八ッ場ダム工事事務所のホームページに「やんばツアーズ終了のお知らせ」が掲載されました。
八ッ場ダムの無料ツアーの費用は八ッ場ダム事業から支出されてきましたので、ダム事業の完了とともに終了することが最初から決まっていたわけですが、ダム事業完了予定の来年3月を待たずに今年9月で終了となるのは、10月から試験湛水が始まる予定で、これまで見学ポイントだった本体工事現場や水没予定地が立ち入り禁止になるためでしょうか。
新聞報道によれば、今後は地元が主催する団体向け有料ツアー(一人300円)が開催されるとのことです。長野原町ではダム湖観光を目指して、すでに水陸両用バスと遊覧船を発注済みとのことです。
利根川上流には多くの巨大ダムがあります。いずれもダム完成直後はメディアに取り上げられ、多くの観光客が集まりますが、ダム湖観光をその後も維持するのは容易ではありません。
八ッ場ダムの場合は、一大観光地である草津白根山麓や浅間山麓の入口という好立地ではあるものの、国交省のツアーのように巨大建造物の工事現場や水没予定地といった期間限定つきの見せ場はなく、水質に問題のあるダム湖を抱えることになります。今後の地元主催のツアーは、国交省のツアーよりはるかに悪条件のもとで運営していかなければなりません。
★国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所
http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/yanba00293.html
「やんばツアーズ」終了のお知らせ
2019年08月23日
八ッ場ダム工事事務所では、建設中のダム工事現場を見学することができる日本一のインフラ観光ツアー「やんばツアーズ」を2017年4月より開催しておりましたが、 地元にて道の駅「八ッ場ふるさと館」による有料のダムツアーが開催されていること、加えてこの10月より長野原観光協会主催の有料ツアーが開始されることに伴い、 2019年9月末をもちまして終了させて頂きます。
ツアー開始前の2016年度は約2,800人だった見学者は、ツアー開始2年目の2018年度には約20倍に迫る約55,000人となり、 多くの方々にご参加頂きました。ありがとうございました。
当事務所では、今後も地元の地域活性化に向けた取り組みをしっかりと支援してまいります。
これからも引き続き、魅力いっぱいの八ッ場地域におこし下さい!
◆2019年8月24日 朝日新聞群馬版
http://digital.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20190824100580001.html
ー八ツ場ダムの見学 ツアー来月末終了ー
国が約2年半続けてきた八ツ場(や・ん・ば)ダム(長野原町)の見学ツアーが9月末で終了する。ダム完成後は、職員が数人しか残らないためだ。10月からは地元の観光協会がツアーを運営する。ダム本体の工事はほぼ完了し、今秋に、水をためる「試験湛水(たん・すい)」を予定している。
国土交通省八ツ場ダム工事事務所によると、「やんばツアーズ」と称してツアーを本格的に始めたのは2017年4月。17年度は約2万9千人、18年度は約5万5千人が見学に訪れた。
担当者は「今後は地元主導で、新たな観光資源として運営してもらう」と説明する。10月以降も、当面はガイド派遣などの協力をするという。
長野原観光協会の担当者は「建設中のダムを近くで見られるのは珍しい。魅力を何とか伝えていきたい」と話す。少なくとも3月まではツアーを続ける方針だという。
8月26日から、「八ツ場ダム見学会」(10月1日~12月25日、木曜休み)の参加者を募集する。1日3回で各回1団体(10~50人)。見学料は1人300円。先着順。問い合わせは観光協会(0279・82・5815)。(丹野宗丈)
◆2019年8月25日 上毛新聞
ー国交省 やんばツアーズ来月末で終了 観光協会が運営引き継ぎー
国土交通省八ッ場ダム工事事務所は24日までに、八ッ場ダムの工事現場見学会「やんばツアーズ」を9月末で終了すると発表した。年度内を予定するダムの完成を見据えた対応で、10月からは長野原観光協会が運営を引き継ぎ、有料のツアーを実施する。
やんばツアーズは2017年4月に始まり、夜間の工事現場の見学や、ダム湖に沈む湛水地のバスツアーなど多彩な観光を企画してきた。17年度は約2万9千人、18年度は約5万5千人が参加。ダム建設により新たな出発を目指していた地元に、ダムを見学する「インフラツーリズム」を根付かせた。
同事務所の担当者は「今後は地元に主役になってもらい、地域活性化につながるよう支援していきたい」と説明。事務所職員は10月以降もガイドとして参加し、観光協会のツアーに協力していく予定という。
10月以降のツアーは10人以上の団体客を対象に一日3回実施し、一人300円の見学料が必要となる。同協会の桜井芳樹会長は「これまで人気だったやんばツアーズの魅力を引き継ぎ、国の力を借りながら今後の運営方法などを模索していきたい」としている。
◆2019年8月28日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49111810Y9A820C1L60000/
ー群馬の八ツ場ダム見学ツアー、地元主体にシフトー
国土交通省八ツ場ダム工事事務所は、八ツ場ダム(群馬県長野原町)の工事現場を見学する「やんばツアーズ」を2019年9月末で終了する。10月からは長野原観光協会がツアーを運営する。今秋から試験的にダムに水をためる「試験湛水(たんすい)」が始まるのに伴い、運営を地元主体にシフトする。
同事務所は17年4月から八ツ場ダムの見学ツアーを始めた。予約不要の見学会やナイトツアー、コンシェルジュの説明付きの団体ツアーなど幅広い内容の見学会を実施してきた。17年度は約2万9千人、18年度は約5万5千人と多くの観光客が参加している。
10月1日からは観光協会が主催するツアーに切り替える。木曜日を除いて1日3回開催し、見学時間は90分。各回1団体(10~50人)が参加でき、見学料は1人300円とする。12月25日まで開催する。
◆2019年9月13日 毎日新聞群馬版
https://mainichi.jp/articles/20190913/ddl/k10/010/137000c
ー八ッ場ダム見学ツアー終了 国交省主催、今月末で 大規模工事が完了 来月から有料に 長野原観光協会ー
国土交通省が2017年4月から実施してきた八ッ場ダム工事現場の無料見学ツアーが9月末で終了する。6月にダム本体のコンクリート打設(だせつ)が完了し、秋からは試験的に水をためる試験湛水(たんすい)が始まるなど大規模な本体工事が見られないことに加え、10月から長野原観光協会主催のダム見学会(有料)が始まるためだ。地元では新たな観光資源としてのダムの活用策模索が続いている。
国交省主催のツアーは「首都圏で唯一の建設中のダム」と銘打ち、予約不要の「ぷらっと見学」や、大型重機が照明器具に照らされて稼働する様子を見せるナイトツアーなど多彩なコースを用意してきた。今年7月末までの2年4カ月間で延べ9万8000人が参加。今月分で予約が必要なツアーは、既にほぼ満席という。
一方、10月からの観光協会主催の見学会は、ダム周辺の整備工事や試験湛水の様子など完成直前の風景を見たり、従来のツアーと同様に、吾妻川の左岸から右岸へと付け替えられたJR吾妻線の廃線になった線路を歩いたりする。さらに、10月下旬~11月上旬ごろは吾妻渓谷の紅葉が見ごろになる見通し。
見学会は木曜日を除く12月25日まで、1日3回(各回90分)。団体向けで、定員は1回につき10~50人、車両1台。参加費は1人300円。問い合わせは同協会(0279・82・2208)。【鈴木敦子】
—転載終わり—
写真下=完成した八ッ場ダムの堤体。手前右側に廃線となったJR吾妻線の鉄橋。手前左側の水没予定地(川原畑地区)では、発掘調査が行われている。2019年8月20日撮影。
写真下=ダム堤の手前にダム本体工事のためにつくられた仮締切と仮排水トンネルの吞み口が残されている。鉄橋の後ろに並行して旧国道の八ッ場大橋が架かっている。国の指定名勝・吾妻峡は上流端の八ッ場大橋から下流3.5キロであり、写真に写っているのは名勝のうち水没する1/4の範囲。鉄橋の右側に見える茶色い橋げたは、かつて吾妻峡の観光スポットであった瀧見橋。瀧見橋の右手の断崖から白糸の滝(吾妻峡十勝の一つ)が流れ落ち、特徴のある滝壺、岸壁の十文字草とともに観光客に親しまれた。8/20撮影。
写真下=試験湛水までに終えなければならない水没予定地の発掘調査。写真の発掘調査は、川原畑地区を走っていた旧道(いわゆる真田道)のあたりか。雨が降り、遺跡に水がたまっている。8/20撮影。