駿河湾サクラエビの不漁の一因とされている日本軽金属・雨畑ダムの堆砂問題について、中島克人衆院議員(が質問主意書を提出し、3月3日付で政府が答弁書を決定しました。
静岡新聞が答弁書の内容と中島議員へのインタビューを伝えています。雨畑ダムのある山梨一区を選挙区とする中島議員(無所属)がインタビューに答えて、国の答弁書を「ゼロ回答」と酷評しているのは、雨畑ダムのせいで被害を被っている流域住民の意見を反映しているのでしょう。
〇河川法に関する質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a201067.htm
◆2020年3月13日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/special/sakura_ebi/008/746092.html
ー政府、除去状況を注視 日軽金、雨畑ダム(山梨)堆砂問題ー
駿河湾産サクラエビの不漁を機に焦点が当たる日本軽金属雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂問題。政府は12日までに、国による同社の土砂撤去計画への関与をただした同県選出衆院議員の質問主意書に、「ダムの堆砂により河床が上昇し洪水被害が発生した」と認定し、撤去計画について「実施状況を確認しながら、追加の指導を行う」との答弁書を決定した。
政府はダムの堆砂の現状を、河川法44条の「河川の状態が変化、洪水時に従前の河川の機能が減殺されている」状態に該当すると説明した。「計画的に取り組みを進めるよう必要な指導を行っている」としたが、法に規定された「河川管理者の指示による機能維持のための措置」には踏み込まなかった。
質問主意書を提出した中島克仁氏(山梨1区)は、同社の撤去計画は非現実的との認識を示した上で、「政府は雨畑ダムをはじめ堆砂が進む民間ダムについて積極的に関与すべき」と指摘する。
2019年8月、国土交通省は日軽金に抜本解決を求め行政指導した。同社は5年間で堆積土砂の4割に当たる600万~700万立方メートルを撤去する方針を掲げている。
一方、同社が水利権申請時にアルミ製錬などを目的としながら、現在は水力発電で得た電力を売電に転用していることについて、政府はその理由を明示しないまま「新たな許可申請は必要ないと考えている」との認識を数行で示した。専門家の間では売電への転用を河川法違反とする見解がある。同法などを根拠に日軽金に事実確認を進めることを表明していた国交省関東地方整備局は、取材に対し法的根拠についての回答を留保している。
■国は民間ダムも支援を 中島衆院議員インタビュー
質問主意書を提出した中島克仁氏に政府答弁について聞いた。
―内容をどう受け止めたか。
「まずは日軽金自身に問題解決を任せるということだろう。これは、堆砂の放置と売電転用を住民への説明すらなしに行っている日軽金の態度に通底する無責任さを許したということ。国の監督の甘さ。ゼロ回答だ」
―土砂撤去計画には疑問の声がある。
「政府は現状をむやみに追認した。計画は非現実的だ。試算ではグループ全体の単年度純利益が数百億円のところ、同程度以上の費用がかかるとみる。財政的裏付けもない」
―政府と日軽金は何をすべきでしょう。
「民間ダムの問題にも積極的関与が必要。総務省は来年度、全国の自治体管理ダムの土砂撤去を支援するが、民間ダムは取り残される恐れがある。雨畑ダムはその象徴。日軽金はダム撤去を真剣に考えるべきだ」
―水力発電の電力を売電に流用していることが明らかになった。
「水利権の目的外使用に当たるか否かについて、政府と専門家の意見が異なるようだ。政府には時代や地域事情に沿った法解釈、制度運営が必要だ。製錬を終えたなら水を返して、という住民感情は当然。今国会中に国土交通委員会などでさらに追及する」
■中島克仁(なかじま・かつひと)氏 雨畑ダムのある山梨県早川町などが地盤。衆院3期。みんなの党などを経て無所属。医師資格を持つ。52歳。