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「高知県内ダムで事前放流へ準備 7河川の利水関係者と協定へ」(高知新聞)

 国土交通省は利水のための貯水容量を治水に活用するダムの事前放流についてガイドラインを4月22日に策定しました。

 国土交通省「事前放流ガイドラインの策定について」 
 http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo04_hh_000064.html

 このガイドラインでは、予報より雨が少なく利用できる水が足りなくなった場合、火力発電を増やしたり、給水車を出動させたりするための費用を国が補填することになっていますが、自治体が管理する河川に設置しているダムは補填の対象外です。
 台風被害の多い高知県では、事前放流について7河川の利水関係者と協定を結ぶ方針が打ち出されたとのことです。以下の記事によれば、7河川のうち、3河川は国管理、4河川は県管理です。

◆2020年4月28日 高知新聞
https://www.kochinews.co.jp/article/363865/
ー高知県内ダムで事前放流へ準備 7河川の利水関係者と協定へー

 豪雨シーズンに備え、高知県と国土交通省が県内の7河川で「事前放流」に向けた準備を進めている。農業や水道用水など利水のために蓄えている水を、大雨の前に下流に流して備える洪水対策で、6月までに利水関係者と協定を結ぶ方針だ。

 事前放流は2018年の西日本豪雨以降、全国的に注目されており、政府が促進する方針を打ち出している。高知県内ではこれまでに事前放流の例はない。

 県管理の河川で協定の対象になるのは、松田川(坂本ダム)、以布利川(以布利川ダム)、鏡川(鏡ダム)、香宗川(鎌井谷ダム)。国交省は一級河川の四万十川、仁淀川、物部川の3水系で協定の準備を進めている。

 政府は今月22日、事前放流の指針を公表。どれだけ雨が降れば下流で洪水が起こるかをあらかじめ算出しておき、気象庁の予報雨量がその基準を上回る場合、3日前から放流を始めることを基本とした。県はこの指針を基に協定案を作成し、大型連休明けにも利水関係者に示すという。

 27日に開かれた県豪雨災害対策推進本部会議で浜田省司知事は「ダムの洪水調整には県民の関心が高い。関係者と調整し、しっかりと準備をしてほしい」と指示した。(八田大輔)

—転載終わり—

 事前放流の前提は、ダム集水域の雨量を正確に予測することが必要ですが、実際には量的にきちんと予測することがかなり難しく、事前放流が空振りになることが少なくありません。空振りの場合、利水者への補填をどうするかという問題があります。
 また、事前放流さえすれば、緊急放流を回避できるというものではありません。2018年7月の西日本豪雨において愛媛県・肱川の野村ダムと鹿野川ダムはそれなりの事前放流をしていましたが、それでも凄まじい緊急放流を行ってダム下流域の大氾濫を引き起こしました。