八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

「やんば見放台」 来訪50万人突破 ダム工事や眺望人気

 今朝の上毛新聞は、14日告示の統一地方選後半戦を伝える一面トップ記事で、高崎市、みどり市などでは激戦が予想される中、5町村で候補者が少ないため無投票となる公算が大きいと報じています。5町村の一つは八ッ場ダム予定地を抱える長野原町です。
 一方、社会面では、八ッ場ダムの本体工事現場の左岸側の尾根につくられた展望台「やんば見放台」が賑わっていることを伝えるニュースが掲載されています。無料の展望台にいくら多くの観光客がやってきても、地域の活性化にはつながりません。
(写真右=展望台「やんば見放台」から見えるダム堤。コンクリート打設はほぼ完了。)

 八ッ場ダムの水没地にあった川原湯温泉は、ダム事業が本格的に始まる前は年間25万人を超える入込客数がありました。ダム建設地として景観が大きく破壊されている名勝・吾妻峡はさらに多くの人出で賑わう観光地でした。

 長野原町ではダム湖観光を目指して、水陸両用バスや屋形船をすでに発注しているとのことです。
 以下の記事にもあるように、八ッ場ダムの本体工事現場を訪れる人々の多くは、近隣の草津温泉などを訪れる観光客です。現在はスケールの大きな本体工事や、水没予定地を含めた眺望が観光客をひきつけていますが、ダム完成後はどうなるのでしょうか? 

◆2019年4月12日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/124490
ー長野原「やんば見放台」 来訪50万人突破 ダム工事や眺望人気ー

 2019年度完成予定の八ツ場ダム(群馬県長野原町)と水没予定地を一望できる展望台「やんば見放台」の来訪者が11日、50万人を突破した。展望台の開設から約3年半。本体工事の進捗に伴い来訪者は尻上がりに増えており、紆余曲折を経て完成に近づくダムへの関心が高まっている。

 見放台は元々あった高台を改修し15年9月に開設した。ダムサイト上流で左岸側の川原畑地区に位置し、高さは約18メートル。ダム本体や八ツ場大橋、川原湯温泉、新緑や紅葉などの自然を眺望できる無料の展望台として人気を集めている。無料の双眼鏡が設置してあるほか、スマートフォンに専用アプリを入れて案内ポールに近づけば工事内容の解説を受けられる。

 管理する国土交通省八ツ場ダム工事事務所によると、見放台への来訪者は15年度が約4万人だったが、16年度約8万人、17年度約16万人、18年度約20万人と年々増加している。

 50万人目となったのは新潟県妙高市の田中みち子さん(68)。同事務所から記念品が贈られ、関係者と共に大台到達を祝った。

 田中さんは夫と妹夫婦の計4人で、草津温泉から自宅に帰る途中で初めて立ち寄ったという。コンクリート打設がほぼ完了し、完成の姿に近づいたダム本体をはじめ、巨大な重機が作業する工事現場の風景をじっくり眺めた。

 田中さんは「立派なダムを見て大きな工事だということを実感した。人家があった場所が水の中に沈むと思うと感慨深い」と感想を述べ、「ダム完成後は今とは違った風景になるので、また訪れたい」と笑顔で話していた。

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写真下=展望台「やんば見放台」の対岸(右岸側)にある尾根からの眺望。ダム堤の手前の盛り土は、川原湯温泉の移転代替地がダムに水を貯めても崩れないようにするための、ソイルセメントによる押さえ盛土。4月9日撮影。

写真下=名勝・吾妻峡の上流端には、並行して走っていた旧国道の八ッ場大橋とJR吾妻線の鉄橋がまだ残されている。このすぐ上流(左)側にJR川原湯温泉駅があった。

写真下=ダム直下の名勝・吾妻峡にある「見晴らし台」より撮影。