今年7月の西日本豪雨で、国のダムからの大量放流後、大水害に見舞われた愛媛県の肱川流域では、12月1,2日に今後の治水対策を考える連日講演会が開催されました。
今本博健さん(京都大学名誉教授・河川工学)と嘉田由紀子さん(前滋賀県知事)を講師に迎えたこの講演会は大きな反響を呼んだということです。講演会を主催した実行委員会が国交省に対して、ダムに偏重した肱川の河川整備計画見直しを求める要望書を提出したことが報道されています。
国直轄の二基のダムからの大量放流が未曽有の水害を引き起こしたにもかかわらず、国土交通省は肱川支流の小さな河辺川に三基目の巨大ダムを建設しようとしています。
野村ダム直下の西予市では、被災者住民グループ「野村ダム放流の説明をきく会」が今月10日に集会を開きましたが、集会開催にあたり、住民側が求めた出席要請に対して、ダム管理者である国交省と、国交省に忖度する愛媛県の誠意のない対応、ダム推進側からの流言飛語による妨害が露見しました。地元では、ダム行政に対する不信は払拭とは程遠い状況だということです。
〈参照〉
◆「西日本豪雨・野村/鹿野川ダムの防災検証ページ」フェイスブックより
◆「野村の未来を守る会」ホームページ
10月10日、西日本豪雨の被災者住民が野村ダム直下の野村公民館で設立総会。
国交省野村ダム管理所への公開質問状送付、西予市長らとの面談、被災者への聞き取り調査、「野村ダム放流の説明を聞く会」を開催するなどの活動を行っていることがホームページで報告されています。
◆2018年12月21日 愛媛新聞
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201812210050
ー大洲講演会実行委 肱川整備計画見直しを 国に決議文提出ー
1日に愛媛県大洲市であった西日本豪雨に伴う水害を検証する講演会を主催した実行委員会は20日、山鳥坂ダム建設を含む肱川水系河川整備計画を住民参加でゼロから見直し、新たな計画を構築することなどを国や県に求める決議文を国土交通省大洲河川国道事務所などに提出した。
決議文は、2004年策定の整備計画に携わった肱川流域委員会の委員公募が実施されなかった経緯に触れ「住民参加が否定された。その結果成立したのが、ダム優先の整備計画だ」と指摘。堤防には「計画期間(おおむね30年間)の約半分がたっても3分の1しか完成していない」と主張。当面の洪水対策を河床掘削と堤防建設に限ることなどを求めている。
決議文は国交省四国地方整備局長や大洲河川国道、山鳥坂ダム工事の両事務所長宛て。20日は、実行委の7人が両事務所を訪れ、手渡した。大洲市中村の大洲河川国道事務所では、市議会が18日に整備計画の「河道内掘削を行わず」の文言削除などを求める陳情を趣旨採択したことに言及し、山鳥坂ダムを建設せず、河床掘削や堤防完成を進めるよう訴えた。
整備局と県は整備計画の変更内容を検討中で、両事務所は「整備局に報告する」とした。