浅川ダム訴訟 住民敗訴が確定 最高裁、上告受理せず

 長野県が進めてきた浅川ダムの工事費支出差し止めなどを求めた訴訟の住民側の敗訴が確定しました。
 裁判所はダム事業者をサポートする判決しか出しません。司法は何のためにあるのでしょうか。

 浅川ダムは田中康夫知事が2002年に県議会で中止を宣言しましたが、2006年の知事選で村井仁知事が当選すると、ダム推進に方針転換。2017年に通常は水を貯めない穴あきダムとして完成しました。
 しかし、ダム予定地は地すべりなど災害の危険性があることから、ダム下流の長野市の住民は不安を抱えたままです。以下の毎日新聞の記事では、原告住民らが「「実際に水がたまったときの危険性、地滑りの危険性などについて、私たちは今後も注意深く監視していきたい」とコメントしたことを伝えています。

◆2018年11月22日 毎日新聞長野版
https://mainichi.jp/articles/20181122/ddl/k20/040/064000c
ー浅川ダム住民訴訟 門前払いに「残念」 上告退けられる /長野ー

  県が建設した浅川ダム(長野市)を巡り、周辺住民ら158人が県を相手取り、既に支出した建設費約120億円を阿部守一知事らに返還請求することや今後の支出差し止めを求めた訴訟で、最高裁は上告を退けた。弁護団の山崎泰正弁護士は「門前払いの判断で残念だ」と述べた。

 浅川ダムは2001年に田中康夫知事(当時)が「脱ダム」を宣言し、建設が一時中断した。しかし、07年に村井仁知事(同)が建設再開を決定し、10年初当選の阿部知事も事業を継続した。県を相手取った住民訴訟では、ダム建設地の地滑りの危険性などが争点となったが、長野地裁は15年に請求を棄却。17年に2審・東京高裁も1審判決を支持し、住民らは審理差し戻しを求めていた。

 原告団・弁護団は最高裁の上告棄却を受け、「実際に水がたまったときの危険性、地滑りの危険性などについて、私たちは今後も注意深く監視していきたい」とコメントした。一方、県河川課は「県が丁寧に安全を確認してきたことが認められたと思っている。今まで通り、しっかりと運用していきたい」とした。【安元久美子】

◆2018年11月22日 信濃毎日新聞
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20181122/KT181121FTI090021000.php
ー浅川ダム訴訟 住民敗訴が確定 最高裁、上告受理せずー

 県営浅川ダム(長野市)の建設は必要ないとして、流域住民らが県に工事費の支出差し止めなどを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)は住民側の上告を受理しない決定をした。決定は20日付。これにより住民敗訴の一、二審判決が確定した。住民らは2017年、最高裁に上告していた。

 15年4月の長野地裁の判決は「建設が合理性を欠くとは言えず、違法性はない」と指摘。17年3月の東京高裁判決も支持した。

 最高裁の決定を受けて住民訴訟弁護団と住民訴訟原告団は21日、「最高裁が門前払いしたことは非常に遺憾だ」などとする声明文を発表。弁護団事務局長の山崎泰正弁護士(長野市)は「浅川ダムの危険性について今後も注意深く監視していきたい」とした。

 阿部守一知事は同日、「浅川ダムが適法であるとの県の主張が確定した。今後も浅川ダムを適正に管理し、地域住民の生命財産を守っていく」とのコメントを出した。

 原告団は10年、「浅川ダムは危険で無駄なダム」として、県に公金支出の差し止めを求めて長野地裁に提訴したが、請求は棄却された。二審の東京高裁は17年、控訴を棄却。原告団は同年、最高裁に上告していた。浅川ダムは治水専用ダムで、同年3月から運用している。

写真下=ダム堤からは長野市の市街地がよく見える。2016年9月29日撮影。

写真下=ダム湛水域周辺では地すべり対策が実施された。試験湛水はパスしたが、今後の洪水時のダム運用で、地すべり等の危険性がないか、ダム下流の住民は不安を抱えたままだ。2016年9月29日撮影。