昨年の西日本豪雨による水害を受けて、7月21日投開票の参院選・愛媛選挙区では、肱川の治水対策が争点となっています。
愛媛県を流れる肱川では、上流の二つのダムが緊急放流を行った後、ダム直下で大氾濫となりました。ダムは机上で計画された雨量を超える豪雨では洪水調節を行えなくなり、ダムに貯まった水を一気に放流しなければなりません。肱川水系では、すでに国直轄の巨大ダムが二基あるにもかかわらず、国が三基目の山鳥坂ダムを建設する予定です。このため、治水予算の多くがダム事業に投じられ、流域の無テイチクなどが放置されてきました。
参院選を控え、豪雨被災者らが結成した二つの団体が参院選愛媛選挙区の立候補者に、肱川治水についての考えを聞いた公開質問状の回答が地元紙で報道されています。愛媛選挙区では、自民党と野党統一候補の一騎打ちとなっています。永江孝子さんは昨年7月の肱川水害の真因をよく理解されていると思います。
◆2019年6月29日 愛媛新聞
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201906290098
ー参院選2019えひめ 出馬表明の2新人 肱川治水、見解分かれ 豪雨被災者らの質問に回答ー
西日本豪雨の被災者らでつくる「野村の未来を守る会」と「ダム放流を考える大洲市民の会」は28日までに、参院選愛媛選挙区(改選数1)に立候補を表明している2新人に肱川治水について考えを聞いた公開質問状の回答を公表した。豪雨災害での野村、鹿野川両ダムの効果や操作規則の変更、山鳥坂ダム建設などに関し見解が分かれた。
2人は、自民党新人らくさぶろう氏(54)=本名冨永幸伸=と、野党統一候補で旧民主党元衆院議員の無所属新人永江孝子氏(59)。質問は選択式4問と自由記述で、両会が5月31日に提出していた。
「野村、鹿野川両ダムは被害を軽減するのに役立ったか」との質問に、らくさぶろう氏は「どちらともいえない」、永江氏は「役立っていない」を選択。「山鳥坂ダム建設工事を停止し、その予算を堤防整備・河床掘削に回してほしい」との意見への賛否を尋ねる質問では、らくさぶろう氏は「山鳥坂ダム工事を停止すべきではない」、永江氏は「賛成」を選んだ。
両ダムの操作規則変更について、らくさぶろう氏は「効果があり、妥当な操作規則の変更」、永江氏は「大洪水対策として不十分であり、妥当ではない」を選択した。
国土交通省四国地方整備局の「現時点では、気象予測を活用してダム操作規則に反映させることは困難」との方針への見解は、らくさぶろう氏は「その他」と記述。永江氏は「どちらともいえない」を選んだ。
らくさぶろう氏は自由記述で「気象予測に基づき、大規模洪水に対応した操作規則と中小規模洪水に対応した操作規則を使い分けることは困難であることから、所定の選択肢に当てはまらない」などと説明。永江氏は自由記述で「昨年の大水害において野村、鹿野川両ダムは役立ったとは言えず、逆に有害であった可能性が高い。ダム建設よりも、大洲、西予両市の皆さんが求めている堤防整備と河床掘削を優先して進めたい」などとした。