2012年12月17日
昨日の総選挙で八ッ場ダムの本体工事着工を目指す自民党が大勝しました。
国交省(建設省)、土建業界と共に八ッ場ダム事業を推進してきた自民党は、ダム予定地の人々を犠牲にして、ダム利権の恩恵を受けてきました。八ッ場ダム事業はダムの不要性、地すべり、地域の衰退など様々な問題を抱えていますが、自民党の立場からすれば、今さらみずからダム事業を中止するとは言えません。
国民は政権交代により、八ッ場ダムをはじめとする無駄な公共事業の見直しが進むことを期待したのですが、ダム事業の継続を要望する八ッ場ダム予定地の推進派住民や関係都県知事が民主党の政策を批判し、八ッ場ダムは”政争の具”として騒がれただけで終わってしまいました。
群馬県では五つある小選挙区すべてで自民党の候補者が勝ちました。八ッ場ダム予定地を抱える群馬五区でも小渕優子氏が77.26%の得票率を得ています。ただ、ほとんどの町民が八ッ場ダムに賛成といわれてきた現地、長野原町でも、3,000票あまりの有効投票数のうち、500票近くが八ッ場ダムに反対する社民党、日本共産党に投票していることが開票結果からわかります。↓
http://www.pref.gunma.jp/contents/000219462.html
比例区の開票結果では、長野原町の有効投票数のうち、自民党に投票した割合は40%余りとなっています。
http://www.pref.gunma.jp/contents/000219472.pdf
八ッ場ダムの関係者の声を紹介した記事が地元紙に掲載されましたので、転載します。
◆2012年12月17日 毎日新聞(一部転載)
http://mainichi.jp/select/news/20121217k0000e040321000c.html
-衆院選:「今度こそ国民に目を」 返り咲き自民へ注文ー
◇「八ッ場ダム」計画地…群馬・長野原町
民主党政権がいったん中止を宣言し、迷走の末に建設再開を表明した八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)。水没予定地で温泉旅館を営んでいた豊田拓司さん(60)は「新政権に特に期待はしないが、落ち着いて街づくりができるようにしてほしい」と話した。
ダム計画が持ち上がったのは60年前。07年に亡くなった豊田さんの父は、古里を水に沈めまいと反対闘争に参加した。老いて認知症と診断された後も、屋根に上り「ダム反対」と叫んだこともあった。
建設再開が決まって1年たつが、本体工事着工の条件となっている利根川流域の河川整備計画は未策定のままだ。豊田さんは11月末に旅館を閉め、移転代替地で新しい旅館の建設に取りかかっている。「政治に頼らずに、自分たちで生活再建を進めるしかない」【奥山はるな】
◆2012年12月17日 上毛新聞社会面
ー「八ッ場仕上げて」 地元、工事進展に期待ー
八ツ場ダムの早期完成を公約に掲げる自民党が16日、衆院選で大勝したことを受け、ダムの地元、長野原町の関係者からは安堵の声が上がった。一方、「もう政治は信用できない」といった地元住民の声も聞かれ、政治に振り回され続けてきた苦悩の深さをあらためて示した。
「3年3カ月の間、よそ見をしてきたが、これで元に戻る」。長野原町の高山欣也町長は同日夜、自民が大きく議席を伸ばしたことを喜んだ。5度目の当選を決めた小渕優子氏の選挙事務所で「国交大臣に就任してほしい」と話すなど、ダム工事の進展に期待を寄せた。
「すでに計上されている本体予算を、新しく就任する大臣が執行すればいいだけ。もともと自民が始めたダム。しっかり仕上げてほしい」と要望する。
一方、川原湯温泉街で飲食店を営んできた水出耕一さん(58)は「本当に生活再建できるのか」という不安を抱く。この3年間、衰退の一途をたどる温泉街を目の当たりにしてきた。代替地の造成が遅れ、再出発を思い描く旅館も体力を奪われた。「政治に振り回され過ぎた」。政権が変わっても、気持ちは晴れない。
八ッ場あしたの会の渡辺洋子事務局長は「地滑りや地域再建の問題が先送りされたまま、本体工事の可能性が高まったことに危ぐを抱いている」とした。
~~~転載終わり~~~
こちらのネット記事は、上記の紙面記事の前半部分のみを転載しています。
http://www.jomo-news.co.jp/ns/3413557221565156/news.html