4月発足、東京水道(株)の野田数社長へのインタビュー記事

 今年4月1日、東京都水道局の関連会社である㈱PUCと東京水道サービス㈱が統合して東京水道株式会社(Tokyo Water)が発足し、その社長に小池百合子都知事の特別秘書であった野田数氏が就任しました。そのインタビュー記事がネット上に掲載されています。

 ㈱PUCは営業系業務、東京水道サービス㈱は技術系業務を請け負う会社で、この統合で水道の営業と技術の両方を請け負う会社になりました。
 東京都の多摩地域では、独自の水道経営を行っている武蔵野市、昭島市、羽村市を除く市町はすべて、すでに㈱PUCと東京水道サービス㈱が水道事業を担っており、それらの市町では水道部門がなくなっています。区部の方も今後は、今回発足した東京水道㈱が水道業務の全般を担う計画がつくられているので、多摩地域と同じようになっていくことが危惧されます。
 水問題に関する市民運動をバックアップしてきた東京水道労働組合が今後どうなっていくのか、大いに心配されます。
 この東京水道㈱が東京都以外の水道民営化に関わって、その受け皿になることも企図されているのではないかと思われます。

◆2020年4月13日 TOKYO HEADLINE
https://www.tokyoheadline.com/492802/
https://news.yahoo.co.jp/articles/a7e8c91f9c668a818255e2c07424cdccf64e144a
ー日本最大級の水道トータルサービスが4月誕生! 東京水道株式会社の野田数社長に聞くー

 私たちの生活に欠かせない「水」。東京都の水道事業が人口減少や施設の老朽化に直面する中、将来にわたり持続可能な事業を運営するために、2020年4月1日、技術系業務と営業系業務・IT系業務が統合し、日本最大級の水道トータルサービス会社「東京水道株式会社(Tokyo Water)」が誕生した。水源から蛇口まで、水道業務全般を担うという新会社設立の経緯や水道事業の未来について、野田数社長に話を聞いた。(聞き手・一木広治)

のだ・かずさ 1973年川崎市生まれ、46歳。97年早稲田大学卒業。2016年の東京都知事選挙で、小池百合子選挙対策本部の最高責任者を務める。同年8月、東京都知事特別秘書(政務担当)に就任、「都民ファーストの会」を設立。19年3月に特別秘書を退任、同年5月、東京水道サービス株式会社代表取締役社長に就任。20年4月より、東京水道株式会社代表取締役社長。

そもそも東京水道株式会社(Tokyo Water)とは何をする会社なのでしょうか?

「東京都の水源管理から、配水管の設計・工事監督、料金徴収までの水道事業を総合的に担う、“日本最大級の水道トータルサービス会社”です。これは、東京都独自の政策なのですが、政策連携団体という位置付けで、都が株式51%以上保有していることなど、外郭団体の中でも都との連携が強い団体を指します。いわゆる第3セクターですね。当社は東京都が80%の株を保有する安定した企業です」

今話題の「水道の民営化」のための会社ですか?

「民営化とは全く関係ありません。昨年10月の改正水道法の施行により、都民の皆さんは東京都の水道が民営化するのではないかというご心配があるかと思いますが、東京都水道局としては、民営化は検討していません。現在は、事業運営や施設整備計画の策定など、コア業務を東京都水道局、準コア業務を政策連携団体が行なって、その他の業務を、街の水道屋さんや工事業者さんが支えています。東京都の政策連携団体である当社は、東京都水道局と一体となって、東京の水道事業を支えていく役割を担っていきます。具体的には、東京都水道局が行ってきた大規模浄水場の運転管理など、主に現場系の業務の大半を我々が受けるような形になります。こうした維持管理を担う第3セクターは全国にありますが、弊社は社員数でいうと2600人、日本最大級の規模です」

このタイミングでの設立にはどのような意味合いがありますか?

「そもそも水道法が改正された背景は、各自治体が、単独では水道事業を維持できなくなっていることからなんですね。水道施設の老朽化によって、施設更新のタイミングに来ていても、財政状況が厳しく、更新できない。こうした状況から、官民連携で合理化して水道事業を維持するというのが目的です。もうひとつは、水道事業に携わる技術者の不足や人材確保の問題があります。特に、東京都水道局の管轄エリアは、23区や多摩地域含め、東京全域です。1300万人の都民の水を支えるために、新会社で合理化を進めて、東京の水道を安定的に供給していくということが求められます」

 野田さんは昨年、東京水道株式会社の前身となる東京水道サービス株式会社の社長になられましたが、どのようなことに努められましたか?

「大きなミッションは、統合準備と社内のガバナンス強化です。統合にあたっては、それぞれの会社で文化が違うので、今後も社内の言語を一体化する必要があります。また、採用難への対策です。東京都水道局の業務が弊社に移管されるにあたり、業務量の増加に備えて、若手技術者を多く確保しなくてはいけませんでした。当初は、理系の学生が減っているという背景もあって、採用数は右肩下がり。非常に厳しい現実に直面していました。こうした課題に対して、東京水道サービス(株)では氷河期採用や中途採用の通年採用などを行い、採用数を60%ほど増やすことができました。また、社のブランディング強化に取り組みメディア掲載は前年比の10倍以上になりました。待遇の改善などで社員のモチベーション維持に取り組んでいます」

 新会社設立によって、都民生活はどのように変わりますか?

「お客さまの問い合わせ窓口と、事故対応などを担当する技術部門が一体の会社になることで、お客さまへのサービスは向上すると考えます。また、一体となることは、災害対応においても重要です。昨年の台風19号では、奥多摩町と日の出町で道路が崩落しまして、断水地域が発生しました。その断水エリアへの給水作業を東京都水道局からの要請で支援したのが当社です。道路が崩落したエリアの先の地域に水を届けるために、ポリタンクを一世帯に2つずつ運んで、全戸へ配布したり、復旧作業にあたりました。大きな災害の時に最前線で応急給水や応急復旧に当たるのが私たちTokyo Waterです。災害対応の人数が足りないときには、当社も応援に行けるなど、今後このように一体となって、よりスムーズな災害復興が可能になります」

世界に目を向けますと、東京都の水道は海外からも高い評価を受けているそうですね。

「そうですね。かつて20万人を対象に、東京水と市販のミネラルウォーターの飲み比べをしましたところ、美味しいと答えた人の数がほぼ同じだったんです。品質が非常に高い。また東京都は、水道水が家庭の蛇口に達する間にどのくらい漏れるかを表す“漏水率”が世界屈指の低さです。ロンドン26%、NY8.3%、東京都は3.5%と、世界の主要都市の中でも圧倒的に低いんです。東日本大震災でも都で水道管が壊れたことはありませんでした。地震大国でこれだけの低い漏水率を維持しているのは、121年の技術の賜物だと考えています。こうした背景には、土地の狭い日本でダムを作るときに、“水を大切にしなければいけない”というインセンティブが働いていたこと、またヨーロッパなど水源が豊かなところに比べて、日本は計画的に水道管を更新してきたことがありますね。資源が少ない代わりに“無駄を排除しよう”という日本人の几帳面な気質の上に成り立っていると思います」

 海外事業についても積極的に関わっていらっしゃいますね。

「そうですね。ODAの事業では国内のコンサルタント企業とJVを組んでいます。例えば、ミャンマーでは、現地の企業と当社などが、ヤンゴン市の漏水率の改善に取り組んでいます。また、マレーシアでは、現地で研修フィールドを作って水道技術を現地に提供するなども行っています。途上国では有収率(収入を得られる水の割合)が低く、十分な水道料金を得ることができない国も多いんですね。水が漏れていること、また水が盗まれていることなどもよくあるようです。水道事業を行う上で、そうした問題を改善するために維持管理の基本を伝えたいという思いがあります。このように当社は人を育てる、技術を伝える事業が多いため、SDGsにも貢献していけると考えています」

 最後に、都民に一言お願いします。

「4月から新しい会社Tokyo Waterが発足しました。当社の車が都内各地を走り、水道の安定供給のために日夜奮闘しております。都民の皆様により安心して生活していただけるように、頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いします」