さる12月10日、八ッ場ダムをストップさせる茨城の会は第13回総会を開催しました。
同会共同代表の濱田篤信さん、水問題研究家の嶋津暉之さんの講演の後、活発な質疑が行われたということです。
当日採択されたアピールを送っていただきましたので、転載します。
第13回「八ッ場ダムをストップさせる茨城の会」総会アピール
国民が権力への監視を怠れば、その報いは国民に降りかかる。
水道事業は、水源開発の負担金、浄水場、配水管などの施設・維持・管理費など、原価、経費のほぼすべてを、水道料金で賄う「総括原価方式」で運営されています。だから、水道事業は、水道料金を払っている需要者=私たちのものです。決して国のものでも、県や市町村など事業者のものではありません。先ずこのことの認識を共にしたいと思います。
本年3月、安倍内閣は「水道法改正」を閣議決定、衆議院へ上程しました。法案は9月解散により廃案となりましたが、自公の大勝により政権は延命、再び息を吹き返すことは必定です。早ければこの春にでも…。
水道法改正の目的は、公営である水道事業に民営化への道筋をつけるものです。何故いま民営化なのか、といえば、過大な水源開発と、それに伴う過剰な設備投資を重ねてきた水道事業が、今後100年を越えて続く人口減少により、見通しが立たなくなったことに外なりません。
私たちは裁判で、あるいは法廷の外で、八ッ場ダムをはじめ霞ヶ浦導水など無駄な水源開発の中止を訴えてきました。一昨年、昨年、そして今年と、茨城共同運動の県当局との交渉の場では、「このままで水道事業は成り立つのか」と追及してきました。県当局の「無言の回答」を待つまでもなく、水道事業は破たんの淵に立たされているのです。
私たちは、国、そして県当局の責任を改めて糾します。八ッ場ダム事業の基本計画が立てられた1986年、この時点で現在利根川にある8基のダムの内、7基が完成されており、1991年の奈良俣ダムの完成を見てすべてが揃いました。その後の1都5県の水余りは、茨城・栃木・群馬、3県の総人口を賄って余りあるものになっています。水道事業破綻への引き金は30年前に引かれていたのです。
「民営化で水道事業は救われるのか」答えはすでに出ています。先行したパリ、ベルリン、アトランタなどでは公営へ戻りつつあります。何故なら、水道事業は独占事業です。マーケットは人口減少で縮小し続けます。それが私企業の手に渡り、資本の原理に晒された時、利益を出す手段は値上げと安全基準の引き下げ=水質の劣化しかなかったのです。
ならば「公営でいいのか」。これも「否」です。これまで水道事業は公営であるがため、政治の道具として弄ばれてきました。人口減少も水余りも知りながら、過大な予測を立て、手に負えぬほどに肥大させてしまったからです。
私たちは、水道事業を破綻の淵へと陥れた、国、県、市町村などの事業者に、新たな道筋をつける資格はないと考えます。彼らが行うべきは自らの責任を認め、広く需要者である私たち市民に意見を求めることです。民営化とは自らの責任を糊塗し隠ぺいすることに外なりません。
私たちは、水道事業への参画を求めます。権力を監視する権利と義務を持つ主権者として、今日の事態を招いてしまった力不足を痛感するからです。
水道事業の将来は、私たちが決めます。
人の上に国をつくらず
2017年12月10日
八ッ場ダムをストップさせる茨城の会