八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

最上小国川ダム完成

 山形県の最上小国川ダムが完成し、4月24日から本格運用が始まっています。
 最上小国川ダムの公金支出差し止訴訟は仙台高裁で係争中で、判決は6月30日の予定です。しかし、たった2回の口頭弁論で結審にした裁判長(山本剛史裁判長)ですから、判決には期待できません。

 以下の記事にもあるように、最上小国川ダムは洪水で水を貯めるとき以外はダム堤の穴を開けたままにして、川の水をそのまま流す流水型ダムです。流水型ダムの歴史は浅く、最上小国川ダムはわが国で5番目の流水型ダムです。
(わが国で最も古い流水型ダムは、2005年に島根県が建設した増田川ダム。その後、石川県の辰巳ダム、鹿児島県の西之谷ダム、長野県の浅川ダムが建設された。)

 ダムは川の流れを妨げることによって、河川環境を悪化させ、ダム湖に土砂を堆積させるなどの問題が深刻になっていますので、近年、利水目的のないダム計画では流水型ダムが採用されるようになってきましたが、以下の論考が指摘しているように、流水型ダムであっても、川の流れを妨げる障害物があり、洪水吐きが流木などで詰まるなどの新たな問題があります。

★参考資料:「流水型ダムの問題点」嶋津暉之

◆2020年5月2日 毎日新聞山形版
https://mainichi.jp/articles/20200502/ddl/k06/040/062000c
ー「最上小国川ダム」本格運用 「操作規則」完成 流水型は東北初ー 

 県が治水対策として2015年2月から最上町で建設を進めてきた「最上小国川ダム」の本格運用が4月24日から始まった。

 同ダムは洪水時だけ貯水する流水型ダムで、同型のダムは全国5例目となり、東北初。総工費は約88億円で、今年3月末にダムの運用が可能となり、仮運用されていた。今回、河川法に沿った「操作規則」が完成したことから、本運用に至った。周辺を整備した後、7月に竣(しゅん)工(こう)式を予定している。

 県の竹内晃・河川課長は「各地区をはじめ、地域の安心安全を確保していきたい」と話している。

 12年には、ダム建設が環境や生態系に及ぼす影響を懸念した市民団体が公金支出の差し止めを求めて山形地裁に訴訟を起こしたが、19年7月に敗訴。同8月に控訴している。【的野暁】