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石木ダム再評価「やり直せ」、佐世保市で市民集会

 佐世保市は石木ダム事業の工期延長に伴い、国から補助金を受けるために、水需要の面で佐世保市にとって本当にダムが必要かどうかを「再評価」しなければならなくなり、今年1月から市の上下水道事業経営検討委員会で審議を行ってきましたが、2月28日に事業継続を認める答申が出されました。

 人口減少も相まって水需要の減少が顕著な佐世保市は、現実離れした水需要予測をもとに長崎県とともにダムを推進しています。佐世保市民の間には、将来の負の遺産となる石木ダムへの参画に反対する声が少しずつ広まってきており、3月1日に3つの市民団体が共催して審議のやり直しを求める集会を開催しました。

 こちらが集会宣言です。⇒集会宣言
 
(参考ブログ)石木川まもり隊
★3.1緊急市民集会「石木ダム再評価」
★「委員会答申 茶番の石木ダム継続」

 関連記事をお伝えします。

◆2020年3月2日 長崎新聞
https://this.kiji.is/606861050319733857
ー石木ダム事業「継続」答申受け 審議やり直し求める 市民団体が佐世保で集会ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が進める利水面の事業再評価に対し、第三者の諮問機関が水不足などを認め、「事業継続が妥当」と答申したことを受け、反対派市民団体が1日、市内で集会を開催。「架空の予測値を設定し、水不足の捏造(ねつぞう)でダムの必要性を創出した」と批判し、審議のやり直しを求める宣言を採択した。宣言文は同局に提出する。
 集会を開いたのは「石木川まもり隊」(松本美智恵代表)など3団体。市民ら約130人が参加した。
 市水道局が示した再評価の水需要予測は、1日の市民1人当たりの水使用量は全国の同規模都市の水準に近づいて増加すると想定。不足する水量約4万立方メートルを石木ダムで賄えば、費用対効果も高いとした。諮問機関の市上下水道事業経営検討委員会は2月28日、同局の方針を「妥当」と認めた。
 宣言は、将来の人口減少を踏まえ、水需要の増加は「異常な予測」と批判。石木ダムがなくても何の被害も受けておらず費用対効果は低いとし、「公正・中立な委員会」での再審査を求めた。
 集会では水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表が再評価の問題点を説明。水需要は節水型機器の普及などで減少すると指摘し、費用対効果は「渇水時の被害を大きく計算している。現実的でない」とした。
 ダム建設予定地の住民、岩下和雄さん(72)は「石木ダムを造るための予測だ。事業は見直すべきだ」と訴えた。

◆2020年3月2日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20200302/ddl/k42/040/137000c?pid=14613
ー石木ダムの利水、審議やり直しを 緊急集会に100人 佐世保ー

  県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業で、利水面を再評価する同市上下水道事業経営検討委員会が事業継続を是認する答申を出したことを受けて市民グループは1日、同市内で緊急市民集会を開いた。専門家が水需要予測や費用対効果の算出の問題点を指摘し、審議のやり直しを求める集会宣言を採択した。

 石木川まもり隊など3団体の主催で、約100人が参加。「水源開発問題全国連絡会」共同代表の嶋津暉之氏が講演した。嶋津氏は「今後増大する同市の水需要予測は、石木ダムを必要とするための予測で、逆に保有水源の量は過小評価している」と指摘。再評価で、全事業費と将来回避できる渇水被害額から算出した費用便益比が過去の2回に比べ大きく下がった点に触れ、「大きく数値が変わるのは、事実に基づいていないからだ」と批判した。

 集会宣言では「客観的・科学的な資料に基づいた公正・中立な再評価委員会での審議やり直し」を求めた。【綿貫洋】

◆2020年3月4日 朝日新聞長崎版
https://digital.asahi.com/articles/ASN3372Q2N32TOLB004.html
ー石木ダム再評価「やり直せ」 佐世保で市民集会ー

  長崎県川棚町で進む石木ダム計画を巡って佐世保市が行った事業再評価を問う市民集会が1日、市内で開かれた。水問題の専門家がダムの必要性について「現実味が乏しい水需要予測と保有水源の過小評価で作り出された」と指摘し、市算出の費用対効果も、それをベースにした「あり得ない渇水被害額だ」と批判。集会は、再評価のやり直しを求める宣言を採択した。

 市水道局が今回試算した水需要予測は11万8388トン。安定水源で確保できるのは日に最大7万7千トンで、不足する約4万トンをダムに担わせるという算定結果を示し、第三者委員会が承認した。事業継続の可否を決める費用対効果も5・32倍と、効果が費用をはるかに上回る数値を示し、認められた。

 集会で水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之(てるゆき)共同代表は、市が供給能力に含めない慣行水利権に基づく「不安定水源」について「河川法上は許可水利権と同等だし、渇水時も同レベルで機能してきた。実際の安定水源(保有水源)能力は10万トンだ」と説いた。一例として、長崎市は慣行水利権の矢上水源を需給計画に組み入れている事実を挙げた。

 佐世保市の従来の費用対効果の計算は、そんな過大な必要量をベースにしたうえで一年中、給水制限することを前提にし、水をためる千円のポリ容器や、300円のバケツを市民が年じゅう買い続ける年が何十年も続くという「あり得ない被害」想定(年400億円超)になっていたと解説。

 今回の再評価はまだ細かな積算根拠が公開されていないが、この手法が踏襲された可能性が高いとした。国は実際、そうした算出指針を示しているが、渇水の想定は一年中でなく、年に1カ月だという。

 同市の前回2012年度の再評価では費用対効果が13・84倍。今回の5・32倍との振れの大きさも「積算根拠の薄弱さを物語っている」と指摘した。(原口晋也)

◆2020年3月3日 Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20200303-00165706/
ー石木ダム建設事業に第三者委「妥当」。将来世代の負の遺産にならないか 橋本淳司ー