八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

石木ダムに反対する超党派議連、付替え道路工事現場を視察

 長崎県と佐世保市が強行しようとしている石木ダムの事業用地には、13世帯の住民が今もダム計画に反対して暮らしています。長崎県は住民や支援者らの座り込みによる抵抗にもかかわらず、ダムに沈む予定の県道の付け替え工事を進めています。

 石木ダムに反対する超党派の議員連盟がこのほど工事現場を視察したことが報道されています。
 視察した県議の堀江ひとみ氏は「県道は住民の生活道路で、使えなくなると影響が大きい。道路を使えなくすることで、反対住民を心理的に追い込み、立ち退きを迫るような状況にならないよう警戒したい」と話したということです。

 八ッ場ダム事業では2014年に水没地の生活道路であった旧国道が閉鎖されました。沈黙を強いられながら、ダム計画に抵抗し、立ち退こうとしない最後の住民らを心理的に追い詰め、追い出すための措置であったと言われます。
(参照ページ⇒「ダム予定地の国道封鎖に対する抗議声明」)

 八ッ場では地元がダムを受け入れて以降、ダムに反対する住民の多くが地区外に転出。地域の政治も経済も巨大ダム事業に左右されるようになってからは、故郷を離れられずに残った住民はダム事業にとって支障になる発言をできなくなりました。八ッ場の悲劇が石木ダムで繰り返されないことを願うばかりです。

◆2020年2月5日 NHK長崎放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20200205/5030006646.html
ー石木ダム 反対派議員が現場視察ー

 長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐって、建設に反対する県内の地方議員らが、県道の付け替え工事の現場を視察し、ダムに水没する予定の県道は住民の生活道路だとして通行止めにしないよう求めました。

 長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、県の収用委員会が建設に必要なすべての用地の強制的な収用を認め、県は、すでに家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きに入れるようになっています。

 5日は建設に反対する県議会議員や地元・川棚町の町議会議員などあわせて10人余りが、県道の付け替え工事の現場を視察し、県の担当者から新年度中の完成を目指して工事を進めていることなどの説明を受けました。

 視察した議員からは「水没する予定の県道は住民の生活道路であり、新たな道路の工事が完了した段階で通行を止めれば、住民生活に影響が出てしまう。いつごろ通行を止めるのか」といった質問が出たのに対し、県の担当者は「現段階では決まっていない。状況を見ながら総合的に判断したい」などと応えていました。

 視察を終えた共産党の堀江ひとみ県議会議員は、記者団に対し「石木ダム建設については、まだ引き返すことができる。水没する予定の県道を通行止めにすることで暮らしを成り立たせなくし、住民を追い出していくような状況にしてはいけない」と話していました。

◆2020年2月5日 テレビ長崎
http://www.ktn.co.jp/news/20200205295394/
ー石木ダム 超党派の反対議連が付け替え道路工事を視察【長崎県川棚町】ー

 東彼杵郡川棚町での石木ダムの建設をめぐり、反対する超党派の議員連盟が現地を訪れ、付け替え道路工事の進捗状況を確認しました。

 付け替え道路の工事を視察したのは、「石木ダム強制収用を許さない議員連盟」です。

 長崎県の担当者から、すでに着手している約1100メートル分の道路が来年度中に完成する見込みと説明を受けました。

 参加した議員 「着手している付け替え道路が完成した時点で、今まで使っていた道路は供用を止めるのか、ダム本体工事に着工するまで使えるようにしておくのか」

 長崎県の担当者 「今後、総合的に考え判断する」

 参加した議員 「生活道路が通行止めになると大変なことになる。そのことによって、行政代執行ではなく反対住民を追い出していく状況が作られてはいけない」

 石木ダムをめぐっては現在、佐世保市で利水面での事業再評価が行われていて、6日の第三者委員会の会合でダム建設以外の代替案が可能かどうかも検討されます。

◆2020年2月6日 長崎新聞
https://this.kiji.is/597969957749834849
ー県道付け替え道路 反対派議連が視察 石木ダム建設事業ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、行政代執行による土地の強制収用に反対している超党派の議員連盟が5日、ダム建設に伴う県道付け替え道路の工事現場を視察した。
 国会議員を含む計13人が参加。県石木ダム建設事務所の田中良一次長からダムの規模や目的、工事の進展状況などの説明を受けた。
 付け替え道路は、ダムに水没する県道の代替道路として整備。県によると全長約3.1キロで、このうちダム本体に近い約1.1キロの区間で工事を進めている。
現場では反対住民らが抗議の座り込みを続けていて、現在までに完成しているのは約200メートル。
 県は、本体工事で既存の県道が使えなくなる前に、住民が通れる迂回(うかい)道路を2020年度内に整備すると説明。「迂回道路が完成すると現在の県道は使えなくなるのか」という議員の質問には「状況を見て総合的に判断する」と述べた。
 県議の堀江ひとみ氏は「県道は住民の生活道路で、使えなくなると影響が大きい。道路を使えなくすることで、反対住民を心理的に追い込み、立ち退きを迫るような状況にならないよう警戒したい」と話した。

◆2020年2月6日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20200206/ddl/k42/040/225000c
ー石木ダム用地強制収用 反対議員ら現場視察 県事務所次長が説明、質問相次ぐー

 県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダムを巡り、用地の強制収用に反対する議員らでつくる「石木ダム強制収用を許さない議員連盟」は5日、石木ダムの県道付け替え工事の現場を視察した。

 水没予定地の川原地区に暮らす13世帯は立ち退きを拒んでおり、県は家屋から住民を排除する行政代執行が可能となっている。

 視察には衆院議員や町議ら県内外の計13人が参加。県石木ダム建設事務所の田中良一次長からダムの目的や構造、付け替え工事の進捗(しんちょく)状況について説明を受けた。付け替え道路が完成すると、13世帯の住民の町中心部への移動は、従来より遠回りになり、議員からは質問が相次いだ。

 林田二三・東彼杵町議は「付け替え工事完成後の小学生の登下校が不安」。佐世保市が今後も水需要が増大すると試算していることに初鹿明博・衆院議員(無所属)は「現実と乖離(かいり)した予測でダムを造って本当にいいのか」と疑問を述べた。【綿貫洋】