佐世保市の石木ダム再評価、中立性欠く委員会が事業継続容認

 さる2月28日、佐世保市は上下水道事業経営検討委員会を開き、石木ダム事業継続の再評価を是認する答申を出しました。
 長崎新聞の解説記事は、この委員会の人選について「委員の1人は建設推進団体のメンバーでもある。事業に懐疑的な意見を持つ委員を含めず」と説明しています。長崎新聞は「審議の中立性を担保できたのか疑問が残る。」としていますが、「審議の中立性を担保できなかった」と事実を書くべきでしょう。

 佐世保市の「再評価」手続きは、委員会メンバーの中立性を担保できなかっただけでなく、ダム予定地の住民や佐世保市民に別室の傍聴しか許さず、別室傍聴であっても一般には行われる傍聴者への資料配布も行わなかったとのことです。
 石木ダム事業は「再評価」を本来の趣旨で行えば、佐世保市の水需要の低迷など、事業継続に支障となる問題を抱えています。佐世保市は国から補助金を受け取るために形式的な「再評価」を行うことで、問題が噴出することを抑えようとしたのでしょうが、長年、石木ダムを推進してきた佐世保市でも、石木ダムが不要であることは年々知られるようになっており、ダム行政への風当たりが強まっています。

 関連記事を転載します。

◆2020年2月29日 長崎新聞
https://this.kiji.is/606297184383157345?c=39546741839462401
ー【解説】「結論ありき」は否めず 石木ダム事業継続 是認ー

 石木ダム建設の利水面の事業再評価で、第三者の検討委員会は事業の継続を承認した。ただ、審議では佐世保市水道局の方針案をそのまま受け入れる場面が目立ち、「結論ありき」で進められた印象が否めない。
 反対派が「過大」と疑問視する水需要予測について、市水道局は人口減少を想定しながら、全国の同規模自治体の平均値に近づき、「市民1人当たりの水使用量は増える」と試算。この点は反対派との間で賛否が割れるが、目立った議論はなかった。新たに確保するべき水源量は1日4万立方メートル程度。前回の再評価とほぼ同じ数字で、石木ダムで賄う水量と合致した。代替案の検証や費用対効果も前回と同様の結論だった。
 検討委は市水道局に常設する諮問機関で、水道行政の基本計画となる「ビジョン」の策定にも携わった。もともと石木ダム建設を肯定する立場で、委員の1人は建設推進団体のメンバーでもある。事業に懐疑的な意見を持つ委員を含めず、審議の「中立性」を担保できたのか疑問が残る。
 市は石木ダムの必要性を市民に丁寧に説明するとしているが、再評価の一般傍聴は中継映像を介して別室で受け付け、反対派からは「審議が十分聞き取れない」と不満が噴出。市の姿勢に不信感を募らせる形となった。

◆2020年2月29日 長崎新聞
https://www.47news.jp/localnews/4568440.html
ー石木ダム事業継続 是認 市利水再評価検討委が答申 佐世保ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が進める利水面の事業再評価について第三者の意見を聴く、市上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長)は28日、「事業の継続を是認する」とした答申書をまとめ、谷本薫治局長に提出した。答申を踏まえ、市は「事業継続」の再評価書を作成し、3月中に国に提出するとみられる。
 市は国庫補助を受けるため、原則5年ごとに事業の必要性などを検証する再評価を義務付けられている。市水道局は1月に再評価案を検討委に諮問。検討委は2回の会合を開き、2038年度までの水需要予測や代替案の可能性、費用対効果などを審議し、了承していた。
 この日の会合では、過去の審議を踏まえた答申案を承認。答申では、「石木ダムを設けること以外に有力な方策はない」とし、市水道局の提案は「適切・妥当」と結論づけた。
 一方、事業の推進にあたっては、ダム建設予定地住民の理解や市民世論の合意形成などを含めた「最適解を求める格段の努力」を要望した。谷本局長は「(事業継続が認められ)ほっとしている。すみやかに(国庫補助の手続きを)進める」と述べた。
 全会合を傍聴した反対派の市民団体「石木川まもり隊」の松本美智恵代表は、「過去の再評価とは異なり、今回は(中継映像による)別室での傍聴で内容が十分聞き取れず、資料すらもらえなかった。市民に理解を求めない意識の表れだ」と対応を批判した。

◆2020年2月29日 朝日新聞長崎版
https://digital.asahi.com/articles/ASN2X6TK4N2XTOLB00S.html?iref=pc_ss_date
ー石木ダム再評価 第三者委ことごとく市の主張追認ー

 石木ダム計画(長崎県川棚町)について利水面で事業を再評価していた「佐世保市の「市上下水道事業経営検討委員会」(9人)は28日の答申で、市の従来の主張をことごとく追認した。事業を進める市の背中を押す内容に、市水道局関係者から笑みがこぼれた。第三者の視点で事業の必要性を根本から問い直すことを求めた反対派の市民は、怒りの表情で傍聴室を立ち去った。

 水需要予測をテーマにした1月23日と、ダム案以外の代替案とその適否などをテーマにした2月6日の議論を踏まえ、委員長の武政剛弘・長崎大名誉教授が委員の意見をまとめた答申書案を示すと、字句の修正だけで承認された。

 答申は、水需要予測について「給水人口は今後も漸減傾向」と認めつつ、生活用水は横ばいで推移するとした市の説明を「妥当な推計」とした。専門家からハウステンボスや佐世保重工業の需要予測だけ個別に推計するやり方を批判されたが、答申は「より実態に即した推計」と評価した。

 ダムの規模につながる1日最大給水量の設定にあたり、市は寒波で大規模漏水が起きた2015年度を特異年として排除したが、答申は「より安全側に配慮することも必要。若干の懸念が残る」と、さらに水が必要とする立場での見解を寄せた。

 散会後、谷本薫治局長は今回の再評価について、報道陣に「国の補助金をちょうだいするためのルール化された流れ。それ以上のものではない」と語った。

 記者から「県民や市民の税金も使われる。納税者には分かりやすい公正公平な審議だったか」と問われると「市民の代表である市議たちに説明し、議決も頂いてきた」と述べた。(原口晋也)

◆2020年2月29日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20200229/ddl/k42/040/199000c
ー石木ダム事業継続是認 再評価委員会が答申書ー

 県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業を利水面で再評価する同市上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長、9人)は28日、事業継続を是認するとした答申書を市に提出した。この日、3回目の審議を開き、市提案の水需要予測、投資効率などをおおむね妥当と結論づけた。

 答申を受けて市は国へ再評価報告書を提出する。早ければ2020年度の国庫補助事業として採択される。

 委員会ではこれまで2回の審議で、市が出した水需要予測、石木ダム以外の代替案、費用対効果などを審議してきた。異論は特に出ず、数カ所の文言を修正した答申書をまとめた。ただ、地元に事業反対の声があるのを踏まえて、「建設予定地の住民の理解や心情面に配慮し、可能な限り多くの人が幸福を得られるよう格段の努力を怠らないことを求める」と市への注文を盛り込んだ。

 答申を受け、谷本薫治・水道局長は「速やかに手続きを進めたい」と述べた。別室で委員会の中継を傍聴した市民グループ「石木川まもり隊」の松本美智恵代表は「予想はしていたが、何の意見も出ず、中身のない再評価にがっかりした。補助金を得るための再評価は、結論ありきの審議になる」と批判した。【綿貫洋】

◆2020年2月29日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/588016/
ー石木ダム「事業継続が妥当」 佐世保市検討委が答申ー

  石木ダム事業の利水面の再評価をしていた長崎県佐世保市の上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長)は28日、「事業継続が妥当」とする答申書を市水道局に提出した。市は答申を踏まえ、再評価の報告書を県に提出する。これを受けた国は事業継続のための国庫補助を判断するとみられる。

 委員会は有識者ら9人で構成し、3回の会合で水需要予測や費用対効果などを審議した。答申は「水需要予測に基づく新規水源の開発規模は必要最小限度であり、石木ダム以外に有力な方策はない」として、事業効果も高いと結論付けた。

 末尾に「委員会は事業継続の方法論について審議はしていない」と記し、建設予定地住民の理解や心情面への配慮、市民の合意形成の努力を市に求めた。委員会後の取材に谷本薫治水道局長は「市民の代表がいる議会で説明し、議決された。基本的に理解を得ていると考えている」と答えた。

 別室で委員会を傍聴した市民団体石木川まもり隊の松本美智恵代表は「大きく見積もられた水需要予測のおかしさが根源。異論もなく、低調な審議に終わってしまった」と話した。(平山成美)

◆2020年2月28日 NHK長崎放送局
 https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20200228/5030006847.html
ー石木ダム利水再評価で妥当と答申ー

 石木ダムの完成時期が延期されたことを受けて、佐世保市が利水の面から行った再評価について検証する委員会は、28日に開いた会合で、事業の継続が妥当だとする市の対応方針案を承認し、市の水道局長に答申書を手渡しました。

 石木ダムをめぐっては、県道の付け替え工事に遅れが出ていることなどから、去年、長崎県は、治水の面から事業の再評価を行った上でダムの完成時期を3年延期し、令和7年度に見直す方針を決めました。

 こうした中、佐世保市も利水の面から事業が適切かどうか再評価を行っていて、「市上下水道事業経営検討委員会」は、28日に開いた3回目の会合で、事業の継続が妥当だとする市の対応方針案を承認しました。

 委員会の武政剛弘委員長が、市の谷本薫治水道局長に委員会としての答申書を手渡し、谷本局長は「速やかに市としての結論を出したい」などと応じました。

 答申書では「事業効果は高く、水質などの評価項目においても、特に問題は確認されない」などと事業の必要性を認めたうえで、「事業継続の方法論は、議論していない」として、建設予定地の住民の理解を得られるよう、努力を続けることなどを求めています。

 答申を受けた谷本水道局長は、記者団が「委員会のメンバーは中立・公正だったと考えるか」と質問したのに対し、「私はそう考えています」と述べました。

 市は、28日の答申を受けて、年度内にも、再評価の報告書を県に提出することにしています。

◆2020年2月28日 長崎文化放送
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-00010001-ncctv-l42
ー石木ダム3回目の再評価を答申ー

 長崎県と佐世保市が進める石木ダム建設事業の利水面での再評価を行う3回目の検討委員会は「事業継続が妥当」とする答申書をまとめました。佐世保市が第三者として意見を聞いた市上下水道事業経営検討委員会の武政剛弘委員長が谷本薫治水道局長に答申書を出しました。答申書では市水道局が示した水需要予測を認めた上で「必要水量を確保できる方策は、現時点では石木ダム以外になく費用対効果が見込まれる」としました。谷本薫治局長は「(事業継続が妥当と)正式にそういうお言葉を頂戴したことはホッとしているところでございます」と話しました。全ての会合を傍聴したダム建設反対派の市民団体「石木川まもり隊」の松本美智恵さんは「事業継続」との答申に結論ありきと憤ります。「半世紀かかっても全然完成しないそういう事業が本当にまだこれからも必要なのかという事を真摯に客観的に検討するのが再評価だと思うんですけどもどう考えても中立公平とは思えないです」と話しました。答申書を踏まえ佐世保市しての対応を決め再評価報告書を作成して国に提出します。

◆2020年2月28日 テレビ長崎
http://www.ktn.co.jp/news/20200228005/
ー第三者委「おおむね妥当」と答申、石木ダム事業再評価ー

 3年間の工期延長を受け、川棚町の石木ダム建設を継続すべきかどうか利水面で検討する佐世保市の事業再評価で、佐世保市が諮問する第三者委員会は「概ね妥当なものと認める」と結論付け、答申しました。

 石木ダム建設の事業再評価で佐世保市が諮問する第三者委員会は、28日、3回目の会合を開き、武政委員長が作成した答申案を検討しました。

 答申案では「水需要予測に基づく新規水源の開発規模は必要最小限で、石木ダムを設ける以外に有力な方策はない」などとし、事業は「概ね妥当なものと認める」と結論付けました。

 委員らは、内容について大きな修正を求めず、答申書が谷本 水道局長に手渡されました。

 委員会を傍聴した人からは落胆の声が聞かれました。

 石木川まもり隊 松本美智恵代表 「継続という結論は予想していた。あまりにも委員から異論が出ないし全く中身のない再評価だった」

 佐世保市水道局 谷本薫治局長 「事の是非を再評価の場で(議論)するつもりはない。是非については別のステージでやっているのでは」

 佐世保市は、答申を受け年度内にも「事業継続」という考えを軸に再評価報告書をまとめ国に提出したいとしています。