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宮城県、水道事業の官民連携でパブコメ、市民団体は見直し求め要望書提出

全国の水道事業体のほとんどが民営化に消極的ですが、宮城県は村井嘉浩知事の主導で水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業の民営化を進めようとしており、2021年度からの民営化を計画しています。

 宮城県では9月2日から30日の期間でパブリックコメントを募集中です。
 http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/suido-kanri/iken-koubo2.html
 「宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)実施方針(素案)に対する意見の募集(パブリックコメント)について」

 あまりにも拙速ですので、市民団体が8月27日、導入に向けた関連条例案提出を見送るよう、県へ9月1日を回答期限とする要望書を提出したことが報道されています。
 政府の水道民営化推進方針に迎合して、村井知事が全国で初めての水道等の民営化に名乗り上げたいということだけで宮城県は突き進んでいますが、内実はかなりあやふやです。

〈参考ページ〉「宮城県の水道・工業用水道・下水道の民営化計画の現実」(嶋津暉之)

◆2019年8月27日 NHK東北
https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20190827/6000006725.html
ー水道民間委託に市民が見直し要求ー

 宮城県が水道事業の運営権を民間企業に売却する新たな方式の導入を目指していることをめぐり、27日、市民団体が県庁を訪れ、県民への説明が十分ではないとして、スケジュールを見直すよう要望しました。

宮城県は、水道事業について、施設は県が所有したまま運営権だけを一括して民間企業に売却する新たな方式を3年後から導入することを目指していて、11月の県議会に条例案を提出する方針です。
こうした中、市民団体の「命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ」のメンバーが県庁を訪れ、県の櫻井雅之公営企業管理者と面会しました。
この中で、市民団体は、料金が上がったり、水質が低下したりしないか心配する声があがっていることを踏まえ、県民にていねいに説明した上で、11月の県議会に条例案の提出を目指すという県のスケジュールを変更するよう求めました。
市民団体の佐久間敬子共同代表は、「一度始めれば、やり直すのは簡単ではない。わかりやすく、徹底的に県民に説明してほしい」と話していました。
これに対し、櫻井公営企業管理者は「情報公開と県民の理解が必要だという指摘はもっともだ。具体的な情報をまとめて、できるだけ早く公表したい。条例案は予定通り提出したい」と述べました。

◆2019年8月28日 河北新報
https://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201908/20190828_11025.html
ー水道民営化、日程再考を 市民団体が宮城県企業局に要請ー

 宮城県営水道3事業の運営を民間に一括して委ねる「みやぎ型管理運営方式」の導入を巡り、市民団体「命の水を守る市民ネットワークみやぎ」は27日、2022年1月の導入スケジュールを見直し、議論を深めるよう県企業局に求めた。
 要請は(1)情報公開を徹底し、県議会や市町村と議論を尽くす(2)実施方針素案の意見公募の中止(3)実施方針条例の県議会11月定例会への提出方針の撤回-の3項目。回答期限は9月1日とした。
 団体共同代表の佐久間敬子弁護士ら6人が県庁を訪れ、要請書を桜井雅之公営企業管理者に提出した。
 佐久間共同代表は「県が導入効果を明確にし、現状と比較しないと(是非は)判断できない。十分に説明してほしい」と要望。桜井管理者は「予定通り進めたいが、知事と相談し、回答したい」と応じた。

◆2019年8月29日 毎日新聞宮城版
https://mainichi.jp/articles/20190829/ddl/k04/040/170000c
ー水道事業委託 県に「十分な説明を」 市民団体、要望ー

 自治体が水道事業の認可を受けたまま運営権を民間事業者に委託する「コンセッション方式」の県内導入を巡り、市民団体「命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ」は27日、県民への説明が足りないとして導入に向けた関連条例案提出を見送るよう県へ要望書を提出した。

 団体の佐久間敬子共同代表らが県庁を訪れ、県企業局の桜井雅之・公営企業管理者に要望書を手渡した。要望書では▽情報公開の徹底や県議会での熟議▽パブリックコメントの中止▽関連条例改正案の撤回--などを求めた。

 同方式を巡っては、昨年12月、自治体が水道事業の認可を受けたまま運営権を民間に委託できるとした改正水道法が成立。村井嘉浩知事はこれを受け、2021年度にも上・下水道、工業用水の3事業一体の運営権を民間に委ねる「みやぎ型管理運営方式」を導入する考えを示した。

 県はパブリックコメントを9月2日から開始し、導入に向けた関連条例案を県議会11月定例会で提案する方針。一方、団体側は県民への情報開示不足や収支シミュレーションが示されていないことなどを理由に反発。佐久間共同代表らは「事実上の水道民営化だ。県民の生活に直結する問題だけに十分な議論が必要だ」と訴える。

 要望書を受け、桜井公営企業管理者は「コンセッション導入に向けた説明は尽くしていくが、条例案提案などはスケジュール通り行っていく考えだ」と説明した。【遠藤大志】

◆2019年8月30日 仙台放送
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190830-00000002-oxv-l04
ー宮城県が導入目指す“水道民営化”…市民団体「導入スケジュール見直し」を要望ー

 宮城県が導入を目指す水道3事業の民営化について、県民への説明が足りないとして、市民団体が「導入スケジュールの見直し」を求める要請書を、県に提出しました。

 県に要請書を提出したのは、市民団体・「命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ」です。
県は水道3事業について、施設の更新費用の削減などを目的に「県が施設を所有したまま運営権だけを一括して民間企業に売却する」という新たな仕組みの導入を目指しています。
これについて県は年内にも条例案を県議会に諮る方針ですが、市民団体側は「水道水の水質低下」や「料金の高騰を招く」といった懸念の声があり、県民への説明が足りていないとして導入へのスケジュールの見直しを求めました。

市民団体 佐久間敬子 代表
「様々な情報が明らかになって県民に分かりやすく示されて、みんなで議論をして自分の地域の水をどう守っていくかと。県が進めている事業に対して県民が意見を述べられるようにしていかないといけない」

 県の担当者は「情報公開と県民の理解が必要との指摘はもっとも。できるだけ早く情報を公表したいが、現段階でスケジュールは予定通りのままにしたい」とコメントしています。

◆2019年9月3日 河北新報
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201909/20190903_11013.html
ー「みやぎ方式」なら上水道コスト120億円削減 県が素案ー

 宮城県企業局は2日、水道3事業の運営を民間に一括して委ねる「みやぎ型管理運営方式」の実施方針素案を公表した。素案とともに公表した資料では県が運営を続けた場合と比べ、上水道のコスト削減効果が約120億円になると説明した。
 素案には浄水、下水処理場や制御設備の運転、維持管理は民間に委ねる一方、管路は県が保守点検することや、水質は事業者が検査し、県や新設する第三者委員会が結果を確認することなどが盛り込まれた。
 コスト削減効果は事業者への聞き取りを基に県が算出した。上水道事業を県が続けた場合の20年間の事業費を約1800億円と試算し、約7%を減らせるとした。工業用水、下水の削減効果は11月をめどに示す。
 2日の定例記者会見で村井嘉浩知事は「設備の老朽化や使用水量減による料金上昇を抑える効果がある」と説明し、理解を求めた。
 県は同日、素案の意見公募を始めた。期間は30日までで、12月に公表予定の実施方針に反映する。県議会11月定例会には、みやぎ型管理運営方式の導入を可能にする条例改正案を提案する見込み。