国土交通省は2020年度から、九頭竜川上流の既設ダムを有効活用し、治水機能の増強を図るための調査を開始するため、国直轄の新規事業として1億4400万円を政府予算案に計上しました。
九頭竜川水系では国土交通省は一方で、意味があるとは思われない足羽川ダムの建設を推進しています。
関連記事を転載します。
◆2019年12月21日 中日新聞
https://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2019122102000194.html
ー治水増強へダム再生 九頭竜川で調査費 政府予算案に1億4400万円ー
頻発する水害への対応として、国土交通省は二〇二〇年度から、九頭竜川上流の既設ダムを有効活用し、治水機能の増強を図るための調査に乗り出す。二十日に閣議決定された政府予算案に、国直轄の新規事業として一億四千四百万円が計上された。 (山本洋児)
事業名は「九頭竜川上流ダム再生事業」。国が二〇〇七年二月に策定した「九頭竜川水系河川整備計画」に基づく。国交省治水課によると、九頭竜川の既設ダムの放流能力を増強するとともに、それに伴う操作ルールを見直すことで、治水機能を向上させる。
具体的には、豪雨時にあらかじめ水力発電の容量を下げることにより、洪水調節容量を増やす。二〇年度からの調査では、九頭竜川上流にある八つのダム群のうち、各施設の測量などに着手し、どのダムを活用するのが最も効率的になるのかを検討。速やかに水位を下げるため、放流設備増設の方法も決める。
再生するダムが一カ所か複数の組み合わせになるかは調査の中で固まる。ただ活用先として有力視されているのは貯水容量が最大の九頭竜ダム(大野市)だ。ここで事業を進めた場合、総事業費は三百十億円、完成は三二年度の予定という。河川改修と併せた事業効果は、整備前に浸水が想定される千六百三十ヘクタール、二万二千五百世帯が、ともにゼロになる見込み。
既設ダムの再生は、新設に比べ用地買収や地域の水没がなく、事業が早く進むという利点もある。同課の担当者は「早く建設に移行したいが、電力会社との協議も必要になる」と話し、まずはしっかりと調査を進める方針を示す。