昨日4月17日、国土交通省が「第3回 ダムの洪水調節に関する検討会」の書面会議を開催し、その配布資料が国土交通省HPに掲載されました。
「第3回 ダムの洪水調節に関する検討会(令和2年4月17日開催)配付資料
https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/damchousetsu_kentoukai/dai03kai/index.html
昨年10月台風19号(令和元年東日本台風)では全国で6基のダムで緊急放流が行われました。
ダムの緊急放流については、2018年7月の西日本豪雨で愛媛県肱川の野村ダム・鹿野川ダムの緊急放流が凄まじい被害を引き起こしたので、ダムの緊急放流の諸問題を整理し、改善策を検討しておく必要があるということで検討会が開かれています。今回が第3回で、次の第4回で取りまとめを行うことになっています。
資料3 第2回検討会の意見を踏まえた補足説明 の以下の「1.洪水期と非洪水期の洪水発生状況』を見ると、非洪水期でも洪水が発生しており(国交省の説明では「概ね二割程度」)、洪水期と非洪水期に分ける従来のやり方でよいのかと思います。
また、「2.想定していない箇所からの放流」では緊急放流を行わなかった場合について、「仮に、ゲート操作を行わなかった場合には、ゲート上端から越流し、機械設備等が損傷したり下流側の地山が削られるおそれがある。」と書かれています。
資料5 ダムの洪水調節に関する検討とりまとめ【中間案】を見ると、検討会では次の項目について取りまとめることになっていますが、これを見ても、ダムがある限り、ダムの緊急放流の問題は避けられないように思います。
「4. ダムの洪水調節及び情報提供に関する課題と対応の方向性
(1)より効果的なダム操作への改良
① 異常洪水時防災操作の方法論
○操作規則の見直しについて(現状の分析、課題)
○異常洪水時防災操作の操作方式について
② 事前放流の方法論
○利用可能な降雨予測情報について
○アンサンブル降雨予測技術の活用について
③ その他ダム操作全般について
○ダムの洪水期と非洪水期について
○ダムの管理体制について
(2)避難行動に結びつくようなより効果的な情報提供への改善
① 情報発信の方法論
○異常洪水時防災操作への移行に関する記者発表について
○異常洪水時防災操作の呼称・説明について 」
上記のアンサンブル予報については、気象庁HPの以下のページをお読みください。
http://27.121.95.132/jma//kishou/know/whitep/1-3-8.html
関連記事を転載します。
◆2020年4月21日 建設通信新聞
https://www.kensetsunews.com/archives/445151
ーダム洪水調節検討会/操作規則見直し法を明確化/国土交通省ー
国土交通省は17日、「ダムの洪水調節に関する検討会」(委員長・角哲也京都大防災研究所教授)の第3回会合を書面開催し、検討結果の中間案を示した。下流における河道整備などの進展に応じた計画最大放流量や洪水量の引き上げに伴い、ダムの操作規則を見直す方法を明確化した。検討結果は5月に取りまとめる。
2018年の西日本豪雨や19年の台風19号で浮かび上がった課題を踏まえ、対応の方向性を▽より効果的なダム操作への改良▽避難行動に結び付くようなより効果的な情報提供への改善--の2つの観点で示した。
ダムの操作規則見直し方法は、水資源機構が管理する淀川水系猪名川の一庫ダムで変更した事例を基に、確認項目や留意事項を整理。ダムの計画最大放流量または洪水量を引き上げる場合は、河道や沿川の状況、流下能力など最新の情報で検討し、関係者の合意を形成した上で変更することが必要とした。
異常洪水時防災操作は、現行の操作方法以外に4方式(必要最小放流量方式、VR方式、放流量曲線逐次見直し方式、限界操作方式)が提案されているものの、その適用性に関する認識がダム管理者に共有されていないため、その特徴を整理した。いずれも一長一短があるため、それぞれのダムに適した方式を見極めていくには、想定されるさまざまな流入波形を設定して検証する必要があるとの見解を示している。
異常洪水時防災操作に移行する際の情報発信については、実施の見通しを伝えるだけでなく、情報の受け手側がその意味や自らの避難行動との関係を的確かつ誤解なく理解できるように説明し、解説も付け加える必要があると指摘している。