5月26日に国土交通省の社会資本整備審議会河川分科会「気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」(第4回)のWEB会議が開催されました。
この会議の配布資料が国土交通省のホームページに下記の通り掲載されました。
★国土交通省HP>社会資本整備審議会>第4回 気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会 配付資料
この配布資料の中にある「【参考資料1】気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会 とりまとめ概要」を見ると、以下のように「流域治水への転換」が掲げられ、嘉田由紀子参院議員が滋賀県知事時代に策定した先進的な流水治水推進条例に近い考え方が書かれています。
また、4ページには、【さらなる堤防強化】 ・越流・越波した場合であっても決壊しにくい「粘り強い堤防」を目指 した堤防の強化を実施・更なる堤防の強化に向け、継続的な技術開発という記述もあります(右画像)。
長年、ダム偏重の河川行政を改め、滋賀県の流水治水推進条例と耐越水堤防工法の導入を国土交通省に求めてきた嶋津暉之さん(元東京都環境科学研究所研究員)は、「私たち市民運動が求めてきた治水対策が取り入れていくように思われます。まだ抽象的なところがありますが、期待したいと思います」とのことです。
関連記事を転載します。
◆2020年5月27日 建設通信新聞
https://www.kensetsunews.com/archives/455667
ー流域治水を全国展開/粘り強い堤防など明記/気候変動踏まえた水害対策小委ー
国土交通省の社会資本整備審議会河川分科会は26日、「気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」(委員長=小池俊雄土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長)の第4回会合をウェブ開催し、夏にまとめる答申の骨子案を議論した。今後求められる水災害対策の方向性として、降雨量の増加などを考慮した治水計画への見直しと、流域全体のあらゆる関係者が協働して治水対策に取り組む流域治水の全国展開を盛り込む。
降雨量の増加などを考慮した治水計画への見直しに必要な取り組みには、河川整備基本方針の基本高水、河川整備計画の目標流量、海岸保全基本方針、施設設計基準などの変更を挙げた。
流域治水は、国、都道府県、市町村、企業、住民など流域の関係者が▽氾濫を防ぐための対策(ハザードへの対応)▽被害対象を減少させるための対策(暴露への対応)▽被害の軽減、早期復旧・復興のための対策(脆弱性への対応)--の3要素を多層的に進めるもの。集水域、河川区域、氾濫域を1つの流域と捉え、流域全体の関係者が一体となって取り組むべきとの考えを示した。
流域治水の具体策には、粘り強い堤防を目指した堤防強化、利水ダムを含む既存ダムの洪水調節機能強化、地域と連携した土地利用の誘導・規制、土地の水災害リスク情報の充実、住まい方の工夫などを列挙。
事前防災対策の加速化も求め、2019年の台風19号で被災した7水系の緊急治水対策プロジェクトを参考に、全国の1級水系で緊急に実施すべき流域治水の取り組みをまとめ、早期に実行すべきと指摘。流域治水の実施に向けては、行政、企業、国民一人ひとりが意識、行動、仕組みに防災・減災を考慮することが当たり前の社会を構築する必要があるとしている。
速やかに実施すべき施策には、計画・設計基準の見直し、事前防災対策の加速、堤防の強化、さまざまな関係者の参画、土地リスク情報の充実、まちづくり・住まい方の工夫、避難態勢の強化、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の強化を挙げている。