昨日(9月19日)、石木ダム予定地の地権者が2時間半にわたって中村法道・長崎県知事と面会しました。
NHKの速報をまとめました。
中村知事は、面会において「ほとんど私から話をする時間をもらえなかった。」と不満を述べていますが、動画では中村知事が長崎県がこれまで主張してきたのと同じ表現で石木ダム事業の正当性を述べている場面が写っています。50人の住民が強制収用をやめてほしいと、それぞれの思いを訴えたのと比較して、石木ダムのパンフレットに書いてあるのと同じPRを繰り返した知事の発言時間が少なかったのは当然です。
中村知事は石木ダムが必要であるという根拠として佐世保市の渇水をあげ、「2年に一度ほど渇水対策本部を立ち上げる事態に至っている」「水不足が解消されたような状況にはない」と語っている場面では字幕も掲載されていますので、石木ダム事業について何も知らない視聴者は、知事の言葉どおり、石木ダムは必要だと思うかもしれません。しかし、佐世保市の「渇水対策本部」は石木ダムの必要性を演出するために頻繁に立ち上げられているもので、佐世保市での給水制限は2007年度の冬季以来ありません。2007年度の渇水の際も減圧給水で対応できました。さらに、その後、佐世保市では給水量が2割程度減ってきており、現在、同レベルの渇水があったとしても、給水制限なしで十分に対応できます。人口減少も著しい佐世保市では渇水の心配はなくなっています。
欺瞞に満ちたダム事業がまとう「公共性」のヴェールをはがなければなりません。
◆2019年9月19日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190919/5030005402.html
ー石木ダム 地権者が知事と面会ー
石木ダムの建設に必要なすべての用地の所有権が、19日夜、地権者から国に移ります。
これを前に、長崎県の中村知事と建設に反対する地権者が5年ぶりに面会しました。
長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、ことし5月、県の収用委員会がダムの建設に必要なすべての用地を、強制的に収用できるようにする裁決を下しました。
そして、19日夜12時に建設用地の所有権が地権者から国に移るほか、建物の移転などを伴わない用地の明け渡し期限を迎えます。
これを前に、建設に反対する16世帯・40人余りの地権者らが県庁を訪れ、5年ぶりに長崎県の中村知事と面会しました。
この中で、地権者は「生まれ育ったこの土地に住み続けることは悪いことでしょうか。どうか強制収用しないでください。勇気ある決断をしてください」などと述べ、建設を中止するよう求めました。
これに対し、中村知事は「佐世保市では、ここのところ給水制限には至っていないものの、対策を講じる必要があり、水不足が改善されたという状況にはない」などと述べ、建設への理解を求めました。
また地権者が、近く再び面会するよう提案したのに対し、中村知事は「将来の話ができる機会があればありがたい」と応じました。
石木ダムをめぐっては、建物の移転などを伴う用地の明け渡し期限が、再来月・11月18日に設定されていて、これを過ぎても住民が住み続ければ、県は強制的な家屋の撤去などを伴う「行政代執行」に乗り出せることになります。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190919/5030005406.html
ー支援者に知事との面会を報告ー
石木ダム建設に反対する地権者らは、およそ2時間半にわたって中村知事と面会したあと、県庁のロビーに集まったおよそ50人の支援者に報告を行いました。
この中で、地権者の岩下和雄さんが「今のふるさと、今の生活を守り、地権者のみんなとともに生活を続けていきます」などと述べ、引き続き石木ダム建設に反対していく考えを強調すると、支援者からは拍手が沸きました。
報告会のあと、長崎市に住む支援者の女性は「地権者ではないですが『自分たちも当事者だ』と思って来ました。石木ダム建設は多くの人の合意に基づかないやり方で手続きが進んでいるとしか思えない」と話していました。
一方、地権者の1人で、川棚町議会議員の炭谷猛さんは、中村知事との面会のあと、「きょうは、『近いうちにまた面会するという約束ができた』と理解している。中村知事に、ダム建設を見直してもらう機会をやっと作ることができたので、戦いはこれからだ。若い人も交えてダムをやめるための話、ダムをやめてからの話に進展していってほしい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190919/5030005410.html
ー地権者「戦いはこれから・・」ー
地権者の1人で、川棚町議会議員の炭谷猛さんは、中村知事との面会のあと、「きょうは、『近いうちにまた面会するという約束ができた』と理解している。中村知事に、ダム建設を見直してもらう機会をやっと作ることができたので、戦いはこれからだ。若い人も交えてダムをやめるための話、ダムをやめてからの話に進展していってほしい」と話していました。
地権者の1人、岩下和雄さんは「中村知事には、『見直しが必要だ』と思ってもらわなければいけない。見直しが前提ならば、今後の面会にも参加したいと思うが、『同意しろ』ということであれば、一切、受け付けない」と話しました。
地権者の1人、松本好央さんは「私たちが生活してきたふるさとが法的には私たちのものでなくなるが、それでも私たちは住み続けていく。私たちの思いを聞いてどう思ったのか、中村知事に聞ける機会があればいいと思う」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190919/5030005408.html
ー知事「推移見て代執行決断も」ー
中村知事は、面会のあと、記者団に対し、「長年にわたって住み続けてきたふるさとへの思いを聞かせてもらった。さまざまな選択肢の検証を重ね、これが最良の方策だという考えで進んできたので、いまの方針の下で進めざるを得ない」と述べました。
また中村知事は、行政代執行について、「関係工事の進捗などの推移を見ながら、しかるべきタイミングで決断をしなければいけない時期が来るだろう」と述べました。
さらに次の面会については、「ほとんど私から話をする時間をもらえなかった。『計画を白紙にしないと話し合いに応じない』などの前提があったので、今後は前提を緩和し、話し合う機会があればありがたい」と述べました。