八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

設楽ダムの建設負担金差し止め訴訟 第1回口頭弁論

 国が愛知県で進めている設楽ダム事業をめぐり、設楽ダムに反対する住民162人は5月23日、ダムは不要として、大村秀章知事と県企業庁長を相手に、国へのダム使用の申請を取り下げることなどを求める訴訟を名古屋地裁に起こしました。
 設楽ダムの住民訴訟はこれが二度目です。この第二次訴訟の第1回口頭弁論が昨日行われました。

★参考資料
設楽ダム建設事業 説明資料 平成28年8月1日 国土交通省中部地方整備局
http://www.cbr.mlit.go.jp/kikaku/jigyou/data/pdf/shiryou10.pdf

右画像=国交省設楽ダム工事事務所が配布している設楽ダムカードの説明。ダムカードにはダム事業費の説明が抜けているが、設楽ダムは2016年の計画変更で総事業費が約2400億円となっている。

 設楽ダムも八ッ場ダム同様、不要性を指摘されているダムですが、設楽ダムの特異な点は、ダムの総貯水容量9800万立方メートルの中で最も大きな割合を占めるのが「流量の正常な機能の維持」容量6000万立方メートルであることです。
 「流量の正常な機能の維持」とは、ダムを建設することによって「渇水時にもダム下流の川の流れを維持する」ことを意味しますが、このような目的のためにダムが必要だとするのは、明らかに無理があります。

 

 関連記事をお伝えします。

◆2018年11月20日 名古屋テレビ(メーテレ)
https://www.nagoyatv.com/news/?id=189867
ー設楽ダムの建設負担金差し止め訴訟 第1回口頭弁論 原告「極端な水不足は解消」ー

 愛知県設楽町の設楽ダムの建設をめぐり、市民グループが県知事らに建設負担金の支出の差し止めなどを求めている裁判で、第1回口頭弁論が行われました。

 この裁判は、愛知県設楽町に建設予定の設楽ダムをめぐり、水道用水は不足していないためダムは不必要だとして市民グループが県知事らに県による建設負担金の支出をやめるよう求めています。

 20日の第1回口頭弁論で原告側は「現状、極端な水不足は解消されていてダムに頼らない東三河のあり方を考えるべきだ」と述べました。

 市民グループが県を相手取り設楽ダム建設への支出差し止めを求める裁判はこれが2回目で、2007年に起こした裁判では請求が棄却されています。
                      (右上画像=メーテレ動画より)

◆2018年11月21日 中日新聞
ー設楽ダム事業撤退訴えの却下を求める 訴訟初弁論で県側ー

 国が設楽町の豊川上流で建設中の『設楽ダム』を巡り、水道用水は不足しておらずダムは不必要で

県が建設費を一部負担するのは不当として、地元住民ら161人(※原文のまま)が、知事らに事業からの撤退と負担金の支出差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が、20日、名古屋地裁であり、県側は訴えの却下を求めた。

 住民側は訴状で、ダム計画の根拠となっている県の水道用水の需要予測は実際よりも約2割も大きく、少雨時でも水は不足しないと主張。「県が設楽ダム建設に参加する必要はない」と訴えている。

 設楽ダムへの支出差し止めを求める住民訴訟は二回目。2007年に起こした前回の訴訟では1,2審とも「計画が著しく合理性を欠くとは言えない」と棄却され、14年に敗訴が確定した。

 設楽ダムは総貯水量9,800万立方メートルで、26年度に完成予定。水道用水のほか洪水の防止、かんがいなども目的とする。総事業費約2,400億円のうち県は809億円を負担する予定で、昨年末までに周辺の道路
整備などで約218億円を支出した。

◆2018年11月21日 朝日新聞愛知版
ー設楽ダム訴訟で県側は争う姿勢 地裁で第1回口頭弁論ー

 国が設楽町の豊川水系に計画している設楽ダムを巡り、建設に反対する県民162人が県知事らを相手取って公金支出の差し止めなどを求めている第1回口頭弁論が20日、名古屋地裁であった。県側は請求却下や棄却を求めた。

 訴状などによると、設楽ダムは2026年度に完成を目指す。建設費は約2,400億円で、一部を県が負担する。住民側は「ダムからの水道用水の供給は必要がない」と設楽ダムの必要性を否定。公金支出差し止めのほか、ダムを使う権利申請を取り下げないことの違法性確認を求める。

 県側は、ダムを使う権利申請を取り下げていないことは、住民訴訟の対象となる「財産の管理を怠る事実」に該当しないと反論。財産管理でない以上、「公金支出差し止め請求も違法だ」と主張した。

—–転載終わり—

写真下=設楽ダム建設予定地。2018年8月27日撮影。

写真下=設楽ダム予定地も八ッ場ダム同様、地質条件がダム建設に不適であることを反対住民らは問題にしている。

写真=設楽ダムの水没予定地でも、各所で発掘調査が進められている。