八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

石木ダム「水源地域の指定」を国に申し出

 さる1月25日、長崎県は石木ダム予定地を水源地域対策特別措置法に基づく水源地域として指定するよう国土交通大臣に申出を行いました。
 長崎県がダム予定地域に多額の税金を投入することになる「水源地域指定」を今頃になって行うのは、国交省に背中を押されて、水没予定地住民が結束して反対している石木ダム計画をおカネの力で推し進めるためです。

★長崎県公式サイトより 長崎県河川課
 http://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2019/01/1548380008.pdf
「水源地域の指定について」

 「水源地域の指定」とは、ダム事業によって破壊される地域の生活再建・地域振興のために、水源地域対策特別措置法(以下、「水特法」)にもとづく事業を行う対象地域を指定するものです。
 1973年に公布された水特法は、八ッ場ダム予定地ではダム計画に反対する地元住民を懐柔するための対策であったとも言われます。八ッ場ダム事業ではダム基本計画が告示された1986年7月に先がけ、同年3月に水没五地区が「水源地域」に指定されました。八ッ場ダム三事業の一つ、水特法事業にもとづく「水源地域整備計画が閣議決定されたのは1995年、総額は約997億円(国負担504億円、関係都県負担439億円、地元及び受益者負担54億円)に上り、事業メニューには道路、土地改良、下水道、町営住宅、砂防、学校、保育所、老人福祉施設などが並んでいます。
→〈参考〉八ッ場ダム事業における水特法事業の各事業予算額の表(群馬県開示資料)

 国土交通省のサイトには「水源地域に指定」された全国各地の94か所のダム予定地と霞ヶ浦が公表されています。
 http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/tochimizushigen_mizsei_tk3_000012.html

 〈指定ダム等一覧〉http://www.mlit.go.jp/common/001053043.pdf

 上記の地図には石木ダムが青字で記されています。石木ダムは「指定ダム」ではあるものの、これまで長崎県からの申し出がなかったため、水特法に基づく「水源地域整備計画」が策定されずにきたことがわかります。
 石木ダムは長崎県の事業ではありますが、副知事を含め国交省から7名もが出向し、石木ダム事業に関係するポストに就いているということです。

(参考記事)「いまごろ”水源地域指定”申請?」(石木川まもり隊ブログ)

◆2019年1月25日 NHK長崎
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190125/5030003083.html
ー石木ダム「水源地域」に指定申請ー

 長崎県は川棚町で建設が進められている石木ダムについて、25日国土交通省に水没予定地とその周辺を「水源地域」に指定するための申請を行いました。
石木ダムの建設に反対する地権者らが訴えを起こす中、申請が認められれば、周辺の道路や公園などの整備も国からの補助を受けるなどして進められるようになります。

石木ダムは、長崎県と佐世保市が水道水の確保や洪水対策を目的に、285億円をかけて川棚町に建設を進めているもので、建設に反対する地権者などが国に事業認定の取り消しを求める訴えを起こし、現在、福岡高等裁判所で2審の裁判が続いています。

こうした中、長崎県は、建設に伴う周辺地域への影響を緩和する必要があるとして、25日国土交通省に水没予定地とその周辺を「水源地域」に指定するための申請を行いました。

申請が認められれば、県は周辺地域の整備計画を策定することになり、本来は県や地元の川棚町が負担する道路や公園などの整備も、国からの補助を受けたり、水道水を利用する佐世保市に財政負担を求めたりしながら、進められるようになります。

長崎県河川課は、今回の申請について「石木ダム自体、2022年度の完成を目指していて、それにあわせて周辺地域の整備も進めていく必要があることから、このタイミングで申請を行った」と説明しています。

◆2019年1月25日 テレビ長崎
http://www.ktn.co.jp/news/20190125229994/
ー石木ダム「水源地域の指定」を国に申し出ー

東彼杵郡川棚町での石木ダムの建設に向けてまた一歩、手続きが進みました。県は周辺のインフラ整備や地域の振興などを行うための「水源地域の指定」の申し出を25日、国に行いました。

川棚町に計画されている石木ダムをめぐり、県が国に対して手続きをしたのは、水源地域対策特別措置法に基づく水源地域の指定の申し出です。

ダムの建設で住民が受ける生活環境などへの影響を緩和するため、地元の自治体の意見を元に、国が道路や公民館の整備、地域振興など24の事業を支援することになっています。

県内で、この手続きが行われるのは初めてです。年度内にも官報で指定が公示されるとみられ、県は指定後に具体的な計画を作ることにしています。

建設に反対している地権者の岩下 和雄さんは「ダム以外にも方法はあるはず。県は住民と対話を行い考え直す必要がある」と話しています。

また、県は諫早市の本明川ダムについても指定を申し出ています。

◆2019年1月26日 長崎新聞
https://this.kiji.is/461697759113413729
ー水源地域指定申請 石木ダムで県、国にー

  県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は25日、水没地とその周辺を水源地域対策特別措置法に基づく「水源地域」に指定するよう国に申請した。
 県によると、水没地と周辺が水源地域に指定されると、県が整備計画の原案を作成。国が同計画を決定すれば、県や同町がダム周辺を整備する際、事業費の一部を受益者の同市が負担できるようになり、同町はより少ない負担で公園や道路などを整備できる。
 県は、ダム建設に伴い、住居44戸、農地など34ヘクタールが水没するとして「地域住民の福祉向上を図る必要がある」としている。本明川ダム(諫早市)の水没地と周辺についても同日、水源地域指定を国に求めた。