今朝の上毛新聞の一面に表記タイトルの記事が載っていました。
◆2018年12月13日 上毛新聞
ー水道事業は民間委託せず 前橋市長ー
自治体が水道事業の認可を持ったまま、運営権を民間に委託する「コンセッション方式」を導入できることを盛り込んだ改正水道法の成立を受け、前橋市の山本龍市長は12日の市長会見で、「市民から不安の声が寄せられているが、水道事業の安定・安全供給の意味で取り組む予定はないと明言しておく」と述べ、導入する考えはないとした。
—転載終わり—
上記の記事は、前橋氏の山本市長が、中心街再開発をめぐって方針が異なる倉嶋副市長(元群馬県県土整備部長)を更迭する方針と報じるトップニュースの下に小さく掲載されたもので、新聞のサイトにも見当たりませんが、この発言は重要な情報です。国会で水道民営化に道を開く改正水道法が成立してしまった今、各自治体の首長や議員が水道民営化についてどのような見解をもつかが水道事業の行方に大きな影響を与えます。
各自治体の状況を伝える以下の記事には、次のように書かれています。
「厚労省によると、浜松市、宮城県、同県村田町、静岡県伊豆の国市が上水道での導入に向けて調査などを実施し、大阪市や奈良市も導入を検討している。」
◆2018年12月11日 Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20181211-00107296/
ー水道民営化 賛成する自治体、反対する自治体ー 橋本淳司
民営化に前のめりな宮城県知事は、2021年度中の県内導入を目指すとしており、これもニュースとなっています。
★水道の官民連携に関する宮城県資料(平成30年10月15日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000379271.pdf
宮城県が20年間の運営権譲渡を計画しているのは、水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業のうち、管路をのぞく設備の維持管理・更新と運転(オペレーション)です。後者の運転は現在も民間業者に管理を委託しています。資産の面では管路が7割を占めていますので、運営権の全面譲渡ではありません。
この資料の16ページを見ると、この運営権譲渡により、20年間でコストを335億円~546億円削減できると書いてあります。
しかし、民営化したからと言って、このように大きなコスト削減が本当にできるのでしょうか。このようコスト削減ができる方法がもしあるならば、公共のままでその方法を(コンサルタント等に依頼して)調べ尽くして、その方法を公共のままで取り入れば済む話です。運営権の譲渡を受ける民間事業者の話を真に受けて、計画を進めているのではないでしょうか。将来において、市民生活に多大な影響を与える不安を抱えていると思います。
関連記事を転載します。
◆2018年12月7日 神戸新聞
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201812/0011885034.shtml
ー水道事業の民営化、神戸市は「採用しない」 久元市長が表明ー
自治体が水道事業の運営を民間企業に委託するコンセッション方式を促す改正水道法が成立したことを受け、神戸市の久元喜造市長は7日、同方式を採用しない方針を示した。市会本会議で新社会党の粟原富夫議員の一般質問に答えた。
改正水道法は、老朽化が進む水道事業の経営基盤強化を目指す一方、サービスの低下や災害時の対応の問題などが懸念されている。同方式の導入は自治体の判断に委ねられ、一部の自治体が導入を検討している。
神戸市の対応を問われた久元市長は「現時点で採用するつもりはない」とした上で「早くから水道事業に取り組んできた神戸市では、優秀な職員が事業を支え、経験やノウハウが継承されてきた。必要な部分は民間委託をするが、基本的には現時点の方式を維持することが大切ではないか」と述べた。(石沢菜々子)
◆2018年12月10日 仙台放送
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181210-00000004-oxv-l04
ー改正水道法で可能となる宮城県の新たな水道事業 その運営権は…村井知事「売却先に海外の企業も含む」ー
宮城県は人口減少などにより経営悪化が予想される水道事業に関し「みやぎ型方式」の導入を目指しています。
「みやぎ型方式」とは上水道と工業用水、下水道の3つの水道事業をすべてひとつの民間企業に任せ、地下に埋まっている水道管などは県が、地上にある浄水場などは民間が受け持つ上下分離型の管理のことです。
先週成立した改正水道法により実現可能となった、このみやぎ型方式ですが、村井知事は売却先に海外も含まれることを明らかにしました。
宮城県 村井 知事
「この改正は水産特区や仙台空港の民営化と同じように宮城県から政府に働きかけて実現したものでございます。まさに地方から国を動かす1つのモデルになったと思っております」
水道法の改正について、10日の会見で「1つのモデルになった」と述べた、村井知事。
新たな水道法では水道の認可資格と施設の所有権は県に残したまま、事業の運営権のみを民間に売却できることになりました。
加えて、売却先には海外企業が含まれることも明らかにしました。
宮城県 村井 知事
「当然、世界的な競争となるので、日本の企業のみならず世界的な力を持った企業にも開放し競争していただくことになるだろうと考える」
さらに、運営権を買った企業が水道以外の事業にも進出することを認める考えも示しました。
宮城県 村井 知事
「私はそれでいいと思うんですよ。それによってこれだけの利益が出て、それを水道料金のコストダウンに充てることができる」
県は来年度中に実質民営化に向けた条例案を県議会に提案し、2021年度中にスタートさせたいとしています。