参院選の最中、愛媛県の前知事、加戸守行氏が昨夏の西日本水害を巡り、民主党政権のせいで被害が拡大したというデマを拡散し、野党統一候補に謝罪を要求したことが問題となっています。
加戸氏は2017年に国会で、加計学園問題について安倍首相擁護の発言をして世論の顰蹙を買って全国的に有名になった人物ですが、国交省が中止しようとした山鳥坂ダムを復活させたことや日本会議の方針に則って教育行政を歪めたことでも知られます。
河川行政については、これまでも巨大事業の推進派から様々なデマが流され、野党たたきの材料になってきました。
「民主党政権のせいで八ッ場ダムの完成が遅れた」「八ッ場ダムの完成を遅らせた民主党のせいで鬼怒川水害が起きた」「八ッ場ダム事業を止めた民主党政権のせいで、ダム事業費が膨らんだ」などもすべて悪質なデマですが、今も拡散され続けています。民主党政権は八ッ場ダム中止を政権公約に掲げながら、一度もダム事業を止めることができませんでした。八ッ場ダムが工期延長と事業費増額を繰り返していることは、民主党政権とは関係なく、ダム計画そのものに無理があったからです。
◆2019年7月17日 愛媛新聞
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201907170224
ー自民新人の出陣式で 加戸前知事が誤認発言 「鹿野川ダム改造 旧民主政権凍結」ー
参院選愛媛選挙区に立候補している自民党新人らくさぶろう氏の4日の出陣式で、加戸守行前知事が、洪水調節容量を増強する鹿野川ダム(大洲市)のトンネル洪水吐(ばき)の工事が旧民主党政権で凍結されたなどと事実と異なる発言をしたとして「ダム放流を考える大洲市民の会」(代表・奥島直道弁護士)が16日までに、らくさぶろう氏の選挙事務所に発言を収めた動画の発信などをやめるよう文書で申し入れた。
動画のリンクと発言を掲載した事務所のブログ記事は16日、削除された。
加戸氏は松山市での出陣式で「旧民主党政権が(洪水吐などのダム)改造工事を3年間凍結した」と主張。3年前に完成していれば、大洲、西予両市での犠牲者を含む浸水被害を防げたとの持論を展開した。また、凍結の結論は、当時の民主党衆院議員で参院選愛媛選挙区に立候補している無所属新人永江孝子氏が出したなどと述べていた。
国土交通省山鳥坂ダム工事事務所によると、鹿野川ダムのトンネル洪水吐は2017年出水期からの運用を予定していたが、地質が想定よりも弱く完成・運用開始が19年6月になった。事業は凍結されていない。
加戸氏は愛媛新聞の取材に凍結の事実がなかったことを認めた上で、民主党政権の「コンクリートから人へ」の方針でダム関連予算が大幅に減額され、改造工事が影響を受けたとした。
◆2019年7月17日 毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190717-00000066-mai-pol
ー参院選愛媛選挙区のらくさぶろう氏、前知事発言の記事をブログから削除ー
参院選愛媛選挙区に立候補している自民新人、らくさぶろう氏(54)の陣営は17日までに、加戸守行・前愛媛県知事が4日のらくさぶろう氏の出陣式で行った対立候補を批判する発言について、管理するブログなどから発言の関連記事の一部を削除した。13日に市民団体から「誤った事実に基づく発言」との指摘を受け、「誤解を招く」と判断したとしている。発言はあいさつに立った加戸氏が、鹿野川ダムの洪水吐(ばき)の工事が旧民主党政権下で3年間凍結されたとしたうえで、洪水吐工事が完成していれば昨年7月の西日本豪雨で犠牲者などの被害は防げたと主張。その責任が対立候補の無所属新人、永江孝子氏(59)にあると訴え、演説のネットでの拡散を自ら呼びかけていた。
山鳥坂ダム工事事務所によると、洪水吐工事は「2010年に関連工事が始まってから一度も止まっていない」という。指摘は「ダム放流を考える大洲市民の会」(代表・奥島直道弁護士)がらくさぶろう氏の選挙事務所に文書で行い、動画配信の中止を申し入れた。陣営幹部は演説内容について「加戸氏の見解だ」としている。【木島諒子、中川祐一】