八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム湖畔に遊歩道整備、下流都県の新年度予算に

 ダム湖畔に遊歩道が作られるのは珍しくもないことですが、国交省の情報は地元紙の一面に取り上げられています。
 
 遊歩道の整備費を負担することになる水源地域特別措置法(略称・水特法)の事業は、総額が約1,000億円です。
 水特法事業は年間入込客数が20万人以上あった川原湯温泉をはじめとするダム予定地域住民の生活再建を目的としていますが、ダム事業による地域振興に明るい展望を見いだせなかった住民の多くが転出し、地域は衰退の一途を辿っています。川原湯地区の住民はダム計画受入れ前は201世帯(1979年群馬県調べ)ありましたが、ダム湖畔となる住民の移転代替地の分譲世帯は、2017年3月末時点でわずか31世帯と縮小し、本体工事業者の事務所(写真右上)や空き地が目立ちます。

◆2018年1月10日 上毛新聞一面 (紙面より転載。ネット記事は紙面記事の前半のみ)
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/26283
ー八ッ場湖畔に遊歩道 国交省と長野原町 4キロ、19年度中完成ー

 群馬県長野原町の八ツ場ダム建設に伴う観光振興策として、国土交通省や町がダムサイト近くの公園から、不動大橋付近までの約4キロを結ぶ遊歩道の建設を計画していることが分かった。水源地域対策特別措置法(水特法)に基づく生活再建事業の一環で、約7億円を投入する。ダム完成を予定している2019年度中に整備を終える方針。

 計画によると、遊歩道は駐車場などを整備する吾妻川右岸のダムサイト公園から、八ツ場大橋や川原湯温泉のある打越代替地、JR川原湯温泉駅のある上湯原代替地などを通り、不動大橋や不動の滝近くに至る往復約8キロのルート。観光客らに2時間ほどかけてウオーキングやトレッキングなどを楽しんでもらうことを想定している。

 建設費用は下流都県の新年度予算に組み込まれるよう調整する。打越代替地の県道林岩下線の南側のり面にある通称「おにぎり山」や川原湯温泉付近にも展望台などの建設計画があり、町などは温泉街を拠点に水辺や眺望を楽しめる観光地としてPRしていく考えだ。

—転載終わり—

写真=川原湯温泉の移転地である打越代替地。ダムサイトに隣接する打越代替地は30メートル以上の高盛り土で造成されており、ダム湛水が開始される2019年10月までに最終のり面をつくり、代替地の安全対策を三か所で完了させることになっている。

写真=打越代替地ではダム湖畔となる場所で擁壁工事が行われるため、県道・川原畑大戸線の迂回路を整備中。工事は遅れている。