています。この問題についてのご見解をお示しください。
(1)八ッ場ダム検証前の安全対策で問題ない。
(2)昨年のダム検証で国交省が示した安全対策を実施すれば問題ない。
(3)ダム湛水による危険性がないよう、改めて十分な地質調査を実施して対策を講じた後に本体工事に着工するべきである。
(4)地すべり等のリスクを回避するためには、新たに膨大な予算を必要とし、またダム湖予定地周辺住民にも多大な犠牲を強いる可能性があるので、ダム本体工事に着工するべきではない。
7. 国交省は八ッ場ダムの本体工事に着工するため、利根川の河川整備計画を策定しようとしていますが、これは本川のみの計画であり、官房長官裁定が求めた利根川水系全体の計画ではありません。また、国交省が提示した計画案に対して、有識者会議では科学的根拠がないとの指摘が相次ぎ、パブリックコメントでも9割以上の意見が国交省案に反対であることが明らかになっています。利根川流域住民の安全に大きな影響を及ぼすこの問題についてのご見解をお示しください。(複数回答可)
(1)現在、国交省が進めているやり方で問題ない。
(2)支川の状況は本川に影響を及ぼすので、本川のみの整備計画を進めるのではなく、水系全体の整備計画を策定するべきである。
(3)有識者会議やパブリックコメントの反対意見を尊重すべきである。
(4)その他