石木ダム事業の水需要予測「科学性が欠如」 科学者の会 佐世保市に意見書

 佐世保市は人口減少が顕著で、水需要も右肩下がりなのですが、過大な水需要予測を立てて、石木ダム事業を推進してきました。
 石木ダム事業の9度目の工期延長(2022年度→2025年度)に伴い、佐世保市は厚労省から補助金を得てダム事業に参画し続けるため、水需要予測について改めて再評価を行わなければならなくなりました。
 このため、佐世保市は上下水道事業経営検討委員会を1月23日に開き、新たな水需要予測を容認ました。
 佐世保市の水需要予測は右のグラフをご覧いただければわかるように、明らかに現実からの乖離がひどくなる一方であり、石木ダム事業そのものもダム予定地住民13世帯が立ち退きを拒否して行き詰っているのですが、委員会のメンバーはダム利権を求める佐世保市水道と一体のようです。

 このような佐世保市に対して、このほど科学的な見地から「ダム検証のあり方を問う科学者の会」(呼びかけ人:今本博健・京都大学名誉教授、河川工学ほか)が今回の再評価の愚かしさを指摘する意見書を提出しました。
 意見書本文は、以下のURLをクリックすると表示されます。

★「佐世保市水道の新水需要予測に関する意見書」
 (ダム検証のあり方を問う科学者の会、2020年2月4日)
 http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2020/02/330122737cee6b6e8e39958530164f2b.pdf

 関連記事を転載します。

◆2020年2月5日 長崎新聞
https://this.kiji.is/597437699201254497?c=39546741839462401
ー石木ダム事業の水需要予測「科学性が欠如」 科学者の会 佐世保市に意見書ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が利水面の事業再評価でまとめた水需要予測について、全国の研究者らでつくる「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は4日、「科学性が欠如している」として根元から見直すよう求める意見書を水道局に提出した。

 同会は河川工学が専門の今本博健・京都大名誉教授らが共同代表で、約120人の賛同者がいるという。
 市水道局は1月、再評価の諮問委員会に対し、2038年度までの水需要予測を提示。全体の6割以上を占める生活用水について、人口が減る一方で、1人当たりの水使用量が全国の同規模都市の水準に近づき徐々に増えるため、横ばいで推移すると想定。確保が必要となる水量に対し、水源が足りないとしている。

 意見書は朝長則男市長宛て。給水量の実績値は減少傾向にあることを挙げ「非科学的な架空予測」と指摘している。1人当たりの水使用量は「節水型機器の普及や開発が進み、増加傾向に転じることは考えられない」と強調。「現実性が疑わしい水需要増加要因を積み上げている」とした。

 この日は、ダム建設に反対する市民団体「石木川まもり隊」のメンバーらが手渡した。市民団体は、諮問委の委員の構成や審議の進め方も問題視。ダム建設を推進する立場の委員が含まれ、「構成に問題がある」ほか、別室で中継映像を介した傍聴は聞き取りにくいとし、改善を申し入れた。
 意見書を受け取った市水道局水源対策・企画課の川野徹課長は取材に対し「内容を確認して対応を検討する」と述べた。

◆2020年2月5日 朝日新聞長崎版
https://digital.asahi.com/articles/ASN2471W3N24TOLB002.html
ー佐世保市の水需要予測「科学性が欠如」 ダム計画ー 

  長崎県と佐世保市が進めている石木ダム計画(長崎県川棚町)をめぐり、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」(共同代表=今本博健・京都大名誉教授)が4日、市の新しい水需要予測について、「科学性が欠如している」として「根本からの見直し」を求める朝長則男市長あての意見書を市水道局に提出した。

 意見書では、長らく減少傾向にある一日最大給水量(2018年度は7万7968トン)が今後大幅に増え、20年後の38年度に10万6549トンになるとした需要予測について「実績無視の架空の予測は行政の信頼性を損なわせる」と総括。

 生活用水が節水型の家電機器の浸透や人口減に反するように増える▽自衛隊と米海軍基地の需要が倍増する▽地下水を使っている事業所が水道水に切り替える可能性を「潜在的需要」としている――点など、現実化するかどうか疑わしい要因を積み上げた予測だと批判している。

 特に自衛隊と米海軍基地の需要については、具体的データを示さず多く見積もっているとしている。

 また、ハウステンボスと佐世保重工業を大口利用者として、生活用水などと別の方法で一日最大給水量を算出し全体に繰り入れており、これを「聞いたことがないやり方」と指摘した。

 1月23日にあった、利水面での事業再評価のために市が諮問した第三者委員会の初回会合では、この水需要予測が事実上承認されている。6日の次回会合では代替案の可能性や費用対効果について審議する。

 科学者の会は、民主党政権のダム検証を機に結成。100人を超す科学者が八ツ場ダム(群馬県)など各地のダム計画を分析している。(原口晋也)

◆2020年2月5日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20200205/ddl/k42/010/232000c
ー水需要予測に批判の意見書 佐世保市長に「科学者の会」ー

 研究者らでつくる「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は4日、県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダム事業の7年ぶりの再評価で、市上下水道事業経営検討委員会が市の水需要予測を了承したことを批判する朝長則男市長宛ての意見書を、市民団体を通じて提出した。

 委員会は1月23日、今後約20年間で市民1人の1日当たりの使用水量が約9・3%増加するなど市が試算した水需要予測を大筋で了承。これに対して科学者の会は、「市の1日最大給水量は1999年度をピークに減少している」「20年前のデータを使い1日最大給水量を大きく算出している」などとを指摘し、現実との乖離(かいり)と科学性の欠如を問題視している。

 4日は石木川まもり隊(松本美智恵代表)など三つの市民団体メンバーが水道局で意見書を提出した。松本代表によると、市民団体の連名で、委員会の中立性、委員会資料の公開など7項目の改善を申し入れた。【綿貫洋】

 

◆2020年2月4日 長崎文化放送
https://www.ncctv.co.jp/news/76485.html
ー石木ダム意見書「水需要予測は科学性欠如」ー

 石木ダム建設の事業再評価にあたり佐世保市が示した水需要予測は「科学性が欠如している」として全国の学識経験者らが意見書を提出しました。意見書を出したのは今本博健・京都大学名誉教授ら7人です。佐世保市は現在、石木ダム建設事業の再評価案を作成するため第三者委員会に意見を聞いています。1月23日に開いた1回目の委員会で佐世保市は「将来必要な水需要は1日約12万tの見込みで不足する4万tを石木ダム建設によって確保できる」としています。今本教授らは「佐世保市の給水量は減少傾向なのに水需要予測では大幅な増加に転じているのはおかしい」「現実性が疑わしい水需要増加要因を積み上げて、将来値が作られている」などとして科学的な根拠のある予測を改めて行う事を求めています。教授らは意見書を検討委員会の全委員と佐世保市長宛てに郵送し直接議論することを要望しています。